COEDOビールはここで作られている!~COEDOクラフトビール醸造所(東松山市)
川越を訪れる人たちはもちろん、今や、世界じゅうに知られている『COEDOビール』。
カワゴエ・マス・メディアのスタッフ2名が、先日COEDOクラフトビール醸造所を訪問して来ました。
COEDOクラフトビール醸造所は川越市内にあると思っている方もいらっしゃるでしょうが、実は東松山市にあるのです。東武東上線東松山駅で下車し、車で約10分走ると到着です。
えっ?ここはホテル?合宿所?
外観から、とても中は広いということが想像できますが、ここは元々は1982(昭和57)年に建てられ企業の研修所だったところをリノベーションしたところで、2016(平成28)年9月1日に誕生しました。
COEDOクラフトビール醸造所は、工業団地ではなく田園地帯の丘の上にあります。敷地内に掘った井戸から醸造用水を確保していますが、この水はミネラルがとても豊富に含まれています。井戸を掘るときに、レーダーで地下谷があるか見て掘ったそうです。井戸水は、水道水と違い塩素を除去する手間が無いのがメリットです。
また、醸造で排出される排水も基準をクリアするまで浄化処理をして自然に返しています。
研修センターの建物で元々教室だったところを工場とし、北側を醸造棟、南側を充填棟として使用しています。
耐震性を損なわない範囲で、慎重に壁を崩して大きなタンクを搬入したのだそうです。タンクは高さがあるため、床を壊して設置することに。
醸造所で使用しているドイツ製のタンクは、腐食が少なくとても長い期間使用できるということです。
感染症がまん延する以前は、見学ツアー「コエドビール学校」を月2回開講し、校長として代表の朝霧重治さんが参加者に授業を行い、コエドビールのことをもっと知ってもらおうという取り組みも行っていました。
なお、カワゴエ・マス・メディアのスタッフも2020年2月にこちらの見学ツアーに参加しています。そのときの様子など詳しいことはこちら→ビールを“学ぶ”「コエドビール学校」へ入学してみた
ビールの原料はホップと大麦
ということは知っていても、実際に見たことのある人は少ないかもしれません。
ホップはアサ科カラハナソウ属の多年生、雌雄異株の作物であり、その雌株の球果がビールの原料として使われています。品種改良がすすみ、良質な苦みの多いビールに適したものになってきたそうで、ホップはビールの香りひいては品質を左右するもの。ビールになくてはならない重要性から「ビールの花」とも言われています。
ビールづくりでは一般的に、ホップは麦汁を煮沸するときに加えます。入れるタイミングによって苦みと香りが変わり、ホップによってビールの味わいは大きく左右されます。COEDOビールではホップを入れることにより、ビールの苦みを取る役目をしています。
ホップが工場の敷地内で自生していることに驚きましたが、またそれだけでなく、敷地内の運動場だったところを畑に転用しようとしており、試験的にさつま芋を植えています。土地が痩せているために、大麦などを植えて畑として使用できるようになるには、時間がかかりそうです。
超!豪華なロビー
醸造所のロビーは、とても豪華な造りになっており、バブル前の昭和後期の名残が残っています。
昭和生まれの方なら、昔のホテルのロビーってこんな感じだったな、と懐かしく感じるかもしれません。
建てられてから40年近く経過しているものの、元々建材はよいものが使われており、今も宿泊用の部屋や大浴場などは使われずに残っており、これを今後活用していきたいと朝霧社長は考えておられるようです。
世界のCOEDOビールの数々のアワード
COEDOビールは、世界の食やビールのコンクールで様々な賞を受賞しており、ロビーにはその賞状や楯などが所狭しと並べられています。受賞したアワードの代表的なものをご紹介します。
【COEDOビールの受賞歴】(代表的なもの)
- モンドセレクション
- 2007年に全商品受賞(「COEDO 紅赤 -Beniaka-」「瑠璃 -Ruri-」は最高金賞)
- 2008年は「漆黒 -Shikkoku-」が最高金賞、「白 -Shiro-」が金賞受賞
- 農商工連携88選 – 「COEDO 紅赤 -Beniaka-」が入選(2008年)
- ヨーロピアン・ビア・スターアワード – 2009年から2012年まで4年連続でメダル受賞
- ワールド・ビア・カップ – 「COEDO 紅赤 -Beniaka-」 がシルバーメダルを獲得(2010年)
- 国際味覚審査機構品評会 – 「紅 -Beniaka-」が2011年にクリスタル味覚賞(3つ星を3年連続)、「伽羅 -Kyara-」「瑠璃 -Ruri-」「白 -Shiro-」「漆黒 -Shikkoku-」が2つ星を受賞
発酵方法で味が変わる!?
麦芽粉砕、仕込みなどのビールが作られる工程については、こちらの過去記事
ビールを”学ぶ”「コエドビール学校に入学してみた」で読むことが出来ます。
COEDOビールの中でも種類によって発酵方法の違いがあるということを予備知識として知っておくと、ビールがもっと美味しくいただけるのではと思います。
ビアスタイルは発酵方法の違いで大きく下記の3つに区分される。
・ラガー酵母を使い下面発酵させるラガー系 = 瑠璃(Ruri)、伽羅(Kyara)、漆黒(Shikoku)→ラガー系のビールは発酵が進むと酵母が沈んでいきます(下面発酵)。また10℃という低温で、冷水がタンクの周囲を循環し温度管理をしています。当然ながら温度が低いので発酵にも1週間程度、熟成には4~6週間もの時間がかかります。
・エール酵母を使い上面発酵させるエール系 = 白(Shiro)、紅赤(Beniaka)、毬花(Marihana)→エール系のビールは発酵が進むと酵母が浮いてきます(上面発酵)。また20℃で発酵、熟成させるため、発酵が3~4日、熟成は2~3週間と、ラガーの半分程度の時間ですみます。
・これら2つ以外の方法→自然発酵がこれに該当します。培養されていない野生酵母を使った造り方。今は数多くは造られていません。
紅赤(Beniaka)はエールタイプのビールに、地元川越で栽培されているサツマイモ「紅赤」を焼き芋にして仕込みタンクに加えた、さわやかな風味が特徴。
白(Shiro)は南ドイツの伝統的なヴァイツェンというビアスタイルでつくられていて、一般的なビールとは違い小麦を多用し、ビール酵母も無ろ過でそのまま含むことから、白濁したクリーミーな味わいとなっています。
毬花(Marihana)は水出し茶のようなイメージ。熱をかけずにホップを抽出しています。
同じエールタイプのビールでもこれだけの違いがあります。
瓶詰め工程、いよいよ製品へ!
COEDOクラフトビール醸造所では、ハイレーターというものを使用して階下に空びんを運んでいます。
これは一言でいうと「瓶のためのエレベーター」。限りあるスペースを活用するため、こういった設備を導入しています。
瓶の中は真空にして、まず二酸化炭素を充填します。二酸化炭素は空気よりも重いため、そこにビールを充填することにより、ビールが空気に触れることはありません。さらには栓の裏側に脱酸素剤を入れ、品質の劣化を防いでいます。
COEDOビールから目が離せない!
7月にはオリンピックに合わせて新商品の発売も控えており、またそれは後日の記事にてご紹介させていただきます。
世界25か国に輸出されているCOEDOビールは、世界中の人たちに愛されており、昨年7月には川越駅西口直結のU-Place1階に、新業態となる醸造所併設の『COEDOBREWERY THE RESTAURANT』をオープンし、市内外から注目を浴びています。
「いつでも飲めるから」と、地元に住んでいるとついつい思ってしまいますが、たまにはCOEDOビールで美味しい酒の肴と晩酌を楽しんでみるのも、いいかもしれませんね。
Information
COEDOクラフトビール醸造所
【住所】埼玉県東松山市大谷1352
【電話】0493-39-2828
【HP】https://www.coedobrewery.com/jp/
【Facebook】https://www.facebook.com/coedobrewery
【Twitter】https://twitter.com/COEDOBREWERY