あなたもプロと同じステージで歌・ダンス・芝居を〜ミュージカル「三銃士」オーディション〜

毎年、汗ばむ季節になると川越市内のあちこちで目にするポスター。

「ミュージカルカンパニーすてっぷ1」が主催する20年以上続くミュージカルの案内。

© ミュージカルカンパニーすてっぷ1

煌びやかな衣装を着て、ステージで踊り、歌い、芝居をするのはプロだけではありません。

毎年、出演者を募集していて、その気があれば誰でもこの舞台で演じられるのです。

年齢・性別・経験は問いませんが、その夢の第一歩はオーディションへの合格。

縁あって、取材する機会がありました。その模様をレポートします。

© ミュージカルカンパニーすてっぷ1

ミュージカルカンパニーすてっぷ1へ

すてっぷ1の住所は仙波町。市立川越第一中学校のそばにあります。

電柱の「すてっぷ1」の案内標識に従って曲がると、

 

少し奥まったところに、モスグリーンで2階建ての建物が「すてっぷ1」が見えました。

 

壁に鏡が張られた30畳ほどのスタジオに加え、手前はちょっとした舞台になっています。

今回は、松石さん、内田さんのお二人のオーディションの模様を記事にしました。

 

松石雅子さん

最初にオーディションに臨んだのは、狭山市でパソコン塾を経営する松石さん。

主婦を中心に結成された女性ミュージカルの劇団「ヴィーナス」にも所属していたそう。

舞台経験は2回。度胸だけはあります!と明るい声で答えるムードメーカな性格の方。

 

審査するのは「すてっぷ1」を主催の「飛翔ひかる」(写真右)さん。

元宝塚歌劇団の男役で、今は、バレエ・ジャズダンス・歌・演技など舞台全般を教えます。

 

オーディションは、歌、ダンス、芝居の3つで審査。

台本を渡されたら10分ほどして演技に入ります。台本を読みながら感情を作っていく。

 

先生が座っている側を客席としての演技。

舞台は自分で考えてと言われた松石さん。入り口を楽屋に見立てて科白を読み始める。

 

続いて歌。アナと雪の女王、私のお父様、天使にラブソングと3曲続けて。

歌がとても好きだという彼女。ソプラノの伸びやかな声が広がります。

 

続いて音楽に合わせての30秒ほどのダンス。

習ったことはないが踊るのは好きという松石さん。記者は友近風だな思ってしまいました。

 

先生がアップダウンのリズムの取り方を伝授。

目で見てもなかなか、それが足が追いつかず、ドタバタしてしまいます。

 

ダンス、歌、芝居が終わって面接。本番に向けての説明。

「お客さんに3,500円のチケットを払って見てもらうので、いい芝居を見せるのは当たり前。

下の人をどれだけ引き上げてカバーできるかが課題。

そのために、ダンス、クラシックバレー、ジャズダンスと週3回のレッスンを受ける。

土日の練習や本番近くには通し稽古もあります」と、アマチュア劇団にない厳しさも話す。

 

年齢の話になって、実は先生と同い年で同じ星座ということが判明し意気投合。

猪年生まれなので、猪突猛進型ですねと、松石さん。

 

みんなの輪が大切だけど(松石さんの性格なら)協調性は問題ないですね。

と和やかにオーディションは終了。結果は後で伝えられます。

 

最後に、体の柔軟性の確認。なんなくピタッと両手がつきました(すごい!)。

 

内田有香さん

午後一番は、所沢にある埼玉芸術総合高校の2年生「内田有香」さん。

 

いささか緊張気味でオーディションに臨みます。

 

埼玉芸術総合高校のジャージを着ていることから話しは自然と学校の話題に。

専攻は演劇。バレー、モダンダンス、声楽を習い、部活は日本舞踊(七々扇流)。

 

先ほどと同じように台本を渡されます。今回は、2013年の公演「真夏の夜の夢」。

誰でも名前は聞いたことのあるシェイクスピア原作の有名な喜劇が原作の舞台。

 

静かに台本を読み込む彼女。少し張り詰めた時間が流れます。

 

宝塚歌劇団の公演「スカーレットピンパネール」の歌をBGMに歌から審査に臨みます。

話す声とは違って、低音でハリのある声。

 

「ミュージカルの男役に向いた良い声ですね、声だけは天性なもの」と感想を述べる先生。

 

「肩幅が広いね、何かやっていた?」と聞くと、水泳とバスケットをしていたとのこと。

肩幅が広いのは(舞台映えがするので)とても良い。

単なるオーディションでなく本人が気づいていない長所を次々と見出していく先生。

 

 続いてはダンス。緩急をもったダイナミックなダンスを披露。

 

フロアーいっぱいを使って踊り自分を表現します。

 

ダンスを見ての柔軟性の確認。このまま、足を後ろに回して立ち上がれる柔らかさ。

小学校1から6年はエアロビをやってましたが、高校に入ってここまでになったそうです。

 

「真夏の夜の夢」に出てくる妖精パック役でのお芝居。

 

舞台経験はないのだそうですが、パックの性格や周りの情景が伝わる表現力を感じました。

 

演技が終わったら面接。

 

もっと体を絞った方がいいですね。本気なら次に会ったときには5kgは落とすつもりで。

役者は自分が商品、自分の身体を把握して自分で作っていく。

 

緊張すると口角が下がる。あなたは笑顔が素敵なので、それだけでも変わる。

 

「あなたは、踊れるし、歌えるし、舞台に立つことでさらに学べるでしょう。」

すてっぷ1からは、4名を輩出しているだけに、先生の言葉には重みがあります。

これまで、20年以上も出演者を募集してミュージカルを続けてきた理由。

そこには、「本人も気づいていない長所を見出して、自分が成長する糧としてもらう」

ミュージカルの舞台をきっかけに、その人が成長した姿を見て、喜びを分かち合いたい。

そんな思いから来ているのではと感じました。

 

先生からのアドバイスをしっかりと受け止めた内田さん。

彼女もオーディションを終える頃には、すっかりと顔が変わっていました。

 

カワゴエ・マス・メディアでは、今年のミュージカルができ上がるまでを追いかけます。

出演者がどんな気持ちで舞台を踏みしめるのか?その一端をお伝えして行きます。

取材・記事 白井紀行


INFORMATION

ミュージカル「三銃士」オーディション

【取材】平成30年1月14日(土)

【住所】ミュージカルカンパニーすてっぷ1(川越市仙波町1-11-29)

【電話】049-226-3494

【HP】http://step1-hisho.com/

【FB】https://www.facebook.com/step1.hisho/

【TW】https://twitter.com/step1_musical

【告知】出演者は引き続き募集しています。詳しくはすてっぷ1にお問い合わせください。