子どもたち、孫たち、その先の未来へ木桶しょうゆをつなぐ~笛木醬油創業祭
川越やその近郊に住んでいて、金笛しょうゆを知らない人はいないでしょう。近くのスーパーに行けば金笛しょうゆの商品が並んでいて、街中へ行くと金笛の看板を見かけます。
金笛しょうゆといえば、1789(寛政元)年創業から今年で232年の笛木醤油さん。年に一度、地域に感謝を伝えるイベントとして毎年9月に「創業祭」を実施しています。今年の創業祭は、9月10日~12日の3日間にわたって行われました。
2019年11月にはおいしい工場見学&しょうゆ蔵のレストラン『金笛しょうゆパーク』がオープンしました。
醤油づくりを楽しく学べる工場見学は、『金笛しょうゆ楽校(がっこう)』という名前で地域の人たちに親しまれています。予約不要で気軽に参加できますが、WEB予約も受け付けており、混雑しているときは待たなくて済むので土日祝日などは予約しておくのがおすすめです。さらにオールカラーの教科書もプレゼントされます。
今回の創業祭期間中(9/10~12)は、金笛しょうゆ楽校は10:30~15:30まで30分毎に11回開催され、また特別にもろみをかき混ぜる体験&しぼりたて生醤油を味わう体験も行われました。
『金笛しょうゆ楽校(がっこう)』予約はこちらから → クリック
『木桶仕込みの醤油づくりを未来に伝えたい』
金笛しょうゆのおいしさのポイントは、なんといっても木桶。全国的に木桶職人さんが減少していますが、金笛しょうゆづくりに欠かすことのできない木桶を製造している職人さんを招いて、今回の創業祭では三十石の木桶の完成披露セレモニーを行いました。
筆者が笛木醤油さんを訪れたのは、創業祭が始まる前日。この日は、木桶職人集団『結い物で繋ぐ会』のメンバーが、木桶づくりの仕上げに入っていました。
木桶職人集団『結い物で繋ぐ会』(岸菜賢一代表)は、日本の各地で、醤油や味噌、酒などを醸造する大桶の製造や修理をしています。100年先も、美味しい木桶で醸した日本の味が楽しめるように、醸造家を支える存在であり続けています。
また、木桶を作るだけではなく、職人による制作実演や木桶づくり体験をとおして、木桶や木樽の魅力を伝えたり、木桶の新規導入や修理に関する相談、木桶を使った商品の開発や販売サポートなども行っています。
大きな木桶を作れる職人さんは、高齢化などもあって現在50人以下に減ってしまいました。廃業してしまうメーカーも多く、なんとしてもこの技術を後世に伝えていかなければならないと、2019年より行っている取り組み『未来へつなぐ100年プロジェクト』の中で、『地球環境に優しく安心安全な 醤油づくりと木桶仕込みを 未来に繋げる』ことを掲げています。
そんな想いから、今は数も少なくなっている桶職人が2016年9月に全国各地から集結し、約50年ぶりに吉野杉を使用した新桶を制作しました。
木桶による醤油の製造は、人工的に発酵を早く進める方法よりも時間も手間もかかりますが、木桶内で菌が生き続けじっくりと発酵が進むため、美味しい醤油になります。
大きい桶を作る技術を身につけるのはもちろん時間がかかります。そして、経験が必要な事です。熟練している人から学ぶしかないのです。そこで大桶を作ったことのある人を探したところ、新潟県上越市で2人のベテラン職人さんと巡り会うことができたということです。
三十石の大きな木桶がいよいよ完成へ…!
今回の完成披露を行った木桶は、2019年5月に佐渡島で若い職人さんを交えて制作したものです。そして2021年9月、佐渡島から笛木醤油さんのある川島町へ木桶を運んできました。
9月7日から、川島町で木桶職人さんたちによる組み立てがスタートしました。
まずは、側板(がわいた)を竹釘で繋ぎ合わせていきます。
そして側板をくみ上げたら、今度は箍(たが)を編みます。箍は、側板を固定する重要な役割を果たしています。とても長い長い竹を細く割って、それを編んでいく作業です。
この竹割りだけでも、習得に相当な時間がかかるそうです。
箍(たが)を編み終わったら、木桶に入れ込んでいき、槌(つち)で箍と側板を固定していく作業を行います。筆者が訪問した日は、インターンシップの大学3年生が木桶づくりを学びにきていました。
棟梁の湯浅啓司さんが、学生さんに丁寧に槌の使い方を教えています。
なんと三十石の大きな木桶は、高さ2メートル、直径2メートル10センチほどもあり、5000~5400リットルの醤油を作ることが出来ます。完成後は数か月の間塩水に浸けて、酵母菌をつけるのだそうです。
木桶は杉の木が好んで用いられます。その理由は100年程度長持ちするということや、ヒノキなどの他の木を使うと香りがついてしまうためです。醤油や味噌の桶は杉が多いです。今回の木桶には、棟梁の地元である徳島県の杉の木と、新潟県佐渡島の竹が使われています。
そして創業祭セレモニー当日…ピンチが訪れる!
正午から予定していた三十石木桶の完成セレモニーですが、木桶の水がなかなか抜けず、スタート時間が遅くなるというピンチに見舞われました。
そこで、棟梁がみずから木桶の中に入り、水を抜く作業を行いました。そしてその後は、見事なバケツリレーが行われ、結局セレモニーは予定より約40分遅れでのスタートとなりました。
いよいよ創業祭の最大のセレモニーがスタート!!
木桶の底板を槌(つち)で打ち込んでいく、社長の十二代目吉五郎さん。
みんなこの時を待っていました!!
名入れ式では、木桶の底に筆で丁寧に文字を入れていきます。
『子どもたち 孫たち、その先の未来へ…』
吉五郎さんの思いを底板に刻んでいきます。
そして『子どもたち 孫たち、その先の未来へ 木桶しょうゆをつなぐ 十二代目吉五郎 令和三年九月吉日』を書き終えたあとは、吉五郎さん、妻の小春さん、5人の子どもたちの計7人家族全員で手形・足形を順番に押していきました。
13時ごろには完成披露セレモニーも無事終了しましたが、この後、今回組み立てに携わった3人の職人さん(湯浅さん、岸菜さん、伊藤さん)と、職人さんたちが所属する『結い物で繋ぐ会』のお名前が入りました。
金笛しょうゆパークのお知らせでも、創業祭の様子が紹介されています。
『創業祭ありがとうございました』(金笛しょうゆパーク お知らせ)
『しょうゆ蔵のレストラン』紹介
セレモニーの後、カワゴエ・マス・メディアのスタッフは『しょうゆ蔵のレストラン』へ。向かって左側がレストラン、右側が売店の入口になっています。
しょうゆの美味しさを出汁とともに味わえるレストランは、店内で製麺する自家製麺のうどんを中心に、川島のおいしいお米を使ったメニューもあります。
中でも看板二大メニューは、『醤油屋の木桶うどん~2種のおつゆ~』と『蔵出ししょうゆの食べ比べうどん』。
醤油屋の木桶うどん ~2種のおつゆ~
単品¥980 / 角煮付き¥1,280 / かき揚げ付き¥1,480
桶職人手作りの木桶に入ったつるつるのおうどんを、胡麻味噌すったて汁と葱ぶた肉汁の2種のおつゆで味わえます。温・冷を選ぶことができます。
蔵出し醤油の食べ比べうどん
単品¥880/角煮付き¥1,180/かき揚げ付き¥1,330
金笛の醤油をつるつるのおうどんにかけていただきます。生醤油で、お出汁とあわせて、味比べが楽しめます。減塩醤油(写真右側)から順番にかけて違いを楽しむのが、美味しく食べるコツです!
また、川越の金笛うんとん処春夏秋冬の人気メニューの角煮やかきあげもあります。
[住所]川島町上伊草660(金笛しょうゆパーク内)
[TEL] 049-297-0917
[HP]https://kinbue-park.jp/restaurant
[営業]11:30~17:00
[定休]なし(臨時休業あり。HPなどで確認を!)
創業祭特別商品がネットで購入できる!!
遠方にお住まいの方に耳より情報です!創業祭特別商品をネットでも販売しています。
店頭では、お食事&お買物¥2000で1枚、醤油皿のプレゼントもあります!
(店頭キャンペーンは9/17までの開催です)
福箱5000、福袋3000、うす塩しょうゆはネットショップでも販売しています。
※ネットショップでは9/30まで!¥2000以上のお買い上げで醤油皿1枚プレゼント!柄はおまかせとなります。
[ネットショップ]http://shop.kinbue.jp/
Information
笛木醤油株式会社/金笛しょうゆパーク
【住所】川島町上伊草660
【電話】049-297-0041
【笛木醤油公式HP】https://kinbue.jp/
【金笛しょうゆパークHP】https://kinbue-park.jp/
【Facebook】https://www.facebook.com/kinbuesoysauce/
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