川越の暑い夏を吹き飛ばす男たちの熱い1日〜鴨田八坂神社祭礼「鴨田の天王様」〜

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取材・記事 白井紀行

 

2016年4月11号にインタビュー記事を掲載した鍛治職人の吉澤さん。

この記事を読んだ方から問い合わせ(クリック)があって吉澤さんに電話。

その際に、「今度、地元のお祭りがあるんですよ、取材に来てみて下さい」

とお話しをいただき出かけて来ました。

過去の記事を読みたい方は写真をクリック!

 

鴨田八坂神社の天王様

地元のお祭りというのは、鴨田八坂神社の祭礼(天王様)

埼玉医大総合医療センターへ向かう県道51号線沿いにある小さな神社です。

8時半に到着するとすでに神職による祝詞が始まっていました。

 

続いて、お祭りの安全を祈って自治会長らが順番に参拝。

天王様は「五穀豊穣」「無病息災」「家内安全」を願うお祭りです。

 

お神酒が各人に振舞われた後、お神輿をお酒で清める。

ちなみこちらには新旧2基のお神輿があります。

 

出発前に全員で記念写真。

 

「安全に楽しくお祭りを楽しみましょう!」円陣を組んで気合いを入れます。

 

お囃子は堤崎流の鴨田囃子連。川越まつりでも演奏するみなさんです。

 

ぐいっと肩を入れてお神輿を担ぎ上げます。

 

お神輿は掛け声と共に中内路地区を巡る

「わっしょいわっしょい」と掛け声と共にお神輿が神社を出発しました。

 

と思ったら道路でお神輿を前後左右に大きく揺さぶります。

 

これは「揉む」といって神輿担ぎの見せ場の一つ。

一気に体力を消耗しそうな激しい動きに担ぎ手らの額からは汗が噴き出します。

 

「わっしょい、わっしょい」の掛け声に乗せてお神輿は進む。

 

神社の隣にある一乗院でお神輿を一旦下ろして一休み。

これまでにない暑さに、水分補給が欠かせません。

 

中内路(なかうつろ)地区では担ぎ手は3班に分けられています。

「次は2班!」と声が掛かります。

 

わっしょいわっしょいという掛け声と共に始まる「揉み」

 

「わっしょいわっしょい」とお神輿は中内路地区を巡る。

 

お神輿は所々で小休止。

自治会長さんや地区の有力者の方が飲み物や食べ物を用意してくれてます。

 

よく冷えたビールで喉を潤す。スイカにトマトに焼き鳥など大判振る舞い。

塩分補給のためにキュウリの漬物や梅干しなども提供されました。

キュウリは切り口が八坂神社の神紋に似ているのでお供え物の意味もあります。

キンキンに冷えたビールが羨ましい(><)

 

飲み物を冷やした氷や、ホースの水を頭から掛けてクールダウン。

全身びっしょりですが、この日の暑さは凄まじくすぐに乾いてしまいます。

 

出発前に振る舞いのお礼を兼ねて「一揉み」。たちまち汗が吹き出します。

 

わっしょい、わっしょい。途中、何度か交代しつつ一行は進む。

 

バシャーとバケツいっぱいの水で火照った身体を冷やす。

背中に氷を入れて驚かしたり水を掛け合ったりとめちゃくちゃ楽しそう。

 

急に進路を変えてわっしょいわっしょい田んぼの中に突入し五穀豊穣を祈ります。

 

倒れてしまった稲は若手が中心となって直す。

 

記者も小休止の度にご相判に預からせていただきました。

大きなコップに注がれたコーラも一息で飲み干すくらい喉がカラカラ。

首の後ろがヒリヒリすると思ったら既に日に焼けてました。

吉澤さんは若頭を務めています。

 

お神輿は揉みや小休止を挟みつつ進行。掛け声が聞こえると近所の方々も道端で応援。

 

西門集会所に到着。ここでお神輿は次の地区に引き渡されます。

 

引渡し前の最後の揉み。土煙があがり今まで以上にお神輿が揺さぶられる。

 

申し伝えの口上と三本締めで西門地区へとお神輿は引き渡されました。

 

子ども神輿

お獅子にウチワを咥えさせて遊ぶ子ども達。

 

ここからは子ども神輿が出発して町内を練り歩きます。

 

お神輿を担ぐのは小学校1・2年、3・4年、5・6年の3班。

1・2年生チームは保護者も手を添えます。

 

わっしょい、わっしょいと掛け声と共に子ども神輿は進む。

 

小休止して水分補給やアイスクリームが配られます。

 

大人たちと同じコースを辿ってこちらで一休み。

 

バケツの水にタオルを浸して涼を取る。この暑さに水遊びは最高です。

記者も氷水で濡らしたハンカチを顔に当ててシャッキリさせました。

 

場所を提供してくれたお家の方にお礼。

そして、今年で子ども神輿を卒業する6年生の挨拶が行われました。

 

子供たちが安全にお祭りが楽しめるよう周りで大人たちがサポート。

 

川越には祭りを通して築かれる地域コミュニティがまだまだ健在です。

 

「濡れてもすぐ乾くよ!」と頭からホースの水をかけてもらい気持ち良さそう。

こうした思い出はいつまでも記憶に残っていくのでしょうね。

火照った身体を冷やす真夏の噴水

お神輿を古い方に入れ替えて出発。揉みが始まりました。

 

こちらは担ぎ棒が2本だけなので、お神輿がさらに大きく揺さぶられます。

顔や肩はすっかり日焼けして真っ赤っか。

 

ここからは、コースを変えて伊佐沼へと向かいます。

 

ふと、住宅街で止まり消火栓を開き始めました。何をするのでしょう?

 

最初は茶色だった水がゴボゴボと音を立てて吹き上がる。

 

住宅街に突如として出現した真夏の噴水。

全身に水を浴びて火照った体を冷やす、周りの気温もぐっと下がりました。

 

担ぎ手の中に消防団の方がいて、お祭りに合わせて消火栓の点検をするのだそうです。

 

わっしょいわっしょいとお神輿は伊佐沼へと近づく。

 

お神輿は男たちと共に伊佐沼へ

伊佐沼に着くと先発隊はすでに水の中に飛び込んでいました。

おおっ、ワニがいて噛まれた!などと水辺にいる子どもたちとのやりとり。

 

上半身裸の男たちがやってきました。

 

伊佐沼に飛び込む前に一揉み。大勢の観客がいるのでさらに激しく揺さぶります。

 

そして、お神輿は伊佐沼へと担がれていきます。

 

伊佐沼の中での揉み。わっしょいわっしょいという掛け声と共に上がる水飛沫。

 

伊佐沼へとダイブ!

さあ、いよいよ祭りも佳境に。最大の見せ場となる伊佐沼ダイブ。

飛び込む人は梯子にあがり、自分の思いの丈を観客に叫びます。

 

そして、ザブンッと飛び込む。

 

足から飛び込むもの

 

水泳の飛び込みをするもの

 

バシャンと腹打ちをして水しぶきをあげるもの

 

飛び込む度に観客からは拍手と歓声が上がります。

 

 

 

 

最後は見事なバク転で決めました。

 

飛び込みが終わったらお神輿をぐるりぐるりと回して汚れを落として清めます。

 

お神輿を再び陸へと担ぎ上げる。水に浸かったため「重い!」と悲鳴が上がります。

 

吉澤さんがお神輿の上に立ち「五穀豊穣」「無病息災」「家内安全」を祈願。

三三七拍子で伊佐沼へ感謝の意を記します。

 

伊佐沼からの帰りは軽トラで運ぶのかと思っていたら、なんと担ぎ。

さすがにみなさんお疲れの表情ながら、交代しつつ鴨田八坂神社へと向かいます。

 

鴨田八坂神社側のコンビニの駐車場に到着。

残された力を出し切るかのように、この日最も激しい最後の揉み。

 

三三七拍子で暑さも吹き飛ぶ男たちの熱い夏の1日も無事にお開きとなりました。

 


INFORMATION

鴨田八坂神社祭礼「天王様」

【開催】平成30年7月15日8:30〜16:00

【場所】鴨田八坂神社(川越市鴨田)