映画と館の2つを楽しむ古くて新しい映画館 〜川越スカラ座〜

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川越スカラ座

映画を見るという習慣が無く、もっぱらテレビで鑑賞する派の私。

ここ数年を振り返っても映画館に足を運んだのは数えるくらいなので、

川越スカラ座で映画を見ることは皆無と云っていい程である。

 

その川越スカラ座に「大林宣彦」さんが舞台挨拶に来ると聞きつけ、

久しぶりにシネマ芸術の世界に浸ってきました。

野のなななのか

わっ、もうこんなに並んでる!

 

朝9時過ぎにいったところ入り口には長蛇の列。

整理券番号をみたら19番でした。

川越スカラ座

整理券を手にしたら一安心。

開場が10時で少し時間があるので、それまで時間つぶし。

 

古本カフェAgoste(閉店しました)

 

ふらふらと蓮馨寺近くの古本カフェAgosteさんまでやってきました。

手にしているのは、川越スカラ座が舞台の小説「路地裏テアトロ」の口絵。

路地裏テアトロ

そのまんまですね(笑)。

 

再び、川越スカラ座へ

 

こんなことをしていたら10時になったので、再び川越スカラ座へ。

川越スカラ座

常連さんには、すっかり見慣れたであろうロビーの風景。

ここで大きな声で喋ると中に聞こえちゃうので要注意!

川越スカラ座

時間までは、次回上映作の予告編が流れます。

やがて場内の照明が落とされ「野のなななのか」の上映です。

川越スカラ座

「なななのか」というちょっと変わったタイトルは四十九日のこと。

元病院長で92歳の主人公の死から物語は始まります。

8月15日の終戦後もソ連軍の侵攻が続く樺太。

そこで、主人公が戦地で体験したかが明らかになって行く。

というのが、もの凄いざっくり過ぎるストーリー。

 

戦争反対を映画という形で訴えていこうというのが根底にありますが、

舞台的な表現、モノローグのような台詞、美しい芦別の景色、

ある仕草にハッとする瞬間、曖昧な死者と生者の境。

「シネマゲルニカ」と称している通り映画を使った芸術というのが、

感想としてもっともしっくり来るような気がします。

 

大林宣彦監督の登場

大林宣彦

大林監督と主人公の若き日を演じた内田周作さんもゲストに迎えて舞台挨拶。

話しは尽きなかったのですが、印象に残ったことが2つ。

 

一つは、芸術ならば競争はおきないということ。

ゴッホとゴーギャン(違ったかもしれませんが)のどちらが偉いか、

なんて決められません。あるのは違いだけです。

政治も経済でなく芸術という視点でやればもっと素晴らしい世の中になる。

 

もうひとつは、映画がフィルムからデジタルに変わったことについて。

デジタルはフィルムの代替で使おうとしてはならない。

デジタルはあくまでもデジタルという新たな手段であること。

そういった話しを聞いて、今見た映画を思い起こすと納得するばかり。

常盤貴子さんのエピソードもありましたが、書ききれないので割愛。

 

川越スカラ座は外観こそ古いですが、新作が上映されています。

スクリーンに映し出すの沢山の人に支えられた導入したデジタル映写機。

デジタル映写機

今回のような映画監督や出演者による舞台挨拶だけでなく、

窓口で歌いながらチケットを注文すると割引になる「ミュージカル割」。

シャネルやエルメスを身につけていると割増になる「セレブ割増」。

といった面白い割引や、映画にちなんだケータリングや飲食店とのコラボ。

貸しギャラリーに他の劇場やお店とのタイアップなど、常に話題を提供。

川越スカラ座

映画だけでなく地域コミュニティを生み出す映画館。

外は古くても中は常に新しい映画館。それが、川越スカラ座なのです。

WRITER NORI


INFORMATION

川越スカラ座

【電話】049-223-0733

【住所】川越市元町1-1-1

【定休】毎週火曜日(営業時間、休みは事前にHP、Twitterでご確認下さい。)

【HP】 k-scalaza.com