イベントで大好評のコエドビール学校に密着!~麦ノ秋音楽祭・後編

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5月11日~12日の2日間、埼玉県東松山市・COEDOクラフトビール醸造所敷地内で開催されたキャンプ型音楽フェス『麦ノ秋音楽祭(むぎのときおんがくさい)2024(主催:コエドブルワリー、ワイズコネクション、イープラス)』の中で、両日各1回「コエドビール学校」が開催されました。

現在のCOEDOビールの工場は、昭和50年代に建てられ企業の研修所だったところをリノベーションしたところで、2016(平成28)年9月1日にCOEDOクラフトビール醸造所として生まれ変わりました。研修センターの建物で元々教室だったところを工場とし、北側を醸造棟、南側を充填棟として使用しています。

COEDOクラフトビール醸造所は2016年の稼働から8年目になった

 

COEDOクラフトビール醸造所は、工業団地ではなく田園地帯の丘の上にあります。ビールの味を決める水にこだわり、この自然に囲まれた場所の水でビールをつくりたいという強い思いでこの地を選んだそうです。COEDOビールを作っている水は、敷地内に掘った井戸から汲み上げており、ミネラルがとても豊富に含まれています。井戸水は、水道水と違い塩素を除去する手間が無いのがメリットです。

COEDOビールの仕込み水は中硬水の自家井戸水を使用している 写真は敷地内の井戸

 

感染症がまん延する以前は、見学ツアー「コエドビール学校」を月2回開講し、代表取締役社長の朝霧重治さんが校長として参加者に授業を行い、コエドビールのことをもっと知ってもらおうという取り組みも行っていました。

なお、カワゴエ・マス・メディアのスタッフも2020年2月にこちらの見学ツアーに参加しています。そのときの様子など詳しいことはこちら→ビールを“学ぶ”「コエドビール学校」へ入学してみた

朝霧校長(奥中央)の説明を真剣に聞く参加者の皆様

 

【コエドビール学校の主な内容】

・ビールの基本概要とCOEDOについて
・醸造所ツアー
・定番6種・イベント限定ビール「音ト鳴」のテイスティング(※おつまみ付き)
など

なお、参加費は2000円、定員は各回限定30名のため、すぐ埋まってしまいます。
次回参加を考えている方は早めに申し込みしましょう。
(特に当日申し込みはすぐに定員になってしまいます)

 

1時間目~醸造所ツアー

ビールができるまでの技術のお話が1時間目です。

①麦芽粉砕室

見学コースの窓のところにはビールの原料である大麦を加工した5種類のモルトの瓶詰が置かれている

ビールには通常黄金色~茶褐色~黒まで様々な色合いがありますが、その色合いの違いは、麦芽の焙煎度合いの差によって生まれます。

コエドビールは、カナダ産やドイツ産のモルトなど数十種類のモルトをブレンドしています。

②仕込み室(釜・ろ過槽)仕込み室(ワールプール)

ここでは糖化作業、麦汁ろ過、麦汁煮沸が行われています。

醸造所で使用しているドイツ製のタンクは、腐食が少なくとても長い期間使用できる

糖化とは、アルコール発酵を行う上で重要な工程であり、これがないとビールになりません。
醸造所のタンクは容量が6000リットルもあり大きいため、耐震性を損なわない範囲で慎重に壁を崩して搬入したのだそうです。

麦芽と水を温度を変えながら分けて仕込み、糖化された「麦汁」ができます。最後に風味や泡だちに必要なホップを追加し、上澄みを濾過して発酵室へ送られます。

麦芽を糖化した麦汁(左)と、糖化する前の大麦(右)

 

麦汁を試飲してみよう

麦芽を水で煮込んだ「麦汁」を試飲。廊下中が甘い香りでいっぱいになっていました。粉砕した麦芽をお湯に入れ、麦のお粥のような状態を65℃に保ちつつ煮込んでいくと甘い麦汁になります。

実際にできた麦汁を試飲させてもらったところ、甘みが感じられた

 

③発酵熟成タンク室

 

ビアスタイルは発酵方法の違いで大きく下記の3つに区分される。

・ラガー酵母を使い下面発酵させるラガー系 = 瑠璃(Ruri)、伽羅(Kyara)、漆黒(Shikkoku)→ラガー系のビールは発酵が進むと酵母が沈んでいきます(下面発酵)。また10℃という低温で、冷水がタンクの周囲を循環し温度管理をしています。当然ながら温度が低いので発酵にも1週間程度、熟成には4~6週間もの時間がかかります。

・エール酵母を使い上面発酵させるエール系 = 白(Shiro)、紅赤(Beniaka)、毬花(Marihana)→エール系のビールは発酵が進むと酵母が浮いてきます(上面発酵)。また20℃で発酵、熟成させるため、発酵が3~4日、熟成は2~3週間と、ラガーの半分程度の時間ですみます。

おいしいビールを作るためには発酵に時間が必要(写真は実際の工場の発酵タンクです)

 

④瓶詰・樽詰・缶詰

天井には詰める前のビールが通るパイプが走っています。出来立てのビールに思いを馳せながら見学コースの廊下を進んでいきます。

 

瓶ビールのほうが美味しそうに見えるかもしれませんが、瓶は光を通しますので、なるべく瓶ビールは暗い場所に置くのが美味しさを保つ秘訣なんだとか。缶ビールは遮光性100パーセント、完全に光を遮断することができます。ただし、缶詰する巻締機はスイス製で大変高価だそうです。樽のビールは、納品先の店舗の注ぎ手によって味わいが変わります。

瓶詰(びんづめ)室の前にはコエドビールの瓶がずらりと並んでいる

その他にも、フィルターはスウェーデン製、ラベラーはドイツ製、充填機はイタリア製など、コエドビールは世界各国の技術を集結して製品になっています。

 

世界のCOEDOビールの数々のアワード

COEDOビールは、世界の食やビールのコンクールで様々な賞を受賞しており、ロビーにはその賞状や楯などが所狭しと並べられています。受賞したアワードの代表的なものをご紹介します。
ビール学校では、朝霧校長が賞状や楯の前で説明を行っていました。

コエドビール学校の最後、朝霧校長が麦の穂を手に説明

 

【COEDOビールの受賞歴】(代表的なもの)

  • モンドセレクション
    •  2007年に全商品受賞(「COEDO 紅赤 -Beniaka-」「瑠璃 -Ruri-」は最高金賞)
    • 2008年は「漆黒 -Shikkoku-」が最高金賞、「白 -Shiro-」が金賞受賞
  • 農商工連携88選 – 「COEDO 紅赤 -Beniaka-」が入選(2008年)
  • ヨーロピアン・ビア・スター(英語版)アワード – 2009年から2012年まで4年連続でメダル受賞
  • ワールド・ビア・カップ – 「COEDO 紅赤 -Beniaka-」 がシルバーメダルを獲得(2010年)
  • 国際味覚審査機構品評会 – 「紅赤 -Beniaka-」が2011年にクリスタル味覚賞(3つ星を3年連続)、「伽羅 -Kyara-」「瑠璃 -Ruri-」「白 -Shiro-」「漆黒 -Shikkoku-」が2つ星を受賞

コエドビールの数多くのアワード。世界的に有名であることの証でもある

 

2時間目~試飲とビールにまつわる小テスト

ラガーステージ前でビールの説明をする朝霧校長

 

まずはイベント用の「音ト鳴」で乾杯!
ほか、試飲で用意されたのは「毬花」、「瑠璃」、「白」、「伽羅」、「紅赤」、「漆黒」の6種類です。種類ごとに解説付きで順番に試飲していきます。一度に6種類(+1種類)を飲み比べられるチャンスはなかなかありません。

そしてビールを飲むときは、食事の色とビールの色を合わせると、なるほど美味しいのだそうですよ。

楽しそうに試飲するビール学校の参加者の皆様

 

そして7種類のビールを試飲して散々酔っぱらったところで、テーブルの上にある小テストに挑戦です。最後にアンケート欄があり感想や要望も記入できます。もしかしたら、レジュメに答えが書いてあるかも!?

ビール学校のレジュメにはCOEDOビールの美味しさの秘密がたくさん書かれている

 

番外編~あの赤い建物の中をご案内!ブルワリーツアー

COEDOビールを実際に作っているクラフトビール醸造所の建物の中を、作り手のスタッフがご案内。5月11日(土)は3回、12日(日)は4回と計7回開催されました。ブルワリーツアーは無料で参加可能。時間はあまりかけたくないけど、ビール工場の中を見たいという方にはおすすめなので、次回の麦ノ秋音楽祭の際にはぜひ参加してみてくださいね!

昨年筆者たちが参加したブルワリーツアー時の写真(缶詰め工程)

 

Information

COEDOクラフトビール醸造所

【住所】埼玉県東松山市大谷1352
【電話】0493-39-2828
【HP】https://www.coedobrewery.com/jp/
【Facebook】https://www.facebook.com/coedobrewery
【X】https://twitter.com/COEDOBREWERY
【麦ノ秋音楽祭X】https://twitter.com/mugino_toki
【麦ノ秋音楽祭HP】https://muginotokiongakusai.jp/