未来へ遺したいもの、伝えたいもの 〜小江戸蔵里でのイベントから〜
新富町1丁目にある小江戸蔵里では、週末にはいつも何かイベントが行われています。
‖ 餅つき大会
1月25日(日)には、市民有志によるもちつき大会が開催されました。
パチパチと爆ぜる薪に熱せられて蒸し上がるもち米。
あたりに立ちこめる煙の匂いがどこか懐かしくもある。
蒸し上がったもち米は臼にあけられ、杵が振るおろされるたびに、餅へと姿を変えて行く。
周りからは「ヨイショ、ヨイショ」と掛け声が上がる。
師走になるとどこでも見られた餅つきという光景が、いまや、ひとつの催しだろうか…。
いや、大人も子供も餅つきの日は朝から楽しみにしていたはず。
そのワクワクした気持ちは、今も昔も変わりはない。
搗き上がった餅は、一口大に分けられてきな粉や大根おろしなどがまぶされる。
沢山の餅も長蛇の列には太刀打ちできず、あっという間に無くなる。
美味しいものはいつも人を笑顔にさせますね。
‖ 紙芝居
隣りのブースでは紙芝居で「かさじぞう」が始まりました。
「貧しいおじいさんが大晦日に菅笠を売りにいったが全く売れない。
帰り道、お地蔵さんが雪に埋もれていたので雪を払い菅笠を被せる。
すると、お地蔵さんが、お礼にお米や餅、小判などを置いて行った。」
そんなストーリーを記憶していました。
それが、紙芝居では、お爺さんが売りにいったのはお婆さんが織った布。
え!菅傘は?と思っていると、路上でぶつかった菅笠売りと売り物を交換するという話しに。
ストーリの違いに軽い驚きを覚え、何より紙芝居師の話術に引き込まれてしまいました。
お地蔵さんが現れる場面。(すいません、うまく撮れてませんでしたm(_ _)m)
お爺さんが「おやあれは何だろう」と云いながら紙芝居をゆっくりスライドさせて行く。
これが、雪の遠くにあるお地蔵さんへだんだん近づいてくるような効果を上げます。
白湯と漬け物を齧って、せめてお正月らしさを出そうと二人が踊り歌う場面。
紙芝居師がその横で実際に踊りを舞い、歌を歌う。
まるで、本当に二人が動き出しているような錯覚を覚えます。
紙芝居は絵を見て話すだけのものでなく、芝居という名の通りまさにエンターテイメント。
時代を超越して紙芝居を心待ちにしていた当時の子供の気持ちになれた気がしました。
‖ ベーゴマ
もうひとつのブースでは子供達にベーゴマを教えていました。
なかなかうまく回らない子供達にこうやるんだよと手本を見せます。
かつては、子供同士で教え合ったのでしょうね。
明治、大正、昭和と3つの時代を伝えるように建てられた蔵が並ぶ小江戸蔵里。
そこで、かつてどこでも見られた光景が平成の今に出現して引き継がれていく。
鏡山酒造だった建物が観光施設として再生され、こうして、人々が集う場になった。
それは、未来へバトンを渡す使命を担うためだったのかもしれない。
WRITER NORI
INFORMATION
川越市産業観光館 小江戸蔵里
【電話】049-228-0855
【住所】川越市新富町1丁目10−1
【営業】明治蔵 10:00~18:00
大正蔵 〈平日〉11:00~15:00、17:00~22:00 〈土日祝〉11:00~22:00
昭和蔵 10時00分~19時00分
【HP】http://www.machikawa.co.jp/