市民とお寺とのコラボレーションで子どもの貧困の支援を!第2回最明寺緊急パントリー
取材・記事 白井紀行
注)この取材は3月28日(土)に行なったものです。
現在は、受付の遮蔽ビニール、ソーシャルディスタンスの確保、フェイスシールドなど
さらに、コロナウィルス感染防止対策を徹底しています。

4月25日(土)に最明寺で行われた「フードパントリー」 の様子)
瑶光山(ようこうざん) 最明寺(さいみょうじ)は川越水上公園近くにあるお寺。
阿弥陀如来を御本尊とする天台宗のお寺です。
弘長二(1262)年に鎌倉幕府執政・北条相模守平時頼が創建しました。
副住職の千田明寛(@saimyou_kun)さんは、地域に根ざし開かれたお寺をモットーに活動。
肉を使用しない仏教の精進料理とフランス料理をかけ合わせた「フレンチ精進の会」。
LGBT、ピンクリボン(乳がん啓発)、Light it Up Blue(世界自閉症啓発デー)など
さまざまな取り組みを行なっています。

注)この写真は2020年1月5日に撮影したものです
こどもの貧困問題もその一つで「おてらおやつクラブ」は、5年前の発足当時から参加。
https://kodomosyokudou.com/report-saimyoji/
こちらは明寛さんデザインの「オリジナルうまい棒」。
最明寺の公式キャラクター「さいみょうくん&さいみょうちゃん」が描かれています。
クリスマスにお寺へのお供え物とともにひとり親家庭の元に届けられました。
最明寺での新たな取り組み「フードパントリー」
その最明寺で3月28日(土)に子どもの貧困対策として開催されたのが「フードパントリー」
企業などから余った食品を集めて保管し、生活に困っている子育て家庭に無料で配る事業です。
主催は「なくそう!『子どもの貧困』川越シンポジウム実行委員会」
もともと、2ヶ月に1回の開催を目指して最明寺と会との間で話が進んでいました。
それが、「緊急パントリー」となったのは、新型コロナウィルスへの対応のためです。
3月2日(月)に政府から春休みまでの全校一斉休校要請が出されました。
給食も無くなるためどの家庭でも昼食の用意をしなければならなくなりました。
また、日中、子どもだけにするわけにいかず、仕事を休んだり時間の短縮をせざるを得ない。
これは、特にひとり親家庭や児童扶養手当受給家庭などの家計を直撃しました。
そのような家庭へ休校期間の応援のために企画されたのが「緊急パントリー」です。
3月12日(木)に第1回が行われ、この日は2回目の開催でした。
参加したスタッフに段取りを説明する、事務局長の時野閏さん。
「フードパントリー」の準備が始まりました
この日は17〜20時の時間帯で、約80世帯を対象にフードパントリーが行われました。
最明寺の講堂には、フードバンク「セカンドハーベスト・ジャパン」から受け取った食品。
セカンドハーベストジャパンとは?
食品製造メーカーで賞味期限が近づいたため問屋や小売店に卸せなくなってしまった食品など。
諸々の理由で十分に食べられるにも関わらず破棄される運命にある食品。
これらを引き取って、生活困窮者に提供している団体です。
ホームページ:http://2hj.org/about/
農家やお店などからの寄付、赤い羽根と真如苑からの助成金で購入した食品が積まれています。
※一部、提供元を開示できない食品があるため、写真に加工を行なっています。
近所の農家さんから玄米30Kgの差し入れ。
玄米は小分けされ、1世帯につき2合が配布されます。
別の農家さんから提供されたのは大きな袋いっぱいの里芋。
ポリ袋に小分けされた里芋は本堂に運びこまれていきます。
会場となる本堂。畳が痛まないように緋毛氈を敷いていきます。
講堂から本堂へ食品のダンボール箱を全員で運び込み。
80世帯分になると相当な量。水の入った箱はずっしりと重くお菓子類は軽いと重さは様々。
この日は寒かったにも関わらず、汗が吹き出し息が切れます。
食品だけでなく、食品を並べるテーブルも。
壁や柱を傷つけないように気をつけて運び込みます。
時野事務局長の指示のもと会場が整えられていきます。
サニーレタスの仕分け
副住職の明寛さんもスタッフとともに会場を設営。
ダンボールから取り出した食品をテーブルに並べていく。
食品は一度に全部を並べないようにする。
賞味期限に余裕があるものは次回にも配れるので、保管のために空箱はすぐに潰さない。
第1回の緊急パントリーで気づいた点をまとめてあり、スタッフに伝えられます。
フードパントリーの利用者には予め色分けされた利用券が配布されています。
世帯数に応じて配布する食品の数が違うものもあるので、一目でわかる工夫です。
ここで一旦、スタッフ全員が準備の手を止めて集合。
時野事務局長より、これから利用者を迎えるにあたっての段取りの確認。
利用者を迎えるにあたっての注意事項やスタッフからの意見が共有されます。
高橋製麺からはうどんが持ち込まれました。
味噌汁の具やさっと炒めると美味しい大根の葉っぱ。
こちらは駐車場の誘導組。
車が集中すると停める場所が無くなるので、一時待機場所などを確認して配置につきます。
この日は、夕方から雨になったので寒い中大変だったのではないでしょうか。
まもなく開場です
食品を並び終え、スタッフはそれぞれ自分の持ち場に付きました。
机の上に並べられた1世帯に配布される食品。
スーパーのレジカゴに入る分量を目安にしているそうです。
※ネット上に公開できない食品もあるため画像は加工しています。
利用者が食品を持ち帰るのに使うエコバックの搬入。
菓子屋横丁でバルーンアートを披露しているクラウン「いちろうくん」も駆け付けました。
風船をシュコシュコと膨らませ、キュッキュと捻って出来上がっていくバルーンアート。
スタッフには花の形の腕輪、テーブルにはバルーンツリーや剣が飾られ会場は楽しい雰囲気に♪
こちらのツリーにはピンクのコアラ。反対から見るとクマに見える仕掛け。
スタッフも思わずニコニコしてしまいます。
記者も取材しつつ案内役でお手伝い。
会員の方が持って来た折り紙細工をプレゼントしました。
17時頃よりポツポツと利用者が会場へとやってきました。
前回のように一度に集中しないように時間をずらして来てもらうお願いが功を奏したようです。
入り口で配られたエコバックを肩に掛け、食品を詰め込んでいきます。
※プライバシー保護のため写真は加工しています。
赤い羽根と真如苑からの助成金で購入したチョコ菓子やスナック菓子。
それぞれ数種類用意して利用者が選べるようにしたアイデアが好評でした。
家にいるとどうしても何か口にする機会が増えてしまい、甘いものが欲しくなりがち。
大人でもそうなのですから子どもは尚更。とても喜ばれていたようでした。
会場を一巡して食品を受け取ったら、いちろうくんとのふれあいタイム。
バルーンアートをプレゼントやし皿回しに挑戦したりと楽しんでいました。
※プライバシー保護のため写真は加工しています。
たくさんあった食品もずいぶんと少なくなって来ました。
不要になった空箱は潰して片付けていきます。
雨が降り始めて寒い中講堂の入り口で利用者を出迎える明寛さん。
帰り際には笑顔で一人一人に声を掛けて見送られていました。
20時を過ぎ最後の利用者さんを送り出した後は、もう一働き。
残った食品、空になったダンボール、テーブルを片付け本堂を清掃。
13時から始まって20時過ぎまでの長い活動が終わりました。
貧困家庭を支援する活動の代表的なものに「フードパントリー」や「こども食堂」があります。
「なくそう!『子どもの貧困』川越シンポジウム実行委員会」は、その運営団体ではありません。
7人に1人と言われる子どもの貧困の実態を把握し、それをより多くの人に知ってもらう。
「子ども食堂」を開こうとするにあたって生じる課題を一緒になって悩んで解決していく。
行政からの支援を得られる環境を整える。お寺のように広くて人が来やすい場所を探すなど。
他にあまり例がなく、なかなか一言では言い表せない活動をする団体です。
新型コロナウィルスの感染拡大防止に伴う緊急事態宣言で様々な活動が自粛されています。
「子ども食堂」もその煽りを受けて中止をせざるえない状況に追い込まれています。
今は、打ち合わせもできず、積極的な参加の呼びかけも憚(はばか)れる時期。
だけど、人は食べずには生きていけません。
貧困家庭を支援する新たな動きが川越でスタートしたことを知ってもらえれば幸いです。
Information
第2回最明寺緊急パントリー
【日時】令和2(2020)年3月28日(土)17:00〜20:00
【主催】なくそう!「子どもの貧困」川越シンポジウム実行委員会
川越子ども応援パントリー
【HP】https://kawagoehinkonsympo.wixsite.com/kawagoehinkonsympo
【FB】https://www.facebook.com/nakukodo
【IN】https://www.instagram.com/nakukodo/
温かいご支援をお願いします!
実行委員会の活動は寄付とボランティアで成り立っています。
活動にご賛同いただける方は、ぜひ、支援金の寄付をお願いいたします。
フードパントリーに対する食品の寄付もお待ちしています。
食品については、事務局のメールまでご一報ください。
【口座】埼玉りそな銀行
川越支店 普通 4520597
なくそう!子どもの貧困川越シンポジウム実行委員会
【Mail】事務局:nakukodo@yahoo.co.jp
ラジオぽてとにご出演いただきました!
ラジオぽてと「告知の来い人」2020年2月号に出演いただきました。
時野事務局長の熱意が込められた内容になっています。ぜひ、ご覧ください。
注)番組中で紹介しているクラウドファンディングのプロジェクトは終了しています。
FAAVO埼玉「子ども支援を各界とのコラボで!川越モデルのバイブル「活動報告書」を作ろう」
https://faavo.jp/saitama/project/4263