プログラミング思考を身につけた子どもたちが見せる未来への片鱗〜codience プログラミングプレゼン大会(第一部)〜

,

取材・記事 白井紀行

 

小学校では2020年から「プログラミング教育」が必須になります。

 

プログラミング教育とは?

子供たちに、コンピュータに意図した処理を行うよう指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育むこと。

プログラミング的思考とは?

(コンピュータを使って)自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力。

小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について」から引用

CやJAVAといった特定のプログラミング 言語を学ぶのではなく、今後、プログラミングや情報技術の在り方がどのように変化していったとしても普遍的に求められる資質や能力を子どもたちに身につけてもらうことが狙いです。

これに先立って、今、各地でプログラミング教室が始まっています。

川越にある「キッズ プログラミング & サイエンス教室 codience」もその一つ。

先日、第3回プログラミング プレゼン大会が開催されたので取材に伺いました。

 

codienceでは、子供向けのプログラミング言語「Scrach」を学ぶ「BASICクラス」。

C#やPythonやiOSアプリなど本格的プログラミング を学ぶ「Professinalクラス」。

女子力を生かしたアプリを開発する「codie Girlクラス」。

ロボットを使って身近なものの仕組みを解明する「ものの仕組み研究室」。

これら4つのクラス※があり半年間(毎月2回)基礎を学ぶ。

次の半年で自分の課題に挑戦し、その成果を親御さんや友だちの前で発表します。

※codienceでは色んな科学実験をするサイエンス教室も開催しています。

 

第一部 小学校2〜3年生の部

第一部はBASICクラスの小2〜3年生7人による成果発表。

大石先生が親御さんへ向け「普段どんなことをしているかを見て欲しい」と挨拶。

 

子ども達には「聞いている人に成果を分かり易く、挨拶も忘れずに」と心構えを。

「元気よくできる人」との問いかけに、「はい」と皆んなから元気な声。

 

親御さんやお友達の見守る中、いよいよプレゼンの始まりです!

 

目覚まし時計/まいかちゃん

トップバッターは、まいかちゃん。やや、緊張した面持ちで前へ。

発表内容は、作品の説明、工夫した処、大変だった処、感想、次回への意気込み。

これらを紙に書いたものがタブレットに取り込んであるので、それを読み上げます。

 

 

作成したのは「目覚まし時計」

「いつも使っている目覚まし時計みたいにセットした時間になると音が鳴ります」

 

「工夫したのは『恐竜がガォーというところ』」。

「大変だったのは『(セットした時間と今の時間とを比較する)変数を使うところ』」

 

「感想は『全部自分で作って大変だったけど楽しかった』」。

次回の意気込みは『シューティングゲームに挑戦したい』」。

と、みんなの前で自分の成果を発表。実際に音を鳴らすデモも無事に終わりました。

 

大石先生がプログラムを解説。

時間という変数、目覚まし時計という身近なものを再現したことを評価しました。

 

こちらがプログラミング 教室で使っているScrachというプログラムの画面。

機能で色分けされたパーツをブロックのように組み合わせてプログラムを作ります。

子ども向けのためカラフルなので簡単そうに見えて実はそうではありません。

例えば、最初にアラームの時と分を0にする処理をしています。

これは変数の初期化と言って実際のプログラミング でも基本中の基本。

それを理解して取り入れていたりと、高度なことをやっているのに関心します。

 

暴走列車/ゆうしくん

暴走列車というゲームを作ってきたのはゆうしくん。

 

猫を上下左右に動かし、スペースで電車を動かします。

 

どんどんと迫り来る電車(遠近感のある背景の線路の幅にも合わせてあります)

 

猫が避けきれず電車に当たったらゲームオーバ。

 

背景とうまくマッチングしながら電車の大きさを10%ずつ大きくする。

それで、電車が動いているように見える工夫がされています。

 

「忍耐力があって我慢強く、途中で投げ出さなかった」と先生が褒めていました。

 

あっちむいてほいロボ/ひろむくん

「もののしくみ研究室」からロボットを持ってきたのはひろむくん。

 

自分の代わりに「あっち向いてホイ」をするロボット。

人間の指のように上下左右に動くと会場からは「すごい!」と声が上がりました。

 

土台を広げる、支える棒が折れないように強くしたなど工夫も盛り込んだそう。

 

ブロックのように組み合わせるロボット教材を使っています。

 

実際にロボットを動かすデモ。ひろむくんがなかなか勝てません。

見事に指の方向に振り向いた時には会場は笑いに包まれました。

 

プログラムの解説です。手首をリアルに動かすためにサーボモータを2つ使用。

一つのボタン操作だけで指の動きを決める条件分岐が使われています。

 

「理解力があり積極的で教室内でのムードメーカ的な存在なひろむくん。

次も新しいことに挑戦して面白いものを作って欲しい」とたくみ先生の総評。

ひろむくんは次回は「ドラゴン」に挑戦するそうです。

 

野球ゲーム/かんたろう

ボードゲームのような二人対戦の野球ゲームを作ってきたかんたろうくん。

 

Sボタンを押すとストレートボールがCボタンを押すとカーブボールが出ます。

スペースキーを押すとバットを振り、ボールが当たればホームランです。

野球場の背景もかんたろうくんが描いたそうで雰囲気がよく出ています。

 

プログラムの解説。バットを15度ずつ動かすことで振っているように見せます。

ストレートとカーブの2つのボールの使い分けが難しかったとか。

かんたろうくん、次回はサッカーゲームに挑戦するそうです。

 

クイズゲーム/ちさきちゃん

「このゲームは算数のクイズゲームです。全部で5問あります。

最初の方は簡単だけど、最後の方は難しい。」とゲームの説明をするちさきちゃん。

 

キャラクターが出す問題に答えていきます。間違えると応援してくれます。

 

50点以上を得点すると「おめでとう」とキャラクターがお祝い。

その後ろにある風船を動かすのが難しかったそう。

 

ブロックもたくさん並び複雑なプログラム。

問題と回答のリストが用意して入力した値と比較。1番目が終わると2番目に進む。

同時にタイマーも動かしているなど、かなり本格的なものになっています。

 

死鬼(しおに)/しゅうくん

「上向け矢印は前、下向き矢印は後ろ、右回りは右、左回りは左。つかまったら負け」

と、動かし方を見ている人に分かりやすく説明するしゅうくん。

先生曰く、こういうゲームを作りたいと決め黙々と製作する有言実タイプだそう。

 

赤丸で囲んだのが主人公、鬼から逃げて行きながら黄色いコインを集めます。

行きたい方向に主人公を回転させてから動かすという操作もユニーク。

ドラゴンなどの邪魔者で画面を見づらくすることでゲームを難しくしています。

建物を主人公にしたことの感性が素晴らしいと先生からの感想。

 

プログラミングでは6個の邪魔者の動きをそれぞれ異なるものにする。

あるいは、壁に当たったら向きを変えるなどが大変だったとか。

次回は、中級レベルのゲームに挑戦したいと意欲をみせました。

 

車と信号/しゅんたくん

「もののしくみ研究室」からもうひとつ「車と信号」のロボット。

歩行者信号の青、青の点滅、赤と連動し、青になると車のタイヤが回る仕組み。

 

信号機のロボットはロボットキットにあるが、それに車を組み合わせた。

そういった面白いアイデアがあるので、いろんなロボットを作ってと評価。

 

「最初に赤を点灯、2秒後に消灯、青を点灯させDCモータを回す」

そんなプログラムが記述されています。

プラグラミング言語は違いますが、例えば、洗濯機の制御も考え方は変わりません。

「水が一杯になったら、洗濯槽を回し、脱水する」という手順が記述されています。

自分が目にした動きをどうプログラムに落とし込むか?

身近にある機械をそんな風に観察することで、考える力が養われそうですね。

 

第一部終了

これで小2〜3によるプレゼンが終わりました。

「タブレットの画面をずっと見たままでなく、あめみや先生やたくみ先生が操作しているのを見ながら進行を意識して発表するのが素晴らしかった」と大石先生の総評。

10月からは、どういうゲームやシステムを作るかを講師と打ち合わせ企画書を作り、プログラミングの制作にかかるのだそうで、それを聞くと次回の発表も楽しみになります。

「2045年にAIが人間を超えると言われるが、ものを一から考えて生み出したり、デザインをするといった部分は勝てない。そういった創造力を使って制作活動をしていって欲しい」と子どもたちにメッセージを語りかけました。

 

ロボットの展示

会場の背後には子ども達がつくったロボットが展示されていました。

 

子ども達のアイデアがいっぱい詰まった作品。

 

その一つ一つにロボットの説明が書かれ、先生から丁寧な言葉が添えられていました。

今日プレゼンをしていた子どもたちも2045年になれば30代後半。

社会の一線で活躍している年齢になっています。

プログラミング思考を身につけた子ども達がどんな未来を作るのか?

第一部の発表を聞くだけでもその片鱗を垣間見た気がしました。

 

来週は、第2部 小4から中1までの子ども達のプレゼンをご紹介します。


INFORMATION

codience プログラミングプレゼン大会

【開催】平成30年9月23日 第1部14:00〜15:15/第2部16:00〜18:00

【場所】ウェスタ川越3F 研修室2・3(川越市新宿町1-17-17)

【HP】https://www.codience.net/

【FB】https://www.facebook.com/codience.net/

【TW】https://twitter.com/codience3

川越市新宿町1-17-17