<インタビュー> 株式会社ユニフォームネット代表取締役社長 荒川広志様

取材・記事 白井紀行

株式会社ユニフォームネット とは

株式会社ユニフォームネットは、1975(昭和50)年に荒川友成様(現.取締役相談役)が福島県郡山市でユニフォームを扱う「郡商社」として創業しました。現在は、本社を東京都(千代田区神田)に移し、福島県、栃木県、茨城県、群馬県と営業エリアを展開しています。


 

この6月に10箇所目の拠点として埼玉県に初の進出。営業所を川越に開設されるとのことで、2012年に同社の代表取締役社長に就任した荒川広志様にお話を伺いました。

 

 - 川越営業所(大袋新田871-4)のオープンはいつからでしょうか?

事務所はアシスタントの募集や内装や看板の取り付けなどで3月から借りていました。
5月中旬から川越営業所で働く社員の研修を東京支店で行い6月に配属。
6月4日に出陣式を行い営業を開始しました。

出陣式の様子  ©株式会社ユニフォームネット

 

 - 2014年につくば営業所、2016年に福島営業所と積極的に拡大していますが、埼玉県で最初の拠点として川越を選んだのは?

私たちは車で1時間くらいで移動できる範囲を商圏とする、地域密着型のビジネスモデルで展開しています。
創業の地である福島県は、広いのと地理的な関係で郡山・福島・会津・いわきと4拠点あって、それぞれ30km圏内にある企業をターゲットとしています。

埼玉県だと、さいたま市(大宮や浦和)は企業も多いのですが車だと動きにくい。
また、私たちの会社が埼玉県だけをターゲットとしていくなら選んだかもしれませんが、面として千葉県や神奈川県へも広げていくつもりなので交通の便としても狙い所かなと思って川越に決めました。

川越営業所  ©株式会社ユニフォームネット

 

 - 社員は現在約90名とのことですが、各拠点は何人くらいいらっしゃるんですか?

会津営業所が一番少なくて営業が2人とアシスタントが1人。郡山支店は創業の地でもあるので一番多くて営業が8人にアシスタントが2人、東京支店は営業6人にアシスタント2人。

あと、郡山の商品部(富田物流センター)に13人いて、メーカーから仕入れた商品をここから年間100万点、1日4,000点を各拠点や直接お客様に配送しています。

富田物流センター(福島県郡山市) ©株式会社ユニフォームネット

 

- カタログを見せてもらいましたが本当にたくさんの種類があって値段も様々ですね。

私たちが扱っている中で一番多いユニフォームは運送業や工場で働く人が着る作業服で、ブルゾンやパンツで1着2,000〜5,000円くらいの価格帯がメインになります。事務服になると1〜2万円で、Tシャツやポロシャツなんかだと1,000円。平均すると2,500円くらいですね。

 

- アロハシャツがホームページに載っていましたが、これもユニフォームなんですね。主にどんなところで着られるんですか?

旅行会社さんやリゾート施設が夏になると着たりします。アロハシャツはなかなかその辺には売っていないし同じ柄が何着もあるわけでもありませんから。
また、介護施設では1年中空調が効いていて季節感がなくなってしまうので、職員が着ることで夏っぽさを演出したりするということも聞いています。

 

ワークウェアは自分の好み、
ユニフォームは会社のポリシー

仕事着は「ワークウェア」と「ユニフォーム」に分かれると考えています。

ワークウェアは格好がいいだとかで選んで個人が着て満足すればいいのに対して、ユニフォームは企業が社員に着てもらうことで成立します。例え同じ服であっても、自分の好きなものを着るのはユニフォームではないんです。

企業の場合は体格の良い人も痩せ型の人も服で同じイメージを持たせないといけない。この人は入るサイズがないから違うものを着せるというわけにはいかないので、一番大きいのだと10Lまで揃えていると聞いたことがあります。そういうとこまで対応しないといけないのがユニフォームなんです。

こちらはユニフォームネット の営業職のユニフォーム。

 

- ユニフォームからどこの会社であるというのが一目で分かる必要がありますね。

どういう仕事の人だとかということが一目で分からないといけないし、会社の方針が反映されているのがユニフォームなので、事業承継で会社名やロゴを変えたりコーポレートカラーを変えれば、ユニフォームにも関わってくることになります。例えば、「清潔感」とひとことでいっても白や青ではない清潔感もあり、そのイメージに合わせてどうコーディネートしていくかも私たちの役割になります。

この時に、他の会社と被らないようにするのも私たちの責任です。特徴的なデザインだと色違いでもクレームになることがありますので。

 

- 近所だとお昼に行った先で、同じユニフォームを着ている別の会社の人と鉢合わせ。なんてこともありますものね。ユニフォームってデザインが独特というか一目で制服だって分かりますから。

ユニフォームは、象徴性というか他と区別がされないと意味がない。スーパーならお客さんなのか店員かが正面からだけでなくて背中からでも、あるいは、屈んでいても分からないといけないんです。

 

- そういえば、大型の電気店でもまず服を見て探していますね。

ユニフォームは、格好いいだけではなくて異質なもので目立たせないといけないんです。ホテルだと木目調とか落ち着いた内装の中で、ベルボーイのように誰がホテルのスタッフでどんな役割をしている人かが一目で分からないと意味がない。サービス業なんですから。

逆に、清掃やビルメンテナンスをする人は街に溶け込まないといけないし、警備員や警察官だと制服を着ているだけで規律を守らせたり抑止力にならないといけない。そういう意味でもワークウェアとユニフォームは異なるんです。

従業員が格好いいというのを採用してみるとあまり上手くいかないケースがありますね。個人の趣味嗜好が重なって妥協してしまうから。

広報の山口さんが着ているのは、今年リニューアルされたユニフォームネット の事務服(夏服)。新人営業マン4人がプレゼンを行って決めたもの。リニューアルの過程で、ユニフォームネット 全社員に向けて「らしさ」を考えたり、お客様の立場に立ってユニフォームを選ぶ、それを着ることで対外的にどう見えるかなどを経験させ、社員のレベルアップや社内コミュニケーション活性化にも繋げています。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000023648.html

 

紙という形に落とし込む

- ユニフォームネット 様では、パンフレットにとても力を入れてますね。

メーカーさんからは図鑑のような詳細な情報が載ったカタログが配られます。これは選ぶにはいいのですが、営業用のツールではない。私たちは、シーンをイメージしてもらって買いたいなと思われるような情報を付加したオリジナルのパンフレットをつくることで他社と差別化をしているんです。

自社で制作しているというパンフレットや冊子 ©株式会社ユニフォームネット

 

ユニフォームの良し悪しももちろんですが、私たちが目指すのはお客様である企業が良くなってもらうこと。名前を知ってもらうにはどうしたらいいのか?生産性をあげるにはどうしたらいいか?など、企業が持つさまざまな課題をユニフォームで解決するのが私たちのミッションです。

 

私たちのユニフォームで、会社が良くなれば、社員さんも良くなっていい生活ができるようになる。そうすると、その会社のお客さんにもっといい商品やサービスを提供できたりということに繋がる。

「人と企業と社会が全部繋がっていって、人が良くなれば企業が良くなって、企業が良くなれば、社会も良くなって、最後はまた人に還元される」というのが当社の理念なんです。

 

「Voice」は私のライフワーク

私のライフワークともいえるのですが、当社でユニフォームを買っていただいたお客様にインタビューをし「Voice」という冊子にまとめる活動を3年前から始めました。

ユニフォームを売ったきりにするのではなく、私たちから買っていただいた会社がどういう仕事をしているのかを伝えたり、それをまた別の企業さんに事例として見てもらって興味を持ってもらう。あるいは実際に商品を作っているメーカーさんにどんな人が着ていて、どんな評価をしてもらっているかを知ってもらったり。

それと、営業会社だと数字以外ではなかなか評価しにくいので、「Voice」は当社の社員に対して作っているという面もあります。どういうところに納めたとか、どういうふうに使われているかとか、お客さんに喜んでいただいているといった成果を全て紙に落とし込んで形に残しているんです。

ユニフォームネットでは、2015年から荒川社長自らが企業を取材したユニフォーム導入事例集「Voice」を作成。それらを100社分集めた記念誌「user’s VOICE100-お客様の声-」を今年の3月に発刊しました。 ©株式会社ユニフォームネット

 

インターネットの時代でもフェイスtoフェイスで

-自分の仕事がこうして形になって認められるのって社員にとっても嬉しいでしょうね。こちらのLezen(レゼン)なんかはまるでファッション誌のようですね。

Lezen(レゼン)は女性向けのオフィスウェアを紹介する情報マガジンです。他ではまずやらないような一つの誌面の中でメーカさん同士を比較して見たりとか、オススメを特集して見たりとか、どういうところで作られているのかを取材し紹介しています。

 

7月に発刊する次号の特集は「オフィスdeヨガ」だそうです!
©株式会社ユニフォームネット

 

野菜だって生産者の顔が分かる時代なのに、この服がどこで作られているのかや、どういう人がデザインしているのか、お客様に伝えないまま販売してしまっているなと思い情報発信ツールとして制作していますね。

 

-いまだとインターネットを使えばボタン一つで何でも買えてしまう時代ですものね。

顕在化しているニーズはネットが便利だし、こんな商品はどうかとAI(人工知能)が勧めてくれたりもしますが、あくまで統計的なものなので、そこにはストーリーがありません。

どういうシーンで使うのかとか、これから何が起きるだろうとか、何に困っているのかという意味をAIは気づけない。そこに私たちが介在して状況を見ながら、この商品を扱っている意味をフェイスtoフェイスで伝えていく。

中には必要でない情報があるかもしれませんが、人って何に興味を持つかは分からない。だから、女性が事務服を着ていない企業にも、この冊子を手渡すことで「きっかけ」になればと。

それと、営業マンの数が増えてきて、全員一律で勉強会して知識の統一をするのも難しくなってきたので、そういったことにも活用しています。

 

- インターネットといえば、テレビ会議システムの「ワンフロTV」というシステムも導入されていますね。

全拠点を常時テレビ電話会議システムで繋ぐ「ワンフロTV」は、勉強会や会議にも使いますが、当社のコミュニケーションの重要な役割も果たしています。

拠点が離れていると1年に1回位しか全社員が集まれないのでどうしても一体感が薄れてしまう。でも、朝、顔を見ながら電話すれば、その背景で事務所に皆がちゃんといるだとか、事務所を綺麗にしているかも分かる。そういったことで距離を縮めるのに役立てているんです。

「ワンフロTV」を使用した勉強会の様子。テレビ画面を通して商品紹介をしています。 ©株式会社ユニフォームネット

 

思いは忘れてしまう
だから紙に残していく

-この他にも、リクルート冊子や社内報もあって、これだけの印刷物を作るのは大変ですね。いまだと、グループウェアの掲示板やメールが主流ですけどあえて紙にしているのは?

 

社内報「NET’s TIMES」 ©株式会社ユニフォームネット

 

Facebookやインスタグラムといった電子データは時間とともに流れてしまう。メールとかも文章と画像はバラバラになっている。電子データって興味が無ければわざわざ開いてまで見ようとしないし印象に残りにくい。でも紙なら強制的というか、気が付いた時に見れるように残しておける。

毎年、中期経営計画書を社員向けに作っているんですが、これも印刷しているんです。ちょっとずつ見やすくしたりとかデザインを変えたりして社員へ伝えたいことを分かりやすく紙に落としています。その代わり、私は社員にほとんどメールをしません。上からの指示はメールだと伝わらないことが多いですから。

中期経営計画書。右上から古い順 ©株式会社ユニフォームネット

 

- こんな風にきちんと印刷物にすると、そこに書いたことを実現しないといけないというか、自分のやる気を見せることにもなりますし、後にも残りますよね。

伝えていかなければと思っていても、どうしても、その時の思いは忘れてしまうんです。

例えば他にも、私が社長に就任する前は、今の会長が社長をやっていたので、父が社長を辞めてからは15年くらい経つ。そうすると、社員も様変わりして、創業者であるうちの父が陣頭指揮を取っていた頃やなぜユニフォームを扱っているかを知っている人も少なくなってきた。

「Voice」でいろんな会社にインタビューをしてきたけど、自分の会社のことはあまり社員に伝えていないなと。いつ創業していつどこに営業所を出してとか沿革は分かるけど、その間にあった失敗した話とか苦労した話とかは伝えていないので。大きい会社だったら社史にするんでしょうけど、流石にそこまでは難しいので、創業者へのインタビューをして社内報に載せたりもしています。

ここに父の顔が載せてあるんですけど、こんな顔をしていたんだと、それだけでも知ってもらえればいいなと思っています。

社内報「NET’s TIMES」創刊号では、父親であり創業者の荒川友成氏の半生を特集。
©株式会社ユニフォームネット

 

先代との違いを見せるには
自分の強みを見せるしかない

創業者の声というか勢いや馬力っていうのは大きくて、自分が幾ら大きな声を出しても敵わないんです。先代と差別化するための自分の強みが見つけられない時代がずっと続いている中で、リーマン・ショックがあって震災があって不安定な時代になってきました。

そんな中で、今までと雰囲気だったりやり方を変えていかなければと考えて、先代とは違う自分の強みである「見える化」を見つけました。それが、今までお話してきた何でも分かりやすく紙に落としたり表現したりといったことになりますね。

 

「見える化」から「見せる化」へ

今年の取組みのポイントは「見える化」から「見せる化」。見えるようにはなったんだけど、さらに、どうやってお客様に当社のことを知ってもらうようにするのかという「見せる化」を推し進めています。

私たちは表舞台に立つ会社ではないし、ユニフォームの業界があるなんて、なかなか一般の人は知り得ない。だから、ちゃんと伝える必要があるんだろうなということで、広報というかPR活動に力を入れています。

 

- 荒川社長には先日、私たちが運営する「ラジオぽてと」にも出演していただきましたが、これも「見せる化」の一つですね。今後、川越ではどんな「見せる化」を考えているのか、お聞かせください。

新参者なので、会社の看板を掲げるとか、営業車にちゃんと社名が入っているといったベーシックなものから始めて、次に、地域にどうやって根付いていくか、皆さんに知ってもらうにはどうしたらいいかということを考えていきたいです。商品を扱ってもらうのは後の話。まず、私たちが街に溶け込んでいければと思います。

 

今、ユニフォームについて何か課題を持っている川越や周辺企業の方、ぜひ、ユニフォームネットにお問い合わせください。親身になって相談に乗り、解決してくれるはずです。

荒川社長、お忙しい中、ありがとうございました。


INFORMATION

株式会社ユニフォームネット

【本社】千代田区鍛冶町2-4-5 オオタニビル4F

【代表電話】

【川越営業所】川越市大袋新田871-4

【電話】 049-246-2233

【HP】http://www.uniform-net.jp/

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川越市大袋新田871-4