美しい街並みを支える職人さんの仕事を体験〜川越の職人と手しごと体験市〜

,

蔵の街が連なる川越一番街。

その景観を様々な方面から支えているのが「NPO法人 川越蔵の会」。

shokunin01

9月24日に「川越の職人と手しごと体験市」を開催すると聞き伺ってきました。

川越のまちでは、文化を育んできた多くの職人が今も仕事を続けてます。大工さん、庭師さん、木挽さん、鍛冶やさん、家具職人、瓦屋さん。職人の技は時に大胆で、時に繊細。今も生き続ける川越の職人魂を身体と心で感じて下さい。(フライヤーより)

160924teshigoto

場所は仲町の鍛治町。普段は見かけない光景に道行く人も興味深々です。

shokunin02

入り口の木組みは、大工のコーナーで、木の家ネット・埼玉の「くむんだー」。

伝統的な木組みによるジャングルジム作りの体験です。

shokunin03

ヘルメットを被り、木槌を手に子供たちは夢中になって楽しんでいました。

shokunin04

奥にも職人さんの手仕事を体験出来る様々なコーナーが設けられています。

shokunin05

木挽(こびきのコーナー)

二人で息を合わせて挽いているのは、台挽き大鋸(おが)というノコギリ。

shokunin46

丸太を横方向にスライス。

shokunin07

電気鉋(かんな)をかけて表面を滑らかにします。

shokunin08

最後に「川越蔵の会」の焼印を押して、鍋敷きの完成です。

shokunin09

こちらは何をやっているか分かりますか?

shokunin47

前挽き大鋸(おが)を使った丸太挽き体験のコーナーです。

shokunin10

こんな大きなノコギリを見るのは初めてです。

調べると製材所で使われたものですが、今は電動製材機に置き換わっているそうです。

shokunin11

各コーナーには道具や技法がわかりやすく展示・説明されています。

shokunin12

 

鍛冶のコーナー

鍛冶のコーナーでは、「和釘のフック作り」体験ができます。

和舟作りで鍛冶職人の吉澤さんを取材したこともあるので思わず見入ってしまう。

【記事】吉澤典史さん(鍛冶職人・吉澤刃物)~一艘の舟から始まる川物語・その2~

shokunin13

真っ赤にもえるコークスの中で熱せられる6mm角の鉄棒。

shokunin14

これをハンマーで叩いて和釘に仕上げていきます。

完成品を見ると和釘といっても舟と建物では随分と違うことに気づかされます。

shokunin15

川越の蔵に使われていた金物を使用して作られた「川越古鉄」

かなり好評で次々と売れていきました。

shokunin16

 

大工のコーナー

大工のコーナーでは鉋(かんな)がけの体験ができます。

shokunin17

薄く削られた鉋の削り華(かんなくず)。檜のとてもいい香りがします。

shokunin18

これをリボンのように使って形を整える。

shokunin20

フラワーアートの体験コーナーです。

shokunin19

庭師のコーナー

川越造園組合青年部「庭者」による庭師のコーナー

指導を受けながらやっているのは、竹の器に植栽等をする「ミニミニ庭づくり」

shokunin21

竹の器に土をいれ、植物を植え、石を乗せ苔で覆う。

shokunin22

こんな作品が出来上がります。

shokunin45

レーキという熊手状の道具を使って、お寺で見かける「砂紋描き」体験。

shokunin24

こんな感じで美しい砂紋を描くことができます。

shokunin25

 

瓦師のコーナー

記者が伺った時間、体験者が一番多かったのが瓦師のコーナー。

shokunin26

古い瓦を小さく切り好きな絵柄を描いたらそれに沿って鏨(たがね)で削ります。

ちょっとの力加減で割れてしまうので、体験者はなかなか苦労していました。

(写真は瓦師の方が大まかな形を作る様子です)

shokunin27

完成するとこんな箸置きができあがります。

shokunin28

瓦師の方に幾つかの工程を見せてもらいました。

これは、瓦割り機。上下に円板状のカッターが取り付けられています。

shokunin29

レバーを押しながら筋を付けていくだけで、パカッという感じで瓦が割れます。

shokunin30

こちらは、先の尖った金槌を使った瓦割り。

shokunin31

筋を付けたらコンっと衝撃を与えると瓦は綺麗に割れます。

shokunin32

瓦への穴あけ。金槌を回しながら打っているので割れないのだそうです。

shokunin33

瓦は1,000年以上の耐久性を持ち、葺き替えをすればずっと使い続けられるそうです。

しかし、長年使っていると瓦自体が波打ってきます。

波打った瓦を調整しながら載せるより新品を乗せた方が時間がかからない。

そんな理由から建物と一緒に破棄されるため今は30〜40年しか使わないそう。

shokunin48

 

氷式木製冷蔵庫とお箸作り体験

会場の一番奥に、前から見てみたかった「氷式木製冷蔵庫」が展示してありました。

shokunin34

市内にある(有)田嶋木工所が、復刻生産を始めた木製冷蔵庫です。

shokunin35

上の段には氷が入っています。

「氷の冷気で冷やすため、適度な湿度と温度で旨みを引き出します。

乾燥しにくいので生鮮食品には最適です。

振動がなく10〜14℃のワインに優しい庫内の湿度と温度を保ちます。」

とパンフレットにあり、電気冷蔵庫にはない様々な利点もあるそうです。

shokunin36

中に手を入れると、洞窟の中のような心地よい冷たさ。

shokunin37

こちらでは箸作り体験もやっていました。

使っているのは平成26年に川越氷川神社社務所を新築したときに使った木材。

檜(ひのき)、欅(けやき)、タモの3種類で色や硬さが異なります。

shokunin38

箸作りの削りは3工程。荒仕上げ、中仕上げ、八角仕上げと進みます。

shokunin39

こんな感じで小さな鉋で削っていきます。

shokunin40

削る前の四角い棒が削ることで箸の形になっているのがわかります。

shokunin41

紙ヤスリの代わりに使っているという「トクサ」という植物を見せてもらいました。

中は空洞になっていて、表面は縦方向に筋が入っています。

shokunin42

これが見た目以上に丈夫で、削りたての箸に当てるとヤスリのように削れます。

shokunin43

帰り際に手を広げて見せてもらいました。

そこには、長年、木工に携わる中で培った職人さんの技術が刻まれていました。

shokunin44

この美しい街並みが多くの職人さんたちの力によって支えられている。

そんなことを改めて意識したイベントでした。

shokunin49

取材・記事 白井紀行


INFORMATION

川越の職人と手しごと体験市

【日時】平成28年9月24日(土)10:00〜16:00

【場所】鍛治町広場(川越市仲町4

【HP】http://www.kuranokai.org/home.html