幾多の手を掛け間もなく完成~一艘の舟から始まる川物語・その5~
3週間振りに訪れた那珂川の舟大工、峰岸さんの作業場。

見た目にはもうすっかり出来上がったように見えます。

フォルムにもこだわったおかげで、見た目がとても美しい。

舳先の立ち上がりや膨らみのカーブに惚れ惚れします。
おもりは舟底をより平らにするためのもの。

幅も1.5mあって、大人二人がゆったりと座れる広さです。

やおら声を掛けられ、みんなで舟を傾けます。

ホケ(舟のサイド)を手斧(ちょうな)で削って形を整えます。
舳先に至る美しいカーブも、まずは、このように手で削ったものです。

そのあと、電動カンナでより滑らかにします。

‖ 舟釘の使われ方
両鍔(りょうつば)ノミを使って舟釘を打つための穴を穿ちます。

穿った穴に舟釘を打ち込む。

舟底のはぎ合わせに使ったものと違い頭の部分の幅が広くなっています。
※舟底に使われた舟釘は「オドシ」、こちらは「ネツケ」というそうです。

和舟はすべて舟釘だけで木と木を止めています。
下の展開図を頭に入れて、どこに舟釘が使われているかをお見せします。

「タチド」の部分。

その裏、舟底で舟釘が折り曲げられています。

舟底の部分は「埋木」で舟釘は見えません。

舟の最後尾、ゴバンの部分。
木と木を密着させて舟釘で止めているだけ。
それで、浸水がしないのですから、改めてその技術に感嘆します。

左の木片が埋木。右にはこれまで舟釘や工具が納められています。

‖ ヨコバリの取り付け
ホケの間を横に渡し、支えとして水圧を防ぐ「ヨコバリ」に取りかかります。

これは舟底に取り付ける「ヨコバリ」

現物合わせで引かれた線に沿ってノコギリで切っていきます。

舟のホケは上が広く下が狭い、舟底はヨコバリは船首の方が狭くなっている。
そのため立体的な切り方が必要となります。

1回ではピタリとは決まらず、現物合わせを繰り返す。

全てのパーツが奇麗に納まりました。

釘を打ち付けて固定します。

今度は船尾に近い方のヨコバリです。

ホケにヨコハリをはめ込むための窪みをつける。

こちらも現物合わせになりますが、取り付け位置は予め決まっています。
舟底に横方向に墨で線が引かれているのが分かりますか?

木材を耳を少し残して斜めにカット。

まだ少し大きいようです。

微妙な薄さで切って微調整。

カッチリと嵌ったら耳の端を切り落とす。

ノミで薄くスライスしながらホケの縁と高さを合わせる。

丸釘で固定してヨコハリの取り付けが終わりました。

‖ ゴバンの強化とウワブタ
舟大工の峰岸さん、今度はゴバンの強化に取りかかります。
これは、船尾に船外機(スクリュー)を取り付けるためです。

線に沿って丸鋸で板を斜めに切断。

ほぼピッタリになりました。

カンナでよりきっちりと仕上げます。

凹みはジグソーで形を作ります。

二枚の板を重ね合わせる。

ハタで締め付けて釘で固定。

凹みのカーブを同じになるようにノミで削る。

電動カンナで側面を滑らかにする。

ゴバンの前にもヨコバリが渡されました。

そして、その前には台形の板が横方向に取り付けられました。。
この上に幅広の板が渡され、船頭が竿を操る場所となるウワブタとなります。

この後も多くの工程を経て、ようやく和舟は完成しました。

ちなみに舟は普段、川島町の平成の森公園にある舟小屋に置かれています。
行く機会があったらこの記事を思い出してじっくり見て下さい。

「シリーズ、一艘の舟から始まる川物語 第一章(完)」
取材・記事 白井紀行
INFORMATION
川島キャスティングネット(川島網打連合会青年部)
【HP】http://kawajimacastingnet.jimdo.com/
シリーズ連載(第一章)
第1回
第2回
第3回
第4回








