かつては蔵の街を走り回っていた〜なつかしい昭和の自動車〜

2月20日(土)冷たい雨の振る川越市立博物館。

ここで「なつかしい昭和の自動車」展が開催されると聞き行ってきました。

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‖ 昭和30年代前半

奥に並ぶのは、昭和30年代前半の3台。

なかなかいかつい顔をしています。

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※エントランスコートに展示される予定でしたが雨のため入り口での展示でした。

3輪トラックホープスターSU(ホープ自動車)

<昭和33(1958)年式>

ホープ自動車ホープスターは、昭和33(1958)年に生産された車でバーハンドルの軽三輪です。この58年式のSUはヘッドライトが2灯あり、350ccの空冷2サイクルエンジンは15馬力のパワーを生み出していました。大手の自動車メーカーではないのに、このような製品が生まれたのは、技術があれば既存メーカーの部品を上手く組み合わせて設計することで消費者のニーズを受け止めることができたことを表しています。折しもオート三輪では大型化が進んでおり小型の分野では商談が乏しくなっていた所で、制定さればかりの軽自動車の規格に合わせた軽オート三輪を実現しました。このことによって、このホープスターは軽三輪自動車というジャンルを築き上げた国産自動車といえます。

※解説は全て当日配布されたチラシから引用しています。

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まるでバイクのように跨がって運転します。

足を載せる所以外は床板も無いことが分かります。

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当時のカタログでしょうか?

ちなみに現在、同社は「アミューズメント」マシンの製造販売をしています。

http://www.am-hope.co.jp/service/index.html

丸広百貨店の屋上遊園地で見かけるような遊具もありますね。

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三輪トラックみずしま TM5F (新三菱重工業)

<昭和30(1955)年式>

みずしまTM5Fは、昭和30(1955)年に登場しました。第二次大戦後、軍需中心だった三菱重工業水島製作所が持てる技術の平和利用を模索する中で目を付けたのがオート三輪という自動車でした。軍用トラックで培った技術を生かして戦後間もなくオート三輪の開発を始めます。「みずしま」は新しい時代に戦争の色を残さないよう「三菱」の名前を使わずに地名からとった名前だったのです。このTM5型は2人乗りで搭載量は1t、セルモーターが搭載されクランクハンドルを使わずにエンジンが始動出来るようになりました。基礎的な商品力の高さが光る質の高い国産車です。

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こちらも運転席はバイクのように跨がって乗るタイプ。

その横に助手席が設けられています。

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「みずしま」は、現在の三菱自動車水島事業所(岡山県倉敷)です。

http://www.mitsubishi-motors.com/jp/corporate/aboutus/facilities/guide_map/mizushima.html

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当時のチラシにある「前輪オレオフォーク」

前輪のサスペンションの一種ですが元々は零戦の降着装置に使用されていたもの。

こういった技術が転用されたのでしょうか?

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動画がYoutubeにアップされていました。

かつてはこんな感じで川越の街を行き交っていたのでしょうか?

 

三輪トラックSKC(ダイハツ工業)

<昭和32(1957)年式>

 ダイハツSKC7は、昭和30年代に国内の陸上輸送を中心とした活躍した三輪トラックです。総排気量750ccのエンジンは、運転席から見える位置に搭載されています。エンジンの始動にはセルモーターが装備されていますが、非常用としてクランクハンドルによる始動もできるようになっています。ボディカラーは緑、乗車定員は2名で、昭和30年代を代表する国産自動車です。

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バイクがそのまま取り付けられたよう。

ハンドルも他の2台と同じようにバーハンドルタイプです。

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エンジンがむき出しとなっています。

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当時はこんな風にして荷物を運んでいたんですね。

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‖ 昭和30年台後半

一方こちらの3台(2種)は、昭和30年代後期につくられたもの。

今までのとは違って、ずいぶんと愛らしい印象です。

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三輪トラックミゼットMP5(ダイハツ工業)

<昭和39(1964)年式>

ダイハツミゼットは、昭和32(1957)年に誕生しました。軽免許で運転できることや維持費の安さ、好景気に押され、昭和30〜40年代、大衆車として愛された車です。昭和34(1959)年に生産が開始されたMPシリーズから2人乗りとなり、ハンドルもバーハンドルから丸型に変わりました。排気量350ccのエンジンは運転席と助手席の間にコンパクトに搭載されています。ドアは前方開閉するタイプで、ドアウィンドウには三角窓・開閉可能なアクリル板のウィンドウが装備されています。愛嬌のある顔立ちが、見る人を笑顔にさせてくれる、昭和を代表する国産車です。

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オート三輪と聞くとまず真っ先に思い浮かべるのがこの「ダイハツミゼット」。

累計で33.6万台が出荷され、約半分が東南アジア(特にタイ)に出荷されたそうです。

まるで新品のように大事にされているのが印象的です。

実際に会場まで時速40Kmほどで走って来たそうです。

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三輪トラックK360(マツダ)

<昭和39(1964)年式>

マツダK360は、昭和34(1959)年に登場しました。有名な工業デザイナーが斜体デザインを手掛け、実用性とナマズを連想させるユーモラスなデザインを兼ね備えた車として「けさぶろう」の愛称で親しまれました。当時のオート三輪は2サイクル単気筒エンジンが主流でしたがK360は4サイクルV2型エンジンを搭載する希少価値の高い車でした。当時の販売価格は23万円※、ボディカラーは白と水色のツートン、乗車は2名で、昭和30年代から40年代を代表する国産車です。

 ※大学の初任給が13,500円位なので、340万円位と今の高級車並みですね。

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ハンドルも丸タイプと現在の自動車と変わりません。

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年配の方は懐かしそうに当時を語っていました。

また、展示は企画しているそうなので機会があれば是非!

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取材・記事 白井紀行


INFORMATION

なつかしい昭和の自動車

【日時】平成28年2月20日9:00〜15:30

【会場】川越市立博物館入り口

【主催】川越市立博物館

【HP】http://museum.city.kawagoe.saitama.jp/ippan/event/jidousya27.html

川越市郭町2-30-1