田んぼから広がる共生の輪・豊かな暮らしデザイン〜NPO法人 かわごえ里山イニシアチブ〜

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取材・記事 白井紀行

 

無農薬・無化学肥料の有機稲作農法で街づくりに取組む「かわごえ里山イニシアチブ」。

このブログでも一年を通して、その活動の模様を取り上げています。

今年のプロジェクト参加者を募るための説明会が3月18日(日)に開催されました。

 

「生きもの育む田んぼプロジェクト2018説明会」の司会を務めるのは柏井さん。

左は代表理事(1月30日に同会はNPO法人に認定されました)の増田さん。

参加者は幼児から年配の方まで様々な世代の顔ぶれが並びます。

 

田んぼから広がる共生の輪・豊かな暮らしデザイン

同会の活動の3本柱は「人の連携」「生物多様性」「環境と経済の両立」。

 

湿地の保存に関する国際条約であるラムサール条約COP10。

その中から田んぼに関する目標1,7,8を主要な活動としています。

 

ラムサール条約について詳しくはこちらをご覧ください。

田んぼは米作りだけでなく、多くの生き物の命を育み、人と人とを結びつける場。

田んぼの価値を知ってもらうとともに、経済を生み出すことも大切と考えます。

 

これまでの活動を動画にまとめたものを鑑賞。

人と人が繋がり、生きものの豊かさ、理論に基づいた稲作の紹介など。

田んぼを通していかに学ぶことが多いことが改めて分かります。

「食べる生き物調査」では、虫を捕まえたり、ザリガニ料理を紹介。

子ども達は「どんな味がするんだろう」と目を輝かせ興味津々に見ていました。

 

同会は民間稲作研究所の理論に基づいた稲作農法を採用しています。

田植え後に7cmの水位を保つことで、雑草が生えないようにする抑草技術。

昨年までは入間川の水を引いていたので渇水に悩ませられました。

今年は井戸を設置したので、この抑草技術が実証できることが期待されます。

井戸掘りの様子はこちらをご覧ください(貴重な動画もあります)

また、井戸掘りを通して農家ととても仲が良くなったのだそう。

 

かわごえ里山イニシアチブでは、田んぼを新たな観光資源とすることを提唱。

歴史と文化の街川越にエコツアーを取り入れ、次世代への街づくりへと繋げます。

 

農家、人、行政、組織、企業に、生き物の視点を加えて街づくりを行っていきます。

 

続いて谷道さんからは3年前から取り組んでいるマコモダケの話し。

今年は川越市博物館とも連携して、お盆の時期にマコモ馬づくりを行います。

 

マコモ茶の試飲では、独特の爽やかな香りと甘みに「美味しい」と好評でした。

 

環境と経済の両立の一例。

TABICAと共同でマコモ葉を使って籠やコースターを編むイベントが行われます。

日にちは3月24日13:00〜15:30、場所は小江戸蔵里。

詳しくは、こちらをご覧ください。 https://tabica.jp/travels/4114

 

最後に、会員として参加する田んぼブロジェクトの説明が行われました。

内容については、こちらをご覧ください(最後にスケジュールも掲載)

→ 2018年小江戸・初雁の里 生きもの育む田んぼプロジェクト

20Kgの玄米の入手、農業体験や技術の習得、さまざまなイベントへの参加など。

会員になると様々な特典が得られ、仲間と一緒に楽しく農的生活を満喫できますよ!

 

Co江戸かわごえ初雁の里へ

一行は場所を移動して活動の拠点である福田へとやってきました。

場所は、県道160号線沿い、国道254号線と交差する福田交差点の近くです。

今年は、背後に広がる4反に加え、254号向かいの府川でも4反で稲作を行います。

 

田んぼには昨年蒔いたストロベリーキャンドルの芽が出ていました。

5月になると辺り一面が真っ赤に染まります。

 

「今の時期は、畔づくりを始めてます。田んぼに来た時は畔を踏み固めて下さい」

と増田さんの言葉にぴょんぴょん飛び跳ねていると。

 

足を滑らせてそのまま用水路へズブリ! 笑い声が響きました。

 

井戸の方は小屋が建てられていました。電気工事を済ませてまもなく完成です。

 

井戸からの水は、一旦、こちらのビオトープへ。

冷たい井戸の水を温めてから田んぼに引き入れることで稲への刺激を減らす。

田んぼの中干しで水を抜くときに生き物を逃す。といった役割もあります。

 

稲作を指導している高梨さん。

今の時期はできるだけ田んぼを乾かすんです。田植えが始まれば天気とにらめっこ。

米作りは、人間の思い通りにならない自然と向き合っていることを知ります。

 

谷道さんが手にするのはマコモの根っこ。昨年、刈り取った後から掘り出したもの。

 

田んぼに植えると分蘖(ぶんけつ)し、高さ2メートル、根元は直径30cm位に。

この一株で5〜10本のマコモダケが収穫できます。

参加者の方はマコモダケを未だ見たことがなく、秋を楽しみにしていました。

 

高梨農園へ

田んぼを見たところで本日の説明会は終了。興味のある人のみ高梨農園へ。

小瀬先生が取り替えているのは風力計の電池。温度計も設置されています。

かわごえ里山イニシアチブでは、米作りにICTを積極的に活用しているのも特徴。

田んぼには、1時間おきにカメラの映像を配信するシステムも導入されています。

 

山と積まれているのは、おからと籾殻。これが田んぼの肥料になります。

 

耕作する田んぼの面積も倍になったこともあって、ポット苗の田植え機も購入。

 

こちらでは、苗床をつくる準備が始まっていました。

 

 

お米の乾燥機も設置されています。

 

夏休みの終わりころには、山田地区のみんなで案山子づくりも行います。

 

参加者のみなさん、今年の米作りに期待を膨らませたようです。

かわごえ里山イニシアチブでは、一緒に米作りをしてくれる仲間を募集しています。

この記事を読んで少しでも興味を持った人は、是非、お問い合わせください。

田んぼの作業は通年で色々とあって、HPやFacebookでもお知らせしています。

会員になっていなくても見学やお試し体験もできますよ!

 

温湯消毒の様子を見学してきました

このブログでは、民間稲作研究所の農法を紹介して来ました。

その技術のひとつがお湯で種もみを殺菌して稲の病気を予防する「温湯消毒」です。

これまで写真でしか見てませんでしたが、3年目でようやく見学できました。

 

20kgの種もみをバケツに4等分し、5kgずつに分けます。

 

これを網袋に移して

 

上の方で縛る。これによって、網袋の中で種もみが自由に動けます。

 

二袋を60度のお湯に10分間浸す。

民間稲作研究所では7分間が最も発芽率が良いとしていたので少し長めです。

 

蓋を閉めて10分間待つ。

 

10分経ったら温湯の水面付近で網袋を数回上下させ、内部の温度の均一化を図ります。

 

冷水の中で種もみを泳がせた後、5分ほど浸けておきます。

この後、風乾燥させ種まきまで冷暗所で保管しておきます。

 

畔づくり

17日は所用があって遅くなりましたが畔づくりの見学&お手伝いです。

 

畔はトラクターにアタッチメント「畦ぬり機」を付けて土を盛り上げて作ります。

ただ、機械が入らない四隅は人力。記者も鍬を振るいましたが10分ほどでヘトヘト。

日頃はパソコンに向かっての仕事だけに、こういう動きは堪えます。

 

子どもたちもスコップ片手にお手伝い。

 

めざとくシジミやタニシなんかも見つけていました。

入間川からはドジョウやモロコなどの魚や水生昆虫なども田んぼにやってきます。

今年の生き物調査ではどれだけの生き物が見つかるかも楽しみです。

 

このように、田んぼづくりはすでに始まっています。

いつも食べているお米がどんな風に作られているか体験して見ませんか?

きっと、これまで知らなかった世界が広がります。

カワゴエ・マス・メディアでは、今年も、活動の様子を取材します!


INFORMATION

NPO法人 かわごえ里山イニシアチブ

【開催】平成30年3月18日(日)13:30〜16:00

【場所】かわごえ里山イニシアチブ「プロジェクト田んぼ」(川越市福田

【HP】http://kawagoesatoyama.ciao.jp/

【FB】https://www.facebook.com/kawagoesatoyama/

【TW】https://twitter.com/kawagoesatoyama