森林整備に参加して大変さと奥深さ、そして、先人の知恵を知る〜こもれびの森・里山支援隊〜
1月2日の箱根駅伝では往路優勝、総合で2位の成績。
昨年末、日本人初の100メートル走で9秒台を記録した桐生祥秀選手が在籍する東洋大学。
鶴ヶ島駅から歩いて約10分ほど、川越市鯨井にあります。
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こちらで1月6日(土)「こもれびの森・里山支援隊」による里山保全活動が行われました。
こもれびの森・里山支援隊とは?
東洋大学川越キャンパスには、敷地28.5haの3割を占める約8haの雑木林があります。
地域の方々が長年守ってきたこの雑木林を1958年に東洋大学が取得しました。
「こもれびの森」と名付けられたこの森を大学と市民が協働で保全・活用する
それが、「東洋大学川越キャンパスこもれびの森・里山支援隊」。
2014年に発足し、森林の整備施業、資源利用、環境教育を行なっています。
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エンジン音を響かせて登場したのは「ウッドチッパー」
伐採した木や枝を粉砕して小さな破片にし、遊歩道にまいて資源として再利用します。
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稼働の様子。
作業を始めるにあたって集合写真。記者が参加した午前中は19名、午後は15名。
うち、午前・午後の通しは10名で、合計24名の参加があったそうです。
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©こもれびの森・里山支援隊
4年目となるこの活動。徐々に認知されてきてこの日は最多の参加者。
午前は、初心者組とウッドッチッパー組に分かれて作業を行うことになりました。
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こもれびの森を歩く
記者は初心者組に参加。森林インストラクターの藤野さんが森を案内。
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左上から時計回りに、スギ、コナラ、ヤマザクラ、ヒノキ。
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同じく、アオハダ、キリ、アカマツ、クリ。多種多様な木々が森を構成します。
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小道に沿ってヒノキ並木が続くのは、かつて、200人近くの所有者がいた地域の森の名残。
森の中を歩けば、こういった光景があちこちで見られます。
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奥の広場は、かつてはグランドとして使われていたところ。
里山の再生の実験を行なっています。
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二列に植えられたヒノキ。「境界線としての目印だったのでは?」と藤野さん。
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開けたところに出たところでシートを広げて、ここが本日のベース基地となります。
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すぐに作業を始めるかと思いきや、もう少し案内は続きます。
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やや朽ち始めた落ち葉の集積所。この修理も本日の作業の一つ。
落ち葉もただ集めればいいものではなく、堆積所に集めなければ資源として利用できません。
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私たちがこの森を整備する前は木が生い茂り鬱蒼としていました。
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小道の左側は意図してかつての様子を残したもの。
冬は木々が葉を落とすので日が差し込みますが、この状態だと下草や幼木は育たない。
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道の右側には明るい日差しが差し込んだ森が広がる。
落ち葉の上には下草や幼木。この対比でも里山は人が維持する必要があることがわかります。
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森の一角を落ち葉の集積所に利用したところ。
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木が枯れてしまいました。
落ち葉は肥料になるので、たくさん集めれば良さそうな気もしますが単純ではありません。
きちんと管理するために、先ほどのような集積所が必要な所以(ゆえん)です。
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適度な間隔に見えますが、藤野さん曰く、もう少し伐採したいとのこと。
木によって住む生物が異なるので、生物多様性の面でも木の種類を増やすのが理想。
伐採すれば植生が変わるのですが、枯れた木以外は残すというのが大学の方針とか。
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奥に進むと、また、開けたところにたどり着きました。
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こちらもグランドだった所を「薪炭林更新管理ゾーン」として里山再生を行っています。
コナラやクヌギなどの薪炭林の育成し、生物多様性を維持する森です。
将来、コナラやクヌギなどが大きく育った時は萌芽更新をします。
若い樹々は樹液やドングリの量が多く、葉も柔らかいため昆虫や小動物が多く集まります。
下草を適正管理することで冬に草の種を残し、冬鳥が餌の種を求めて飛来します。
生き物の種類が増えると、猛禽類の餌場として機能する様になります(看板より)。
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「萌芽更新」という耳慣れない言葉が出てきました。
8年から15年ごとに、30cm〜50cm程度の高さで一斉に薪炭林を伐採。
若い枝(もや)を発生させて更新する作業のことです(看板より)
ちょうど、これくらいの大きさに育った木を伐採して薪や炭に使う。
切り株は光合成をするために新たな芽を出す。大きくなったら伐採を繰り返す。
薪や炭にするのにも適当に木を切るのではなく育成してきたんですね。
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グランドということで土が心配されましたが、サラサラした良い土だったのだそう。
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落ち葉堆肥でより豊かな土にしています。
ただ、ペットボトルなどのゴミも混じっていて、それを取り除くのも課題となっています。
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地面から顔を出した松の幼木。植えたのではなく土に種が入っていたのでは推測。
里山の木々は人が植えたものなので、この辺りの元々の植生は松でないかとのこと。
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ふんわりとした落ち葉の上を踏みしめながら歩くのは気持ちいい。
でも油断すると埋もれている切り株につまずいたり、上から枯れ枝が落ちてきたりする。
里山の手入れは、常に危険と隣り合わせな作業であることを忘れてはいけません。
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いよいよ作業開始です
藤野さんが指をさしているのはシラカシ。足元にはヒサカキが生えています。
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木の切り株の周りに生えてきた芽を切っていきます。
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八方に広がった葉を持つシュロやクマザサなども刈り取っていきます。
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赤い実をつけるナンテンやセンリョウなどは残す。
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森を整備したおかげで「ヤブラン」の生育が目立つ様になってきました。
夏から秋にかけて小さな紫色の花を咲かせます。
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いよいよ伐採です
やってきたのは「こもれびの森」の縁側付近。この先は学外となります。
この辺りの木は外からの風が直接、森に吹き込むのを抑えるいわば防風林。
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木の成長を妨げないように細めの木々を伐採していきます。
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これくらいの木であれば、そのままノコギリを引けば切れてしまいます。
では、もっと太い木だとどうでしょうか?
キコリが斧を振るい、やがて「倒れるぞー」と叫ぶと、メリメリと音を立てて倒れる大木。
私たちが頭に描くのはそんなイメージではないでしょうか?
その一連の流れはちゃんと理にかなった方法だったことを今回知りました。
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木を切るには、木の高さなどや傾斜などから倒す方向を決めます。
必要に応じて、枝の伐採や周辺の細い木も切ってしまい整備をしておきましょう。
まずは、倒す側の幹の3分の1位までを水平方向に切れ込みを入れます。
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続いて、45度くらいの角度で切り込みを入れます。
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幹に人が口を開けた様に切り込みが入りました。これを受け口と言います。
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後ろに回って、受け口の一番上と下から筋をつけ、さらにその間を3等分します。
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上から3分の1のところにノコギリをあて水平に切ります(これを追い口と言います)。
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ここで注意!一気に受け口のところまで切らない様にします。
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10分の1ほどを残したところ(これを「つる」といいます)で倒したい方向に力を加える。
注)これが一番わかりやすかったので、上とは異なる木の写真を使っています。
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そうすると木は自重で徐々に傾き「つる」の部分の繊維をちぎりながらゆっくりと倒れます。
「つる」が丁度、蝶番(ちょうつがい)の働きをして勢いよく倒れるのを防ぎます。
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切り株を見ると、少し「つる」の部分が少なく、幅も同じではなかったようです。
この日、何本か伐採しましたが、なかなか難しいものです。
こちらに図示と写真があったので参考までに
http://blog.goo.ne.jp/koyuridesu2006/e/5bc3c77ba567245294810efb61f8a97a
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藤野さんが、切り株の年輪を指さしました。
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年輪は木の成長の記録。幅が狭ければ成長は鈍く、広ければ成長が盛ん。
周辺の木も合わせて丹念に見て行くと気候の変動や森の変化の様子が読み解けます。
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落ち葉を掃いたり、枯れ枝を集めたり、低木を刈ったりと仕事は多い。
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12時近くに午前の部は終了。初めての森林整備の感想を発表。
木の伐採の難しさなどを話していました。
記者は、これだけの森を手入れするのは相当な苦労があることを知ったと感想を述べました。
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大学の授業が始まっていたので、この日は学食ランチ♪
体を動かしたせいか、炭水化物と脂という組み合わせが食欲をそそります。
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次回は、2月4日(日)に開催されます。
身近に体験できる森林整備、是非、参加して見てはいかがですか?
詳しくは、東洋大学川越キャンパスこもれびの森・里山支援隊のHP/Facebookにて
取材・記事 白井紀行
INFORMATION
「こもれびの森・里山支援隊」里山保全活動
【開催】平成30年1月6日(土)08:30〜16:00(記事は午前の部)
【主催】東洋大学川越キャンパスこもれびの森・里山支援隊
【HP】http://www.toyo.ac.jp/site/satoyama/
【FB】https://www.facebook.com/komorebisatoyama/