水琴窟完成記念「秋の川越七福神巡り」に参加して来ました。
川越の由緒ある7つのお寺を巡る「小江戸川越七福神巡り」。
今年で開場30周年を迎えるにあたって、記念事業として水琴窟が設置されました。
水琴窟とは、江戸時代初期の小堀遠州が考案したものが発祥と言われています。
甕の中に水面に水滴が落ちると空洞に反響して音色を奏でる。
それが、琴に似ていることから水琴窟と呼ばれています。
川越シルバー人材センターでは、その完成を記念して「秋の川越七福神巡り」を企画。
記者もそれに申し込み参加してきました。
受付を済ませた順に15〜20人位のグループを作ります。
記者は緑(グリーン)チームとなりました。
ツアーコンダクターの先導で出発!
マインの横を通り抜け、最初に向かうのは妙善寺。
途中の駐車場で、七福神についての簡単な説明が行われました。
日本において七福神が成立したのは室町時代末期。
「秋月」という京都のお坊さんが「七福神の乗合船」を描いたのが最初。
戦前の歴史学者・文学博士の喜田貞吉氏は七福はお経から来た説を唱えました。
「七難即滅 七福即生」という文字が仁王護国般若波羅密教にあるのだそうです。
江戸時代には、七福神信仰は福徳授与の神としてブームになったそう。
このきっかけは、徳川家康の政治指南役だった喜多院住職・天海大僧正とされています。
1月2日には、宝船の絵を枕の下に入れると縁起の良い夢が見れるとされています。
なかきよの とおのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな。
(永き世の 遠の眠りの みな目ざめ 波乗り船の 音のよきかな)
この和歌は回文(上から読んでも下から同じ文章になる)になっています。
‖ 妙善寺(みょうぜんじ)
ほどなくして妙善寺(川越市菅原町9-6)へ到着。
第1番は毘沙門天(多聞天)・日本では四天王のうちの一尊でもあります。
水琴窟は門を入って右手に設置。
水を掛けるとコンっ、コンっと澄んだ音がします。
秋の七福神巡りは同時に秋の七草巡りも行うことができます。
妙善寺は、女郎花(おみなえし)/花言葉は、「美人」
境内には、川越さつまいも地蔵尊もあります。
‖ 武蔵野台地を実感する
川越街道を北へ進み、2番目の天然寺へと向かいます。
この坂を下りると天然寺へと行くわけですが。
かなりの高低差があることがわかります。
関東平野西部の荒川と多摩川に挟まれた地域に広がる武蔵野台地。
川越はその北端に位置します。今回のツアーで初めて意識しました。
‖ 天然寺(てんねんじ)
第2番の天然寺(川越市仙波町4-10-10)に到着。
天然寺は天台宗に属する寺院で、天文23年(1554)に開山しました。
本尊は木造大日如来坐像で、平安時代末期(11~12世紀)頃の造立といわれてます。
第2番は寿老人、長寿の神様です。
水琴窟は境内左手。この天然寺には以前から設置されていました。
竹筒に耳を当てて音を聞きます。
秋の七草は桔梗。境内には白色の桔梗もありました。
花言葉は、「変わらぬ愛」
‖ 喜多院(きたいん)へ
続いては、3番目の喜多院へと向かいます。
天然寺から喜多院がこのツアーコース最大の長丁場。
第一中学校の横を通り過ぎ
春には枝垂れ桜が有名な中院。秋は樹齢300年という金木犀の香りが楽しめるそうです。
喜多院には山門から入らず、仙波東照宮から入りました。
仙波東照宮は日光、久能山と並び日本三大東照宮とされています。
丘陵は自然の地形を利用したものと思っていましたが、盛土をしたものだそうです。
また、社殿は徳川家光が川越城主堀田加賀守正盛に命じ再建したものです。
本殿の中は、シルバー人材センターの方も写真でしか見たことないとか。
黒漆塗りの重厚で荘重な空間になっています。
‖ 喜多院(きたいん)
喜多院(川越市小仙波町1-20-1)は、慈覚大師が天長7(830)年に創建した天台宗のお寺。
仙波東照宮、家光誕生の間、春日局の化粧の間と徳川家と所縁の深い繋がりがあります。
こちらでは、古代インドの闇黒の神、大黒天が祀られています。
水琴窟は、枝垂れ桜手前。よ〜く耳を澄ませて聞いてください。
秋の七草は萩。花言葉は「想い」
売店の横を抜けて喜多院へ。
‖ 成田山川越別院
喜多院から成田山別院(川越市久保町9-2)はすぐの距離。
不動明王をご本尊とする真言宗のお寺。
ここには、山門近くの大師堂を囲むように並ぶ石柱は「四国霊場御砂踏み」
石柱の前には四国88ヶ寺の境内から頂戴した砂が埋め込まれています。
この上に立ち各寺のご本尊をお参りすれば四国霊場を巡ったのと同じ利益が得られます。
こちらには、恵比寿天(左)と大黒天(右)が祀ってあります。
この二人は親子とされており、大黒天が父親とされています。
こちらの水琴窟は水琴窟の原理を示す甕が見えるように設置。
スピーカーで音を増幅しているので、まるで、理科の実験のようです。
秋の七草は撫子(なでしこ)。花言葉は、「貞節」
‖ 蓮馨寺(れんけいじ)へ
看板建築が並ぶ県道15号を西へと向かいます。
大正浪漫夢通りへと続く石畳の道を歩く。
立門前通りと交差したら左折すると蓮馨寺が見えてきます。
蓮馨寺(川越市連雀町7-1)は、天文18(1549)年に創建された浄土宗のお寺。
徳川時代には、関東における“十八檀林(僧侶の養成学校)”の一つでした。
本堂側にある水屋の彫刻も見事なので、ぜひ、じっくりと見てみてください。
こちらで祀られているのは福禄寿神。
水琴窟は呑竜堂右手にあります。
秋の七草は尾花(すすき)。花言葉は「勢力」、「活力」。
お月様と団子で、秋らしく趣向を凝らしています。
‖ 妙昌寺(みょうしょうじ)へ
順番からいくと、次は見立寺ですが、先に妙昌寺へと向かいます。
こちらの方を回れば1kmほど距離が短くなるのだそうです。
また、見立寺で解散すれば、その後、菓子屋横丁へと繰り出せます。
いつもと違う入り口から妙昌寺へ。石柱には「経ヶ島弁財天」と書かれています。
妙昌寺(川越市三光町29)は、永和元(1375)年に開創された日蓮宗のお寺。
七福神唯一の女神、弁財天が祀られています。
水琴窟は弁財天前に設置。
秋の七草は藤袴(ふじばかま)。花言葉は、「思いやり」、「落ちつき」
まだ、蕾でしたが花が咲くとこんな風になります。
藤色に花を付け、その花弁の形が袴に似ていることから藤袴と名前がつきました。
妙昌寺は高台にあって、かつては、ここから富士山の眺望が見事だったとか。
‖ 見立寺(けんりゅうじ)へ
いよいよゴールのお寺、見立寺へと向かいます。
といっても、記者も初めての行程。見慣れない景色が続きます。
広大な空き地を見て、シルバー人材センターの方が驚いた声をあげました。
お正月に七福神巡りで案内していた時はここに病院があったそうです。
1年に1回しか案内で通らない道もあって、景色が変わることもよくあるとか。
赤間川が見えてきて、ようやく見慣れた景色となりました。
いよいよゴールの見立寺です。
見立寺(川越市元町2-9-11)は、永禄元(1558)年に建立された浄土宗のお寺。
豊臣秀吉の禁制書によると、かつては蓮馨寺門前にあったそうです。
見立寺には、布袋尊が祀られています。七福神の中では唯一実在した仏僧です。
水琴窟は境内に入って左手にあります。
秋の七草は葛(くず)。花言葉は「根気」、「努力」
お寺への入り口にあって、こんな花を咲かせます。
川越シルバー人材センターでは、毎年、お正月に七福神巡りを行っています。
来年は1月4〜7日の間でできたらと話していました(日にちは決定ではありません)。
秋の七福神巡りは初めてということで新たな発見や景色を知ったそうです。
これからウォーキングに最適な季節。
ぜひ、秋の七福神巡りを楽しんではいかがでしょうか?
取材・記事 白井紀行
INFORMATION
水琴窟完成記念 秋の川越 七福神巡り
【開催】平成28年9月17日(土)9:00〜12:30
【主催】公益社団法人 川越シルバー人材センター
【参考】http://www.kawagoe.com/7fukujin/
※文はツアー中の説明を元に記者が独自に調べ付け加えたものです。
文責については、全てカワゴエ・マス・メディアにあります。