ディープな川越、ご案内します~市川嘉昭さん(「のらり蔵り」主宰)~

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川越観光というと、駅の観光案内所でもらった案内地図などを片手に蔵造りや時の鐘がある一番街を気ままにブラブラ、もしくは、シルバーガイドさんにお願いして案内をしてもらうというスタイルが多いと思います。

川越裏道案内「小江戸川越 のらり蔵り」は、そんな一般的な川越観光ガイドなどにはおそらく載っていない、そして誰も紹介していないであろう、そんなマニアックすぎるスポットをめぐる街歩きツアーです。今まで川越のお店とコラボして多くのディープなツアーを企画、自らもその案内人として活躍している市川嘉昭(いちかわよしあき)さんにインタビューしました。

市川さんは約25年間、某大手総合スーパーに勤務していました。部門異動が多く、いくつもの売り場担当や役職を経験、勤務する場所も坂戸、流山、愛知の小牧、蒲田、川崎と変わり、15年ほど川越から離れていた時期もありました。そのときに経験したことや地元を離れて感じたことが今の活動の源になっているのではないでしょうか?

 

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「あるときテナントさんを総括する担当になったんです。セール広告を取りまとめたり、本社からのイベント情報などを伝えたりと。その時にふと、こんなに色んな業種のテナントが集まっているのになんだかもったいない、もっと知ってもらいたいし何か企画できないかな?思いました。そこでテナントさんを巻き込んで週一でイベントやろう、どんな小さなイベントでもいいからやろうという事になりました。当時芸能人が来たり仮面ライダーショーという大きなイベントもありましたが、それとは別にあえてメリハリつけて取り組みました。」

 

ー 週に一度のイベントって結構大変だったのでは?

 

「大変だったと思います。週一の会議は全テナントさん参加必須できっちり開催して、その中でイベントの事を伝えるようにしました。必ず話がちゃんと分かる人に参加してもらい、どうしても出られないところにはプリントを配って、内容についてわからなければ直接質問してください、としました。結局はコミュニケーションがすべてだと思うんですよ。メールや文章は、書いた人がその内容について一番理解しているんです。でもそれだと思ったことの半分も伝わらない。だから顔顔でコミュニケーションしたんです。もちろんテナントさん側には温度差があったし、嫌われているところもあったんじゃないかな?(笑)」

 

― 実際にはどんなことをやっていたのですか?

 

「スーパー全体で何かフェア、たとえば北海道展といったようなものがあるときは、全館一体になるように北海道にちなんだものを各テナントさんから集めたり、協賛をしてもらい参加をうながしました。そこのお店に実際行かないと、どんなことをやっているのか分らないような仕立てにしました。もちろん業種やイベント内容によっては参加できるものもあれば、できないものもあるので強制はしませんでした。参加するお店には直接大きな収入にはならないかもしれないけど、大きな遊びに取り組むと思ってやってくださいと伝えました。でもね、面白いことに楽しんで参加してくれたテナントさんは結局売り上げが伸びたんですよ。」 

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スーパーのイベント企画担当として活躍していた市川さんですが、お父様の死が大きなきっかけとなり、仕事を辞めて川越に戻ってきたのは2011年秋のことでした。

 

「久しぶりに戻ってきて、観光客目線で川越の街を歩いてみたんです。蔵の街の一番街歩いて、喜多院寄って、川越市立博物館行っていう定番コース。川越はもちろん好きだし、歴史や土地、建物のことなどについての知識はあるつもりでいたんです。でも実際そうやって歩いてみると結構発見がたくさんありました。まだまだ知らないことがあるのかもしれない、川越をもっと知りたいと思って、あえてメインストリート(一番街 蔵の街がある通り)は渡るだけと決めて、そこから外れたところ、つまり裏道を選んで徹底的に歩いてみました。これが本当に面白かった。」

 

― 川越をしばらく離れていたからこそ、あらたに見つけられたものがあったんですね?

 

「朽ち果てた井戸や道路の隅に置いてある石、古びた案内板やマンホール、道路、土地の高低差とかね(笑)なぜここにあるの?なんでこうなっているの?これってどういうこと?と興味がかきたてられました。特に絶対ないと思っていた境石(道路と私有地の境を示した石)が残っていたのを見つけたときには、確かにここには古い川越の街が存在していたんだなって感動しました。川越で生活していると、普段歩いている道や裏道っていうのは目的地や観光地に行くためだけの『通路』になっていたなって思いましたね。」

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― うーん、たしかに生活して毎日同じ街並みを目にして歩いていると、風景というより、背景になっていたかもしれません。

 

「川越のメジャーな観光スポットは、すでにガイドブックに載っているしテレビにもとりあげられているでしょ。誰かがいつでも紹介してますよね。それにね、そういう場所はちゃんと守る人がいて、意思のある人が受け継いでいっているんです。だから私はあえてマイナーなところ、誰も気付かないようなところを重箱の隅をつつくように(笑)ご紹介していきたいと思いました。」

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― 川越裏道案内の「のらり蔵り」はいつごろから始めたのですか?

 

「2014年の夏かな?最初は一人で企画して街歩きツアーしてたんです。あるとき、『大学いも・川越いわた』のご主人とご一緒する機会があって『お客様にただモノを売るだけではなく、それ以上の何かを提供したい』というようなことをおっしゃってました。それならば、と思い『のらり蔵り』の企画をお話ししてお店とのコラボレーションを提案したんです。ツアーの集合場所をそのお店にして、まずお店の場所知ってもらう。ツアーから戻ってきたら、そこで扱っている商品を知ってもらう、味わっていただく、とそんな感じです。」

 

ー 今までどのくらい街歩きツアーをしたのですか? コラボした店舗はどんなところですか?

 

「12、3本です。コラボした店舗はいわたさんの他、沖縄物産&こだわり食材の店 真南風(まはえ)さん、カフェ・ティーベリーさん、柳屋酒店さん、手打ちそば鎌倉さん、カフェ・らしくさんです。みなさん楽しんでくださってます。あ、今こうやって話していたら、俺昔こんなようなイベントやってたよなあってフラッシュバックしちゃいました。やっていることって結局はつながっているんだなぁ(笑)」

 

川越観光にいらっしゃる方は、最初は観光ガイドを持って気ままに歩いてみる、二度目はシルバーガイドさんにじっくり案内をしてもらう、三度目はこういったマニアックな視点をもった街歩きツアーに参加してディープな世界を堪能するといった楽しみ方もできますね。市川さん自身も、川越に遊びに来てくれるリピーターをもっと増やすには、様々な切り口の川越を見つけて紹介してあげればいいのではないか?とおっしゃっていました。

 

そして・・・百聞は一見にしかず。

9/26土曜日に行われた、『手打ちそば鎌倉』さんとコラボしたのらり蔵り街歩きツアー「なんとなく知ってるけどじっくり見たい久保町」に参加してみました。

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久保町といえば、『手打ちそば鎌倉』さんがあるところから東側、成田山川越別院、喜多院入口周辺です。この日の参加者はお子様も入れて7名。

市川さんの説明を聞きつつ道を歩いてみると、参加した皆様の視点が徐々に変化してくるのが手に取るようにわかってきます。

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道端に何気なく置いてある大きめの石もなんだかとても歴史ある貴重なものに思えてきます。

普段は脇を通り抜けるだけの木々が生い茂った小さな公園にも立ち寄りました。ここはツアーに参加しなければまずは踏み入れることがない場所だったでしょう。参加者の一人から思わず、なんだかいい公園だなぁ~という声が漏れました。

道幅の変化や大きくとられている隅切り(車両が安全・円滑に通行できるように道路隅部を円弧や直線でカットしている箇所)は普段は全く意識しないところですが、ここにも知られざる歴史と意味がありました。そして普段はただの抜け道にしか思っていなかった建物と建物の間の狭い小道も、言われて上を見上げてみるとそこには意外なビュースポットがありました。

 

実は市川さんはそういったマニアック!ともいえるもの(場所)を紹介してもあえて学術的な説明はしません。

 

「学術的なことを説明する人はたくさんいるし、そういうことよりもただ単にこれって面白いよねという気持ち、そして、もしかしたら昔はこうだったかもって思いを馳せたり想像したり、そっちの方を大事にしたいんですよ。だって名前が『のらり蔵り(のらりくらり)』だからね(笑)」

 

1時間ちょっとほどのツアーから『手打ちそば鎌倉』さんに戻るとおかみさんが笑顔でお出迎え、そして特別メニューのミニ新そばが待っていました!こういったお店側のおもてなしもこのツアーの醍醐味の一つだと思いました。

 

最後にこのツアーをやっていて良かったと思うことをお聞きしました。

 

「川越って観光地がゆえに知っているようで実は地元に住んでいる方も知らないことが多いと思います。知っているつもりのものが、本当は違うと分ったときの衝撃!それを喜んでくれることかな?リピートで参加してくれる人もだんだん目が肥えてきてるんですよ(笑)このツアーに参加してくれた人が、川越って実はこんなところもあるよってまた誰かに伝えてくれたらいいなって思います。そしてもし面白いと思ったら川越の街をもっと発掘してもらいたいですね。」

 

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ツアーの詳しい内容については、あえてここではご紹介しませんので、実際に「のらり蔵り」のディープな川越の街歩きツアーに参加してみてはいかがでしょうか?

「のらり蔵り」街歩きツアーは不定期開催ですので、Facebookページやツイッターをフォローしてチェックしてみてください。毎日更新していてマニアックな写真や川越の情報もアップされています。

 

そして市川さんはなんと10/27(火)にウエスタ川越主催「リトルツーリズム おやこで暮らす町を歩く」に講師として登壇、街歩きをするそうです!

「暮らす人が楽しめる」まち歩きルートを自分たちで発掘しようという、トークと外歩きの講座です。 詳細は下記Information よりご確認ください。 申込みはお早めに!

 

また11月には「川越の定点観測写真展(仮)」をギャラリー&カフェ平蔵で開催する予定だそうです。 こちらも楽しみですね。

 

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インタビューを終えて、ふと気が付いたのは市川さんが提供しているのは、ただ誰も知らないことを案内する街歩きというだけではないんだなということでした。

いつもみている当たり前の風景をすこし立ち止まって観察してみる、もしそこに気になるものがあったら、ちょっぴり妄想、想像、推理、憶測を加えてみると、そこには驚きとともに新しい世界、視点が生まれ出る可能性がある、そんなことを示唆してくれたようでした。

 

市川さんありがとうございました♪

インタビュアー・記事・写真:本間 寿子

https://www.facebook.com/hisako.honma


 

INFORMATION

小江戸川越 のらり蔵り

【開催】不定期開催(FaceBookやTwitterにて開催日を告知)

【費用】参加費:1,000円~

【FB】https://www.facebook.com/norakura.kawagoe0492

【TW】 https://twitter.com/norakura0492

【ソノ他】市外の方で5名程のグループであれば川越市内ご案内いたします。(要相談)

 

☆リトルツーリズム おやこで暮らす町を歩く(全4回 受講料:無料)

【日時】10/6、10/13、10/20、10/27(時間はいずれも10:00〜12:00)

【場所】ウェスタ川越3階(川越市新宿1ー17ー17) 男女共同参画推進施設 研修室 1

【申込】ウェスタ川越1F受付、FAX(049-249-1180)、メール(entry@westa-kawagoe.jp)で受付中

【HP】http://www.westa-kawagoe.jp/course/detail.html?id=23 

【講師】
  第1回 10月06日(火)清水 雅子(はるり銀花)
  第2回 10月13日(火)藤井 美登利(NPO法人 川越きもの散歩)
  第3回 10月20日(火)飯島 希(元NHK気象キャスター/防災士)
  第4回 10月27日(火)市川 嘉昭(小江戸川越のらり蔵り 主宰)

撮影場所

【お店】 Coffee&winestand pique-nique(ピケニケ)

 昼はピクニック気分でサンドイッチとコーヒーで、夜はワインを片手に楽しく呑めるお店です。

 ピクニック気分でふらりと遊びにどうぞ!

【ツアー】川越市久保町界隈

 

取材協力店