ワンコイン(100円)で川越の貴重な歴史に触れよう〜蔵造り資料館〜

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蔵造り資料館

蔵造りの街並が連なる川越一番街商店街。

時の鐘入り口となる信号のその先にある「蔵造り資料館」。

元々は、明治26年3月の川越大火の直後に、煙草卸商を営んでいた小山文蔵氏が建てたもの。

店の屋号は「万文(まんぶん)」でした。

蔵造り資料館

 

入館料(なんと100円!です)を払って邸内に入ると目につくのが屋根の模型。

店蔵の屋根にある鬼瓦、影盛、箱棟は川越の蔵造りを語る上で特徴的なものです。

普段は見上げるだけですが、こうして目の前にあるとその大きさに驚かされます。

箱棟

 

箱棟の構造を知りたいという私みたいな人(笑)のために中が覗けるようになっています。

箱棟

 

窓を開けると箱棟は木組みで作られていることが分かります。

箱棟

 

それでは、蔵の中を見学することにしましょう。

蔵

 

最も奥の蔵(三番蔵)は、煙草卸商だった「万文」ゆかりの品々が展示されています。

「万文」の主な商品は3銭の徳用煙草でしたが、高級煙草の販売も行いました。「万文」の全盛時代は、煙草民営時代の最盛期であった明治27年から専売制(官営)となる明治37年までの10年。この頃には、販売権を所沢、飯能まで延ばしました。また、煙草の三大メーカと呼ばれた岩谷商会、村井兄弟商会、千葉商店などの販売店でした。

明治37年、煙草が専売制になると小山文蔵は煙草元売捌人(もとうりさばきにん)になり、昭和に入ると息子の小山三省(みつお)は将来を考え、東京地方販売所の設置に協力し、店舗を貸与するとともに廃業しました。(案内文より抜粋)

 

煙草の定価表、官営と元売捌人という文字があるので専売制になってからのものですね。

煙草定価表

当時の煙草のパッケージはこちらも参考に♪

http://www.lsando.com/oldcigarette/oldcigarette15.htm

 

左から算盤、刻煙草製造帳、万文の店頭の様子、新旧略歴

算盤等

 

煙草を配達するのに使われた「万文の荷箱車」

荷箱車

 

一番街が今の蔵造りの街並になったきっかけが明治26年の川越大火。

二番蔵には町火消しに関する資料が展示されています。

町火消し

 

刺子半纏が展示してありました。

猛火から身を守る重要な防火着である刺子半纏。分厚く仕立てられた半纏は布地がクッションの役割をするため少々の落下物による衝撃をやわらげます。半纏の表地は藍染めによる藍色一色で、裏地は着る人それぞれが趣向を凝らした図柄となっています。(案内文から抜粋)

無事鎮火した後は半纏を裏返して颯爽と引き上げたそう。実に粋ではないですか!

刺子

 

左の2つはポンプ、手榴弾型の消火器、転倒式消火器

消火器

 

川越大火の範囲を表した地図。

連雀町〜札の辻の先、市役所〜松江町あたりまで広い範囲の火事だったことがわかります。

川越大火

 

見学ルートには店蔵の2Fも含まれています。

階段の側面に引き出しがあるのは見かけますが、こちらは段そのものが引き出しです。

階段(引き出し)

 

その階段を慎重に(急なので)登って行くと…

階段

 

このような6帖2間の部屋に出ます。

店蔵2F

 

舟運で栄えた川越を象徴する「川越夜舟」の模型。

川越夜舟

 

ここからは、普段見ることのできない「時の鐘」の姿が見られます。

万文の主人だった小山文蔵氏も「時の鐘」を搗く様子を見ていたのでしょうか?

時の鐘

 

こちらは店の入り口付近にある地下の倉庫「穴蔵」。

普段は収納用として、火事の時には品物を投げ込む防火施設の役割があります。

江戸では普及していたそうですが、川越で見られるのはここくらいかもしれません。

地下蔵

このように川越の歴史や蔵の様子を知ることができる「蔵造り資料館」。

入館料は100円とリーズナブルで、見所も多いので、ぜひ、一度、訪れてみて下さい。

毎月第2日曜日午前11時、午後2時には、当日直接受付で、資料館ガイドも行っているそうです。

WRITER NORI


INFORMATION

蔵造り資料館

【電話】049-222-5399(川越市立博物館へつながります)

【住所】川越市幸町7-9

【営業】9:00〜17:00(入館は16:30まで)

【定休】月曜日(休日は除く)、休日の翌日(土、日は除く)、年末年始(12/28~1/1まで)他

【HP】http://www.kawagoe.com/kzs/

川越市幸町7番地9