準備に密着してみました!~川越まつりライブカメラプロジェクト~
川越市民が待ちに待っていた川越まつりが明日明後日(10月20日、21日)に行われます。
我々カワゴエ・マス・メディアは今年も「川越まつりライブカメラプロジェクト」を立ち上げました。
山車に搭載されたWeb(ライブ)カメラから見える風景は、まるで囃子台のって市街地を練り歩いているような気分になります。
またスピーカーから聞こえる軽快な祭囃子や街のざわめきは、川越まつりを現地で見られない人に「音」で、ちょっぴり雰囲気をお届けできているのではないかなと思います。
この取り組みは2012年から始まり、今年で7年目です。
ご存じの方もいらっしゃるかもしれせんが、今一度ここに経緯を記しておきます。
もともとは、川越市政90周年に際した記念事業として、かつてない規模で山車を繰り出す計画がありました。その時に山車の位置などを把握出来る方法について相談させて欲しいと、日頃からお付き合いのある市の職員さまから連絡をもらったのがそもそものきっかけでした。
当時は今のように安価なツールもなく、予算はほとんど出せないということでした。予算が無いなら、私たち手持ちの機材のみで出来ることを、という事で誕生したのが移動する山車からの映像配信。山車の位置や周辺の混雑状況を把握してもらえればということでした。ちなみに、行きかう山車の姿も見たいという声をうけて、固定カメラも設置しはじめたのは3年前からです。
くわしくはこちら▼
山車ナビプロジェクトと表記されているのは、その当時の取り組みからです。
現在は株式会社キテルさんより、川越まつりナビがリリースされており、アプリをダウンロードすれば、スマホで簡単に山車の位置が確かめられます。とても便利なので是非ご利用してみてはいかがでしょうか?
前置きが長くなりましたが、今回はまつり会館の山車蔵に収められている川越市の猩猩の山車にライブカメラを設置する作業に密着してきましたのでレポートいたします。
・・・が!あまりの絵づらの変わらなさっぷりと地味さ加減に飽きてしまい、途中から山車を見に来たみなさんとの交流を楽しんでしまったのでした。
10時からの作業は山車の柱にWebカメラを設置することから始まりました。
山車の屋根を支える柱の一つに設置するのですが、山車には絶対に傷をつけてはいけない、特に柱部分は目立つので設置作業は慎重さが必要です。
そして囃子台(舞台)に乗って作業するということも、このために特別に許可いただいた事なのです。
作業するスタッフのノリさんに、プレッシャーを与えることになりましたが、つまり「ほんっと、とにかく十分気を付けてくれ」ということです。
川越市の山車にWebカメラを設置するのは2年ぶり4回目です。さくさくっと作業は進むと思いきや、そこは一人の作業。カメラの位置や見え方をパソコンの画面で確認するだけで約1時間かかりました。
カメラを固定するのに使用したのは、カーペットの切れ端。ハサミでカットして大きさを整え、柱にピッタリくるよう切れ込みをいれます。
カーペットを結束バンドで固定して、仕上げは山車の外観を損ねぬよう黒い布を巻き付けます。
配信される映像は、高画質だと絵はきれいにみえますが、動きがカクカクしたり、途中でとまったりしてしまうので、少し粗めに画質を落としています。これにより、動き自体はスムーズに見え、行きかう人の顔もぼんやりとしかわからない程度になっています。
続いての作業は小型マイクの設置。
設置作業をしているノリさんによると
「ライブカメラを見ている人は、映像が止まるよりも、音が止まってしまった方が、おや?大丈夫かな?と思うんですよ。音は途切れさせたくないんです。また、笛や太鼓の音が必要以上に響かないように、調整器を使ったり、マイク設置場所もちょっと念入りに選定します」とのこと。
これは今までの経験による知識が生きてきますね。
まつり会館山車蔵の一番端に収められている山車なのですが、駐車場がすぐそばということもあってか通りかかった人が時々立ち寄り、興味津々にのぞいていきました。
そんな皆さんに背を向けて作業の様子を見続けているのも飽きてきたので、どこからいらしたのかを聞いてみることにしました。
狭山ヶ丘からきた年配の男性は、なんと作業をしていた日、10月14日が川越まつりだと思って川越にいらしたとのこと。本川越の駅について、違うと分かりがっかりしたそうですが、せっかく来たのだからということでまつり会館までやってきてこの作業に遭遇したそうです。
「間違ってきちゃったけど、山車が近くで見られてよかった。前は女房と一緒にあちこちのお祭りを見に行ってたんだけど、2年前に女房が足を悪くしてしまって一緒にまつりには行けないんだ」とおっしゃっていました。
まつり会館にも山車が展示してありますよ~と教えてあげました。
出身は富山とのことで、地元のおまつりについてもひとしきり語っていかれました。
この方だけでなく、川越まつりの日程を間違えている方が他にもいらっしゃいました。
川越まつりは、毎年10月第3日曜日とその前日の土曜日に行われるのですが、今年は一番遅い日にあたっています。そのせいなのかもしれません。
神奈川県の大和市からのご夫婦は、山車の大きさにひとしきり感心していました。川越市の山車は他の町内の山車と比べて比較的小さめと説明すると、それにも驚いていました。
山梨県の八ヶ岳からお越しの方は、山車についていろいろ詳しく聞いてきました。
「猩猩ってなんですか?」 「古典書物に記された架空の動物らしいですよ」
聞かれると思ってあらかじめググっておきました。(汗)
この方も山車の大きさに驚いていましたが、さらに2メートルくらいの人形が上に立つのだと説明すると全体を想像するように少し後ずさりをして見渡していました。
他にも、山車の台数や、山車の値段、電線や信号機はどうやってかわすのか等質問が続きました。
山車の値段については分からなかったのでお答えできませんでしたが、メンテナンスには多額の費用がかかること、文化財に指定されている山車には、Webカメラを付けることはおろか、普通の人が囃子台に乗ることはまず無理のようですとお伝えしました。
電線がある町内では、山車の上部にのっている鳶の方が、うまいタイミングでよけておりちょっとした見どころになっていますよ~と言うと、ニヤっとして納得されていたようでした。
信号機については、邪魔にならないように横に移動されますとしかお伝えしなかったのですが、こちらに詳しく載っていました。
川越水先案内板▼
川越まつりは路地裏も熱い!祭りをマニアックに楽しむための+α
川越まつりは見たいけど混雑するんでしょ?と二の足を踏んでいる方も結構いらっしゃったのですが、こちらのサイトには、裏道を楽しむテクニックも載っていました。ぜひご参考にしてみてください。
遠くからずっと眺めていたのは、静岡からお越しの年配のご夫婦。個人旅行で車で来たとのこと。
おみやげにするのでしょうか?ビニールにつつんだ人気のさつまいもチップスを持っていました。旦那様はもと大工さんとのことで、かなり興味深く山車を見つめていました。
神奈川県の小田原近くからやってきたというこれまた年配のご夫婦は、おまつりが好きとのことで、飛騨高山祭の山車を引き合いにだしていました。 どこから来たのかは聞きそびれましたが、他のグループの方は秩父夜祭の山車も大きくて綺麗よね~でも見に行くのは寒いのよ~とおっしゃっていました。
この2つのお祭りは京都祇園祭と共に日本三大曳山祭として有名です。
秩父夜祭の山車は、もはや豪華絢爛なお屋敷そのままといった大きなつくりです。飛騨高山祭は春の「山王祭」と秋の「八幡祭」の2つを指す総称なんですね。こちらの山車はすらっと上に高くやはり大きなつくりです。いつか見てみたいですね。
お祭り大好きとおっしゃっていたみなさんは、市街地全体に貼られた紅白幕(軒端揃え[のきばぞろえ])にワクワクしている様子でした。
茨城県の水戸から来たというみなさん。日本語の勉強のためにベトナムからきた留学生の方と一緒に熱心に山車を見ていかれました。
まつり会館のお話をすると寄ってみるとのことでした。
この日だけで結構な人数をまつり会館にご案内したのではないのかしら、私・・・
トップの画像に登場いただいたご一行は、さいたま市からお越しのみなさんで、シルバー人材センターの仲間とのことでした。フォトウォーキング同好会の旗をお持ちでした。
記事の事を話すと、一緒に記念撮影しましょうと熱心に誘ってくださいました!(ありがとうございました)
さて、設置作業はつづきます。
カメラが設置できたので、今度は電源回りのセッティングのため山車の下に潜り込みます。
と、そこにはこの川越市の山車が『丸広百貨店が平成2年(1990)に製作したもので、平成14年(2002)、川越市制80周年を記念して川越市に寄贈された』という証の銘板がありました。
ここには何度ももぐっているはずのノリさんでしたが、これには初めて気が付いたそうです。
山車の近くに寄る機会がありましたら、是非見つけてみてください。
電源回りは山車の下にコンパクトに収納。ここはノリさんの職人技が光ります。
これで山車ウェブカメラの設置は終了です。所要時間はだいたい5時間くらいでしょうか?
続いては今回、固定カメラの設置場所を提供してくださった中央通り(昭和の町)の新しいピザのお店。
Pizzeria Rocco(ピッツェリア ロッコ)さんです。つい先日、我々の懇親会をおこなったお店です。
こちらには、下見に来ました。
お店の2階にカメラを設置します。カメラの向きは一番街を向いた方向になります。
今回は、これまでのUSTREAMからYouTube Live(これは、より軽くするためと、ラジオぽてとで実績を積んできたため)に変更するところが技術的には大きな変更とのこと。そのほか、山車カメラに搭載するPCも新しく購入したそうです。
川越まつりのライブカメラも着実に進歩しています。
作業がすべて終わり、一息ついていたノリさんに、ライブカメラプロジェクトの今後の展望を聞いてみました。
「市政100周年を一つの目標にしています。 今回は見送りましたが、360度カメラとかも出てきていたりとテクノロジーも進歩していて、VRも今でもやろうと思えばできる段階に来ています。 市政100周年になら、スマホ一台で、今やっていることできるかなと考えています」
これもちょっと楽しみです。
さて、今年はどんな川越まつりが見られるのでしょうか? おまつり当日はどうか晴れますように♪
取材・写真 本間寿子
INFORMATION
川越まつりライブカメラプロジェクト
【日時】平成30年10月20日(土)〜21日(日)10:00〜22:00
【HP】https://koedo.info/181010dashinabi/
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