川越まつり山車ナビプロジェクト2015

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明日、あさってはいよいよ川越まつりです。
2012年から配信が開始されている「川越まつりの山車ライブ中継」。みなさまはご覧になったことがあるでしょうか?山車に搭載されたWebカメラにより、まるで囃子台のって市街地を練り歩いているような気分を味わえます。
4回目となる今年は川越市猩々(しょうじょう)の山車から臨場感溢れるまつりの雰囲気を配信いたします。
NTTドコモ様からご協力をいただき、高速大容量のデータ通信を可能にするLTEを使用、昨年来より課題であった通信の安定性と画像品質の向上した映像をお楽しみいただけます。
‖ なぜこのプロジェクトが始まったのか?
このライブ中継、事の初めは2010年当時の川越市から市政90周年記念の取り組みのひとつとして「山車の位置情報を把握できないか?」という相談を受けたことがきっかけでした。
多くの人出はおまつりの雰囲気を盛り上げるものですが、安全に川越まつりを楽しんでいただくためには山車の運行管理が重要になってきます。またよくある「山車は今どこにいるのか教えてほしい」という市民や観光客からの要望にも応えることもできます。一方で、当日参加する29台の山車全ての位置情報を把握するために必要な技術の開発、機材、通信費といったコストをどのように捻出するのかも大きな課題でした。
そこでファーストステップとして、大きなコストを必要とせず、我々の手持ちの機材を使って実現できる「山車にWebカメラを取り付けて山車目線からの映像配信」を川越市へ提案しました。アナログかつ実験的試みではありましたが、まず位置を把握するには映像で確認するということが良いのではないかと考えたからです。
川越市所有の山車を用いて検証を行う了承を得て、2012年に初の試み「川越まつり山車ライブ中継プロジェクト」が開始しました。
‖ しかし課題は山積みだった
映像配信に必要な機材構成は、Webカメラ、マイク、パソコン、モバイルルーターと電源であるバッテリーです。それらを山車に確実に固定する事が求められ、加えて安全性とメンテナンスのしやすさも考慮しなければなりません。カメラやマイクを取り付けるにしても、漆塗りが施されている箇所もあり、傷、跡、汚れをつけることは許されません。神聖な山車であるので、もちろん破損はもっての他であり、しかも配線が極力目立たないようにするという難題が積み重なりました。

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釘やネジを一切使わずこの難題をクリアしたのが、故・白石美穂氏でした。残念ながら道半ばにして昨年急逝してしまいましたが、氏の意思はこうしてさらなる発展を伴って引き継がれています。白石氏は2009年に放送された川越を舞台にしたNHK朝の連続テレビ小説「つばさ」がきっかけで市外にある自宅から毎週のように川越に通い、様々なボランティア活動にも参加されていました。

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そして、この映像配信の入り口である川越まつり公式サイトトップ(http://kawagoematsuri.jp/index.html)に「川越まつりLIVE映像配信」のバナーが張り付けられたのは川越まつり前日のことでした。まったく事前の宣伝や案内もなくスタートしました。
‖ そして当日の配信もトラブル続きだったが・・・
当日の川越まつりライブ配信は、通信費を抑えるためにPHSを用いた結果、ところどころ回線が切れる事があり、映像配信がストップする事が度々ありました。10月とはいえ日差しのある日中は山車の中は熱がこもり、それが原因と思われる機材のフリーズにも悩まされました。思うように映像配信できない、現場にはため息もでるそんな中「映像配信見ましたよ!すごいですね」と声をかけてくれる方々もいて、かかわったスタッフの苦労が報われた瞬間だったと思います。
2年目も川越市の山車、3年目は新富町一丁目の山車をお借りして映像配信を行いました。
さて、肝心の山車ナビシステムですが、当時は位置情報システムがまだ川越市の中で確立されていなかったため、東洋大学と共に試験運用が実施されたのが昨年の川越まつりが初めてでした。しかしここでもありあわせの機器を用いたため、不具合や接続断に悩まされ、位置情報の精度にもまだまだ課題はありました。
‖ 今年は新しい位置情報システムを使用
それを踏まえ、今年は川越市と見直しを図り、新しいシステムを導入することにしました。しかし、位置情報は当然ながら山車を追跡する為に作ったものではないので、地図の縮尺を交通規制の掛かっている地域全体を表示させると、山車の位置が重なってしまいどの山車がそこにいるのか分からなくなってしまいます。かといって、縮尺を大きくすると全体が見渡せなくなります。もし、これをネットに載せるとした何画面かに分割するといったことも考えていかなければならないことです。

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また運用という面では、だれにどういった情報を見せたいかによって内容は相当に変わってきます。警察や市役所なら、地図上に山車のアイコンでなくただの点でもいいわけですが、見物する側からすると、自分が中心となって近くに山車がいるのかどうかを確認したいのではないか?ということも頭に入れておかなければなりません。

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そのような今までの課題を頭にいれつつ、今年も昨年同様多くの人の手をお借りして、地道に精度確認と他の課題の洗い出しのため実際の川越まつりで運用試験を行います。今回は町内の山車5台にご協力いただいております。
山車ナビ実施試験の様子は 仲町観光案内所(川越市仲町2番地3)に閲覧用のPC(又はモニター)などが設置される予定ですので、ご興味がありましたら是非ご覧になってください。
どこにどの山車があるのか?モニタの地図上に表示されているのがご確認いただけると思います。
また今回は初の試みとして、川越市役所前の模様をライブ中継いたします。山車揃いの様子などがお楽しみいただける予定です。
※新たな試みですので、配信がうまくいかないことがあります。その点はあしからずご了承ください。
近い将来、山車からのライブ中継と位置情報が最終的に融合したものになれば、川越まつりをより楽しんいただけるのではないかと期待しています。
記事・編集:寺崎英幸/白井紀行/本間寿子
写真:寺崎英幸/白井紀行/川越市
INFORMATION
山車ナビプロジェクト(技術運用検証試験)
【実施日時】10月17日(土)、18(日)を予定(両日10時~22時)
【山車】5台
山車ライブ中継(川越市猩々の山車)with Ustream
【実施日時】10月17日(土)、18(日)を予定(両日10時~22時)
【URL】http://tokusetsu.koedo.info/151017kawagoefes/
【機材協力】NTTドコモ埼玉支店様
【技術】白井紀行、寺崎英幸(NPO法人 カワゴエ[マス]メディア)
川越市役所前からのライブ中継
【実施日時】10月17日(土)、18(日)を予定(両日10時~22時)
【URL】http://tokusetsu.koedo.info/151017kawagoecityhall/
【機材・技術】白井紀行(NPO法人 カワゴエ[マス]メディア)