山の神に五穀豊穣の御礼を捧げるお日待ち〜上戸日枝神社のささら獅子舞〜
取材・記事 白井紀行
台風25号が日本列島を外れたおかげで10月とは思えない夏日となった7日。
上戸日枝神社の秋の大祭(お日待ち)でささら獅子舞が奉納されました。
上戸日枝神社は860年に休慶という修行僧が日吉神社権現社として創建。
永歴元(1160)年に後白河天皇が皇居の守護神 山王七社の神々を比叡山坂本の日吉大社から京都に迎えて新日吉神宮としました。同年、河越重隆氏が河肥三十三郷を荘園として後白河天皇に寄進して河越庄となり、河越庄内(今の上戸)に新日吉山王宮(いまひえさんのうぐう)が勧請されました。明治9年に神仏分離令により「日枝神社」と改称されました。
赤坂の日枝神社は上戸の新日吉山王宮から勧請されたものです。
本殿は大型の一間社流造りで、川越市の指定文化財建造物。
装飾が控えめで保守的、伝統的な近世前期の神社本殿を形式を今に伝えています。
日枝神社に伝わる3頭の獅子頭は享保3(1716)年の作とされる。
川越市内に現存する獅子頭では最古と言われています。
日枝神社では4月(春祈願)と10月(秋の大祭)にささら獅子舞を奉納。
10月は「お日待ち」と言われ、山の神に五穀豊穣の御礼を捧げます。
時間まではなんとなくのんびりと過ごすひととき。
遊びに興じる山の神やささらッ子をつとめる子ども達。
近所の方も三々五々という感じで集まってきました。
上戸芸能保存会を中心に祭礼に参加する人たちが本殿前へ。
本殿の中には地元の代表者。神職より修祓(お祓い)が行われます。
獅子頭を身に付け祭礼の準備を整えていく。
身支度を済ませたら参道の方へ。
素朴な笛と太鼓の音に合わせて一行は参道を進む。
神主、天狗に続いて中立(なかだち)、
大獅子、雌獅子、中獅子が追い、
花笠を被った二人のささらッ子、笛方・唄人の村人が盛り上げる。
一行は笛の音に誘われながら境内をぐるりと1周して定位置につきます。
太鼓を叩きながら悪霊を追い払い境内を清める踊りを舞う三頭の獅子。
獅子は中立に誘われ、黄泉の国との境である竿の下を順番にくぐり抜けて行く。
笛や太鼓に合わせて長唄が流れる中、獅子が舞う。
「しばらくしばらく笛と太鼓の音に誘われて〜」と踊りの褒めの口上。
天下泰平、国家安穏、五穀豊穣を祝います。
それに対して御礼の言葉を返します。
花笠を被ったささらッ子らは中央へ。
サラサラという音色を奏でる中、三匹の獅子がその周りを舞います。
舞を終えた一行は再び一周して境内を去ります。
最後は、上戸芸能保存会や氏子さんら全員で記念撮影!
お知らせ
11月17日(土)に河越館跡で開催される「河越流鏑馬」
こちらでも上戸芸能保存会の皆さんが「ささら獅子舞」を披露します。
また、鯨井の万作保存会による「鯨井の万作」も演じられます。
この地区の民俗芸能を目にするまたとない機会。ぜひ、お越しください。
INFORMATION
上戸日枝神社のささら獅子舞
【開催】平成30年10月7日10:00〜11:30(10月15日に近い日曜日に開催)
【主催】上戸芸能保存会