天に昇る祈願札に願いを込めて〜雀ノ森富士浅間神社のお焚き上げ〜
世界遺産に登録されるまで、富士山の閉山日は9月1日(現在は9月10日)。
それに合わせて行われてきた新宿町にある雀ノ森浅間神社のお焚き上げ。
明治18(1885)年に神社が創建されてから130年以上続く伝統行事です。
仕事を早めに切り上げて到着したのは19時半過ぎ。
雨がパラついていましたが、盆踊りの曲が流れて賑やかに開催されていました。
参道を通って境内右手には祭壇が設けられていましたので、まずは、こちらに参拝。
続いて、雀ノ森氷川神社にも参拝を済ませました。
祈願書に住所と名前を書き、祈願したいことを丸で囲む。
祈願は家内安全、交通安全、病気平癒、商売繁盛、身上安全、試験合格とあります。
祈願料は1件につき300円を納めます。
雨が激しくなってきたので踊りは早めに切り上げ。
境内にはおまつり屋台が幾つも立ち並んでいます。イカ焼きのいい匂いが鼻をくすぐる。
神楽殿では新宿囃子連のお囃子とともに獅子舞が舞い踊る。
モドキ、天狐と演者が続きます。
お囃子に見入っていると参道に白装束を着た氏子の行列が富士塚に向かっていました。
鳥居の前で二拝二拍手一拝をした後、富士登山。
頂上にある祠の前で祈祷を上げます。
富士登山を終えた氏子さん達は、境内に設けられた富士浅間神社の仮宮へ。
腰につけた鈴が小川の流れのような軽やかな音色を響かせます。
本殿前での祈祷。時折、歌のような節も聞こえます。
祈祷を終えた氏子さん達。手に手に長い竹箸を持って移動。
境内中央に堆(うづたか)く積まれた薪の周りに円陣を組みます。
いよいよ、点火!
バチバチバチと音がして炎が立ち上がります。
やがて薪も燃え出し高く上がる炎。
オレンジの炎が辺りを優しい色で照らします。
この頃になると不思議なことに雨も止みました。
最初の祈願札を読み上げて炎の中に投げ入れる。
たちまち炎に包まれる祈願札。高く上がれば上がるほど願いが叶うのだそうです。
氏子さん達は祈願札を読み上げながら次から次へと炎へ投入。
パッと燃えて祈願札は夜空へ。
そのたびに子供たちから「うぉう」という歓声が飛び出します。
願いが叶うように思いを込めて、
参拝者も自分の祈願札の行く末を祈りを込めて見つめます。
夜空を焦がしては天に舞う祈願札。
1時間あまりで祈願札を全て天に届けました。
再び円陣を組む氏子さん達。
燃え盛る薪の周りを一周して、富士塚の鳥居の前へ。
二拝二拍手一拝をして今年のお焚き上げの終わりを告げました。
それを、待っていたかのように再び降り出す雨。
まつりの夜は静かに更けていきます。
帰る前に富士塚に登ってみました。
眼下にはまだ炎をあげている薪。
130年前の人も同じ景色を眺めていたのでしょうか?
取材・記事 白井紀行
INFORMATION
雀ノ森浅間神社のお焚き上げ
【日時】毎年9月1日 19:00〜21:00(お焚き上げは20:00頃から)
【住所】川越市新宿町1-22-2
【情報】http://www.tesshow.jp/saitama/kawagoe/shrine_arajuk_szme.html