おやさいとくだものとお酒と・・鈴木 豪さん(すずのや店主)
川越の旬の野菜たちをたっぷりつかったお料理と、店主セレクトの日本酒が楽しめるお店、「すずのや」さんのオープンがいよいよ6/20(火)とせまってまいりました。
14時からゆるゆる~と昼飲みも楽しめるお店です。

©カワゴエ・マス・メディア
このすずのやさんがテナントとして入る長屋のリノベーションは、川越市が開催したエリアリノベーション「まちづくりプロジェクト」がきっかけとなりました。ここで出会い、同じ志をもつ仲間が自らの手で解体、設備や内装工事に携わってきました。

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店主となる鈴木豪さん(以下豪さん)も、この長屋の家守会社株式会社80%の一員として、解体・改修工事にも参加していました。
そして、さかのぼること1年半前、豪さんは昨年2016年2月に行われたまち歩き物件検索ワークショップにも参加。
今回の長屋を見たときに「日本酒とおでんのお店をやりたい」と静かに、そして具体的に夢を語っていたのが印象的でした。
その夢がいよいよ現実になります。
お忙しい作業の中、豪さんの簡単な経歴、すずのやさんのお店のメニューやコンセプトをお伺いしてきました。
鈴木さんは調理師専門学校製菓コースで学んだ後、銀座にあった超一流店に就職。それから約10年間「パティシエ」として活躍してきました。
秋田出身で、もともと飲みに行くことが好きだったと語る鈴木さんは、この10年を節目に一転「居酒屋」に転職。
以来「料理人」として様々な飲み屋さんを渡り歩くことになりました。
都内で人気店の居酒屋では、毎日大量に入荷する魚をさばき、魚のあつかい方と仕込みを一通り身につけ、おでん屋と立ち飲み屋では、店長として、店舗の会計・料理の提供・接客を一人ですべてをこなすことを覚えたと話します。
立ち飲み屋のお客さんは、さっと飲んでいかれる方が多く「料理を作っているときも、カウンターにいるお客さん全員の視線を感じながら」お店に立っていたとのこと。

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この時の経験が、いつかは一人でお店をやりたいと思っていた豪さんの大きな自信につながりました。
そして、おでん屋で実感したのは「出汁」の美味しさと万能さ。
「野菜や練り物などの具材からうまみが出たおでんの出汁。それが常にそこにあるのは料理をする上では大きいです。出汁さえあれば、色んな料理に使えます。たとえばアサリの酒蒸しにいれる。アクアパッツアを作るなら、そこに出汁を加える。素材がもつ美味しさがより一層引き立ちます。」
素材自体にはあれこれ余計な手を加えないかわりに、醤油やみりんといったベースとなる調味料は妥協せず丁寧に選びたい、また「柚子胡椒」「ポン酢」「生七味」などもなるべく素材から手をかけて作っていきたいとのこと。
豪さんからお聞きした、すずのやさんのメニューやインテリア、食器などをご紹介します。(一部記者の妄想解説あり)
【お料理】
「本日のちょい刺し盛り」/「本日のちょいあて盛り」
ひとり飲みでも、お刺身や「あて(肴)」がちょっとずつたくさん楽しめる一品。
「川越産の朝どれ枝豆」
毎朝、指定農園から仕入れてくるとれたての枝豆は絶品。
「夏野菜の揚げびたし」
たとえば、旬のトウモロコシをかき揚げにして出汁をちょっとひと回し。
出汁のかすかな塩気がトウモロコシの甘さをさらに引き立てそうです。
「出汁でいただく葉物野菜のおひたし」
川越は、コマツナやホウレンソウといった葉物野菜もおいしい。おひたしにさっと出汁をかければ、野菜好きにはもちろん、箸休めにもなる嬉しい一品に。
おでんは一年中をとおして提供される予定で、まず10種類程、一皿200円から。
その他お料理は20品ほど用意、価格帯は280円から1000円以内程度になるそうです。
【酒・のみもの】
川越の「鏡山」を始めとして、日本酒は30種類ほどを常備予定。定番はほとんどおかずに、季節ごとや飲みきった後に入れ替えます。
秋田に里帰りしたさいには必ず何軒か酒蔵巡りをするという豪さん。そのたびに驚くような変化を感じているとのこと。
「酒造会社さんは以前分業制が多かったのが、跡継ぎが杜氏さんと経営を兼ねるといった会社が増えてきました。今までより意見・提案がとおりやすくなり、新しいこともどんどんできるようになったと聞きます。技術の向上はもちろんですが、この動きでお酒の味がぐんっと良くなってきたように思います。」
味わいも外見も個性豊かな日本酒がずらっとならぶ様子が目に浮かびます。

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日本酒以外では、生絞りのレモンサワーも。こちらは甘めと苦めの2種類を用意。旬のくだもの使ったサワー類もそろえていくそうです。
他にも、ウーロンハイにつかうウーロン茶は茶葉自体も徹底的に調べて選んでいきたいとのこと。狭山茶を使ったものも考案中。
ソフトドリンク類は自家製シロップを使ったレモンスカッシュ等のソフトドリンクや自家製ジンジャーエールなど。
日本酒が苦手、お酒はちょっとという方にも、お料理と楽しめる嬉しいドリンクメニューです。
日本酒はグラス500円から。徳利は900円から。
サワー類は500円から。その他ビールもあり。
ソフトドリンクは450円から。
【甘いもの・デザート】
「和」を感じるものや、プリン、キャラメル系のものなどを考案中とのこと。
ここでは、パティシエとしての経験と腕が生きます。
日本酒とスイーツで〆るなんていいですね。
【うつわたち】
先日益子に出向き、買付したうつわも含め、お店でつかうものはあえて色形は統一せずバラバラ。成田山の蚤の市で見つけた掘り出し物の徳利もあるそうです。
おちょこは、お客さんに好きなものを選んでもらい、選ぶ楽しみ出会う楽しみも感じてもらえればとのこと。
【レイアウトとインテリア】
「1階」カウンター6席/立ち飲み4席/テーブル席2つ(4人掛け)
カウンターはポートランド(米オレゴン州)から取り寄せた古材を使用。
豪さん曰く「見たらめちゃくちゃかっこよくて、テンションあがりました。いろんな大変なことあったけど全部忘れてしまった」
そのカウンターに置かれるハイチェアーは、大阪の家具やさんに発注して約3か月かかったもの。

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テーブル席の机はベークライトでちょっとノスタルジーを感じるたたずまい。

©NORIYUKI SHIRAI
昔懐かしいダイヤル式の黒電話も設置。ただのインテリアではなく、実際に店舗で使用します。
あの懐かしい呼び鈴が鳴り響き、この長屋が生きてきた時代が蘇る一つのアイコンになりそうです。

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「2階」テーブル席2つ(4人掛け)
最初は、実験的に主に知り合い向けに開放したいとのこと。冷蔵庫と酒燗器があるので、飲み物はそこから取ってもらう。料理はコースのみで、1階に取りに来てもらうスタイルを考えているそう。
1階も2階も壁はざらっとした白壁で、古材のしっかりとした木目をほどよく引き立てています。ガラス戸はすべて透明なので、外の風景が手に取るように分ります。
入口部分は吹き抜けになっており、思わず見上げてしまいたくなります。心地よい開放感にひたれそうです。
音楽好きな豪さんは、その場の雰囲気にあわせてお店の音楽もチョイス。DJブースも設置。

©NORIYUKI SHIRAI
ただのお店というより、音楽イベントを始め、日本酒の酒蔵さんを呼んだり、農家さんも加えたイベントも開催して、人が出会い交流する場にもしていきたいとのことです。

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人が通り過ぎるだけだった古い長屋。ここが人が集う場所になるのはもうすぐです。
ぜひすずのやさんを訪れてみてください。

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※まだ内装工事中のお忙しい時間に対応していただきました。ありがとうございました。
一部をのぞきほぼ完成前の様子です。実際は照明やグリーンが入りもっと素敵になっています。
メニューについては、変更もありますのでご容赦ください。
また、この長屋にはglin coffeeさんの大工町店が6/30(金)にオープンします。こちらも楽しみです♪
取材・写真 本間寿子
INFORMATION
すずのや
【住所】川越市連雀町27-1
【電話】049-272-7794
【営業】14:00〜23:00(L.O.22:00)
【定休】不定休(月曜日予定)
【Facebookページ】すずのや おやさいとくだものとお酒と