初雁の里で生きもの育む米作り(種播編)〜かわごえ里山イニシアチブ〜
ちょっと空模様が心配な4月22日(日)。
生きもの育む田んぼプロジェクトに取り組むかわごえ里山イニシアチブの実践の場「初雁の里」。
福田にある田んぼで有機稲作ポイント研修の2回目が開催されました。
代表理事の増田さんより「種播き」の作業工程と作業目標が伝えられます。

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稲作について様々なサポートをしていただいてる高梨さん。
高梨さんのブログ「耕福米」は、稲作についての日々が綴られています。

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民間稲作研究所からは、舘野先生が駆けつけてくれました。

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「土」言われて気づいたこと
ポット苗箱とマット苗箱という二種類の育苗箱の違いについて。
マット苗はここに土を敷いてその上に種を播く。従って、その土自体に栄養が必要。

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一方、ポット苗箱ではこのY字の隙間から根が出てきて、その下の土から栄養を得る。
ポット苗箱に播く土はマット苗箱と比べて土の量は3分の1。軽いので一度に多く運べます。

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ポット苗で育った苗は、田んぼに敷いたこの土から栄養分を吸収します。

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今回使った土は、日本稲作を守る会が販売する成苗用有機培土。
鹿沼土、落ち葉堆肥、大豆ボカシ、ビートモスなどが含まれています。
田んぼに入れる土は何でも良いというわけでもありません。
例えば、畑の土を使ってしまうと、種が含まれているので雑草だらけとなる憂き目に。
今回の土は焼いてありますし、山の土に含まれる雑草の種は成育環境の違いで育ちません。
当たり前に見えるけど、言われてみないと気づかないポイントです。

大きさの違う細かいビーズのような触感です
ポット苗箱の苗はこの土から栄養を吸収するのでポット苗箱の底との密着が必要。
まずは、全体を平らに均(なら)します。

田んぼ全体の高低も均一が理想です
ポット苗に種を播きます
昨年はポット苗箱のポット一粒づつ播ける精密播種器を使いましたが、今年はこれ。
みのる産業の「ポット電動播種機 LSPE-1」の登場です。

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種籾のセット
ポット電動播種機に、種籾をセット。

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この種籾は「塩水選」を行ったのちに、60度のお湯で「温湯消毒」をしたもの。

<かわごえ里山イニシアチブ様より写真提供いただきました>
今回は芒(のげ)が十分に取り除かれておらず、播種数にばらつきが出やすかったようです。
難しい言葉が並んだので、この辺りの詳細は、以前の記事をご覧ください。
ポット苗箱をセット
ポット苗箱の全体に成苗用有機培土を掛けて余分な土を取り払います。

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ポット苗箱をポット電動播種機にセット。

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自動的に送り込まれ、余分な土が取り除かれます。
その先に突起のついたローラでポット穴ひとつひとつを押し固め種籾が播かれます。

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クリーム色上の筒の縦のスリットの間から種籾が落ちる仕組み。

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出口側にも突起のローラ。こちらは、種籾を土の中に埋め込みます。

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このようにポット穴に2〜4粒の種籾が播かれています。
ポット穴に1粒づつとするにはスリットを狭くすれば可能ですが0粒になることもある。
効率などを考えるとこの辺りが最適数となります。

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播種が終わったポット苗箱は上から土を被せた後に田んぼに並べます。

ポット苗箱は極力密着させます
その上に育苗箱をおいて体重をかけて地面と密着させます。

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マット苗へも播種します
マット苗箱にはふつう土を入れますが、今回はジーザックマットを使います。
これは、竹、葦、パームなどの天然素材を使ったマット。
とても軽く(1枚300g)て、保水力に優れるという特徴があります。

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これをマット苗箱に嵌めて、電動播種機 SR-331KWにセット。

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たっぷりと水を含ませ、

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種籾が播かれ、その上に土が被せられます。
その巧みな機構に関心つつ、この機械を使うのは唯一この時期だけ。
この他にも用途に合わせた高額な機械が必要なので、農家の大変さがわかります。

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保温、乾燥、雀対策
並べ終わった育苗箱。これから保温、乾燥、雀対策を施します。

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寒冷紗と鳥よけネットでトンネルを作るためアーチを渡します。

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パオパオを平掛け(手順としては、本来はこちらが先)

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寒冷紗をアーチの上に被せる。

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その上から雀対策の防鳥ネットを被せます。

1〜2葉の苗は雀の格好の餌になってしまいます
風で飛ばないように金具で固定します。

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苗箱を潅水させます
昨年はホースで水を撒いて苗箱を潅水させましたが今回は水を引いて潅水させます。

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用水路からポンプでくみ上げた水が流れ込んできました。
十分に潅水させたら、水はその日のうちに抜いてしまうのだそうです。

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目標の作業が終了しました
もともとは、手作業で種籾を植える予定が「ポット電動播種機」が大幅に時間短縮。
本日の目標作業はここまで。恒例となった記念写真を撮って今日は終了です。

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お知らせ〜井戸掘りプロジェクトスタート〜
かわごえ里山イニシアチブが実践する有機稲作では、水管理がとても重要です。
田植え後、30日間水位を7cmに保てば除草剤がなくても抑草が可能とする農法。
しかし、同会の田んぼの水は入間川任せ。渇水時はこの水位が保てなくなります。
安定した水を確保すべく、今年、「井戸掘りプロジェクト」がスタートします。
その資金を現在「クラウドファンディングFAAVO」で募集しています。
ご興味のある方は、是非、サイトを御覧ください。同会の活動も詳しく載っています。
https://faavo.jp/saitama/project/1715

安定した水確保のため井戸が必要です
※カワゴエ・マス・メディアでも4月にスタートした「くらびとファンディング」事業で支援します。
取材・記事 白井紀行
INFORMATION
かわごえ里山イニシアチブ
【HP】http://kawagoesatoyama.ciao.jp/
【FB】https://www.facebook.com/kawagoesatoyama/
井戸掘りプロジェクト(クラウドファンディング)
【HP】http://kawagoesatoyama.ciao.jp/井戸掘りプロジェクト
【関連】https://faavo.jp/saitama/project/1715
今後の活動スケジュール
※会員でなくても参加費を払えば、一般の方の参加も可能です。