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旧山崎家別邸で春を感じるイベント、『花VILLA写真館』開催中!
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『花VILLA写真館』開催中の旧山崎家別邸とは
旧山崎家別邸は、川越市川越伝統的建造物群保存地区の東に位置し、川越の老舗菓子屋「亀屋」の五代目である山崎嘉七氏の隠居所として1925(大正14)年に建てられました。木造モルタル仕上げの洋瓦葺の洋館と数寄屋造りの和室を備えた和館で構成された和洋折衷の母屋、広々とした庭園、我前庵の写しの茶室を備えています。
2000(平成12)年に主屋・茶室・腰掛待合が市指定有形文化財となり、2006(平成18)年に建物部分が市へ寄贈されました。2011(平成23)年2月には、庭園が国登録記念物(名勝地)に登録されました。また、2019(令和元)年9月30日に母屋が国重要文化財(建造物)に指定されました。(茶室・腰掛待合は附指定)
旧山崎家別邸が建てられた背景
山崎家は、信州高井郡下笠原村(現在の長野県中野市)出身の初代嘉七氏が安永元(1772)年ごろに川越に来て上菓子製造業の亀屋清右衛門のもとで修行し、天明3(1783)年に「亀屋」の暖簾を許され創業したと伝わっています。
四代目嘉七氏は、明治11(1878)年第八十五国立銀行の創立に関わり、当時の川越経済界を主導する存在でした。
設計を担当した保岡勝也とは、東京帝国大学で辰野金吾(日本銀行本店・東京駅を設計)に師事し建築学を学んだ後、現在の三菱地所で当時の一丁倫敦と呼ばれた丸の内の赤レンガ街の設計総指揮に当たった人でしたが、中小住宅に関心を持ち三菱地所を退社し住宅設計者として活躍しておりました。
また、「茶室と茶庭」を出版するほど和風庭園に造詣が深く、山崎家別邸の庭園設計でもその知識を発揮しています。和室の廊下から見渡すと、なだらかな高低差のある庭が広がり、石灯篭がアクセントとなって、木立の先に建つ茶室が風情を添えています。
大正7(1918)年には、第八十五銀行本店(現在の登録有形文化財である旧埼玉りそな銀行川越支店)を手がけ、当時、五代目嘉七氏が第八十五銀行の副頭取を務めていたこともあり、保岡勝也の実力を認めた上で自身の別邸の設計を依頼したと考えられています。
現存する貴重な大正建築物
旧山崎家別邸の敷地面積は、約2,300平方メートル、延べ床面積250平方メートルあります。母屋の南側には、広々とした庭園が広がり、庭の東側に有楽如庵の写しと伝わる茶室があります。
主屋は、木造モルタル仕上げの洋風屋根葺きの洋館で、その奥には数寄屋造りの和室等と融合している和洋折衷のデザインです。内部は和洋の多彩な接客室を機能的な動線で連絡し,通風や採光,防火に配慮して豊かな住環境を実現しています。
屋内には和館の内玄関から入館します。
洋館の内部から見るステンドグラスの輝きは大変素敵な光景です。階段の踊り場に据え付けられたステンドグラスは、小川三知の「泰山木とブルージュ」という作品で、カラフルな鳥が特徴です。更に下部のステンドグラスは水辺の植物を表しています。建物内部には他にもいくつかステンドグラスの装飾が施されており、これによって来賓と女中が顔を合わせないよう、機能的な設計がされているのだとか。
館内は母屋2階や土蔵など一部を除き、2016(平成28)年4月より一般公開されています。
旧山崎家別邸で春を感じよう!
花をテーマに装飾された旧山崎家別邸では、2022年3月31日までの期間限定で『花VILLA写真館』が開催されています。Instagramなどに掲載したいほどに写真映えするスポットになっておりますので、ぜひ足を運んでみてください。和服にも似合う装飾ですので、お着物で出かけてもいいですね。
中庭や門前などの敷地内にはいくつか花手水もありますので、探してみてはいかがでしょうか。
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