
あなた色の眼鏡フレームを~澤口亮さん「澤口眼鏡舎」店主~
人, 買
2019年1月に川越市三久保町にゲストハウスとしてオープンした「ちゃぶだい」。その庭に3月10日オーダーメイドの眼鏡フレームの小さなお店「澤口眼鏡舎」がオープンします。
工房も兼ねているこのお店の店主は澤口亮さん。1月まではデザイン分野で活躍する会社員でした。
プロダクトデザイナーとして
ご両親の影響で、小さなころからトランペットをはじめとした音楽に親しみ、美術にも強い興味を持ち、頭を使ってというより、手を動かした活動が得意だった澤口さん。
しかし工業高校を卒業後は、特にこれがやりたいという希望もなく、親戚の方からたまたま声をかけてもらったという大手メーカーに就職しました。
就職後はソフトウェア開発部門に配属されたものの、仕事が性にあわずすぐに辞めてしまいたいと思いながら働つづける日々を過ごします。
そんなときに社内誌の挿絵を描くことになり、もともと小さいころから絵を描くのも大好きだった澤口さんは、やはり、手を動かしたクリエイティブな仕事がしたいと強く思うようになりました。
「上司に相談したところ、それなら会社の中にデザイン部門があるから、と連れて行ってくれました。でも、デザインなんてやったことない。上司から『それなら、ちょっと勉強してみたら?』と背中を押され、デザイン専門学校の夜学に2年通うことになりました」
夜学卒業後、しばらくしてデザイン部の方から声がかかり異動。始めはATMといった金融流通系プロダクトを担当します。やがてワープロやパソコンといったパーソナル製品やサーバーも担当し、徐々に携帯電話やスマートフォンのプロダクトデザインも手掛けるようになりました。
「コツコツ作る金融流通系の仕事より、僕は絵が好きというのもあり、見映えとインパクト重視のパーソナル製品のほうが得意でした」
パーソナル製品を担当するようになってから、まるで暴走するようにデザインにのめりこむようになったと語る澤口さん。
そんな中、お客さんが製品についてこだわるポイントはデザイン、だけれど、そこを細かく突き詰めていくと、思った以上に色が購買意欲に影響していると気づいたそうです。
手作り眼鏡フレームとの出会い
ある時、眼鏡を作りに、奥様が見つけてきた浦和の眼鏡屋さんへと出かけました。
「おもしろい眼鏡屋さんがあるよということで行ってみました。その時選んだのが手作りの眼鏡フレームでした。形もよくて、ワクワクしました。家に帰ってから、これもしかしたら自分でも作れるんじゃないのかな?なんて思い始めました」
モノづくりが大好きな澤口さんの心は踊り、すぐに、眼鏡フレームを作るための材料を求めて動き始めます。しかし、個人向けに小さい単位で材料をおろしてくれるところはなかなか見つかりませんでした。それにもめげずあちこち電話をかけまくり、なんとか材料を手にいれて眼鏡フレーム作りにとりかかります。
そんな状況が大きく前進したのは、国内外のメーカーが集まるメガネショー(国際メガネ展)で、福井コーナーに立ち寄ったときのことでした。福井といえば、メガネフレームの国内生産シェア率96%を誇る鯖江市があります。
「とある会社が、板状の材料から糸のこを使って眼鏡のフレームを切り出すという手作り教室をやっていました。それを見て、ここならきっと話を聞いてくれると思いました」
その会社の社長に、直接材料をまとめて個人で購入させてもらえないだろうか?と直談判するも、なかなか快い返事はもらえませんでした。そこで、作り方をWebで調べてなんとか作り上げた眼鏡フレームをみせると、やる気はあると認められたのか、条件付きであるものの小口で仕入れられることになりました。
十分な材料を手に入れた澤口さんは、部屋の片隅で眼鏡のフレームづくりに没頭します。
たまたま家に出入りしていた工務店の方から、眼鏡を作って欲しいという依頼があり、さらに「クラフトフェアまつもと」への出店を勧められました。
クラフトフェアまつもとは、各地のクラフトフェアのさきがけと言われる大人気のクラフトフェアで、1985年から現在まで続いています。
澤口さんは、高い競争率をかいくぐり、2年連続で出店し手ごたえをつかみます。
「自分の作品を試す場があったのはとてもありがたかったです。お客さんとダイレクトにやり取りするのが本当にとても楽しくて、いろいろ気づかされることが多かったです。今まで物を作るのに一生懸命で視野が狭かったなと感じました」
同じ職場で出会った奥様も、自宅に遊びに来た友人たちに紹介し始めたり、フレーム談義で盛り上がったりと、いつのまにか旦那様がつくる眼鏡フレームのファンになっていったようです。
早期退職、そして起業へ
各地のものづくり市やクラフトイベントでも手作り眼鏡フレームは評価を得るものの、会社での澤口さんは昇進して管理職に就き、現場で手を動かす機会が少なくなりました。さらに会社の早期退職支援制度の存在を知ったことをきっかけに起業を考え始めます。
ところで、一家の大黒柱が早期退職にするにあたり、家族からの反対はなかったのでしょうか?
「もちろんカミさんには、突っ走らないでよと最初は釘を刺されまくりました(笑)。でも、彼女もそのころにはかなり興味をもってくれて、できるだけ手伝うと言ってくれました。それから一緒にさいたま市の創業・ベンチャー支援センターに行って、マーケティングの資料作って相談したり、イベントに参加したりしました」
店舗が決まるきっかけは、実は奥様でした。
奥様が、川越をあちこち歩き回っていたときに古い長屋をリノベーションしたコワーキングスペースダイクマチに出会います。コワーキングスペース内では、さすがに削ったりという作業は無理だろうと思いつつも面白そうな雰囲気に惹かれ、とりあえず連絡だけはとってみようと思いました。
このコワーキングスペースを運営しているのは株式会社80%で、そのメンバーがゲストハウスちゃぶだいのリノベーションにかかわっていました。そして彼らの中で、ゲストハウスの庭には小屋があるので、ここに作家さんに来てもらおうという話しがちょうど持ち上がっていたところで、とんとん拍子に話がまとまりました。
しかし、澤口さんを一番悩ませたのは、売り方でした。
クラフト市など、当初は出来上がった作品をそのまま販売しており、売れてしまうと手元になにも残らない、どんどん商品を作らなければならないと頭を抱えていました。しかし眼鏡フレームは、お客さんの個々の顔のパーツに合わせて調整が必要です。お客さんと接するうちにフルオーダー制という手もあるのでは?という思いに至ります。
「眼鏡は長く使うものだけれど、今すぐ手に入らなくてもいいものです。さらにそれが自分のためだけに作られたものであったら、お客さんは待ってくれるんだと気づきました」
そんな気付きがあってから、澤口さんの中で、商品の展示の仕方や対面方式という販売方法が一気に固まりました。
澤口眼鏡舎の眼鏡フレーム
アセテートやセルロイドをつかい、どこかぬくもりのある澤口さんの眼鏡フレームは、かける人の個性を引き立たせるようなクラシカルな形です。中でも色味の深さは独特で、肌になじむ艶やかな色は手作業で丁寧に磨きだされたものです。
あるとき、こんな印象的な出来事がありました。
「あるお客さんなんですが、眼鏡のフレームによって、より華やかで生き生きとした雰囲気になり、とても素敵でした。その様子を見て思わず話が盛り上がりました」
澤口さんは、お客さんに眼鏡フレームの説明しつつ、どうしてその色をかけたいのか?どうなりたいのか?ということをさりげなく聞き出し、お客さんと一緒にフレームを作り上げるスタイルです。
一人一人の顔に合わせるのはもちろん、その人の生き方にまで寄り添う眼鏡、といっても大げさではないかもしれません。
「色んな質問も受けますが、自分で作っているので全部お答えできるんです。そうすると作り手が見えるということで納得されて買われる方が多いです」
澤口さんの手作り眼鏡に出会って「こういうフレームが欲しかった!」と声を上げる人も多いとか。
いままで仕事で作ってきたモノやモノ売りのスタイルと、まるで真逆であることに衝撃と面白さを感じていると語ります。
長く使ってもらいたいものだから、修理や磨き直しも行なっています。
これから
「川越でとてもいいなと思うのは、いろんな人がかかわってくれて、その人たちも同じような活動をしているので、そのネットワークに助けてもらえてるというところです。
お世話になった方にはちゃんと恩返しをしていきたいと思っています。おおげさかもしれませんが、眼鏡業界に少しは貢献できるようにと、でかい夢はもっています(笑)」
今はオーダー制ですが、お世話になった鯖江のメーカーと協業して、もっと気軽に買えるように値段を抑えたものも揃えたいと思っているそうです。
また、モノ作りに携わる作家さんにも思いを馳せます。
「川越は作家さんがあまり目立たない印象なんです。あちこちで活躍している作家さんを集められる場所を提供できればいいなと考えています」
インタビュー当初、シャイなんですとおっしゃっていましたが、モノ作りの話になると話がとまらない、そんな澤口さんの「澤口眼鏡舎」がいよいよ正式オープンします。
お知らせ
3/10澤口眼鏡舎…



ホクホク焼きたてサツマイモを買って食べて楽しむ祭典〜小江戸川越お芋festival〜
活, 買, 食取材・記事 白井紀行&kawa
なにかとイベントの多い川越、特に飲食系はいつも人気ですね。
川越名物の食べ物といえば、なんといってもサツマイモ。
料理、焼き芋、パン、お菓子と市内を見渡せば芋、イモ、いも、IMO。
川越の幼稚園で秋の遠足といえば「芋掘り」が定番。
でも、意外と今まで開かれていなかったのがお芋メインのイベント。
今年は、川越いもの代名詞である「紅赤」が発見されて120周年の記念の年。
川越市民が待ち焦がれていた(!?)「お芋フェスティバル」。
満を持して、ついに11月18日にウニクス川越で開催されました。
サツマイモカラーはキャッチーだ!
ARUNADA
「川越」「芋」の文字の迫力に立ち止まらずにいられない。
イベントではいつも見事なカービングを披露するARUNADA。
このブログでも良くタイトルバックのごとく利用させていただいています。
この日はサツマイモをモチーフにしたサシェ(匂い袋)も販売。
芋版を使ったエコバック作りも人気でした。
【HP】https://www.arunada.com/
29moko(ふくもこ)
ほわほわと湯気までおいしそうな焼きいものチョークアート。
チョークアートの29moko(ふくもこ)。
さまざまなチョークアート作品や缶バッチが並べられていました。
指を使って描くチョークアート体験。大人も子供も夢中で楽しんでいました。
【HP】https://29moko.jimdo.com/
鼠屋ちゅう吉
週末には小江戸蔵里でもよくお見かけする鼠屋ちゅう吉。
川越唐山を使った和小物や伝統工芸を販売しています。
この日の目玉は、サツマイモの絵柄が入ったimoヘアゴム。
台紙にもサツマイモが描かれています。
【HP】http://nezumiya.shop-pro.jp/
東佑樹氏
アーティストの東佑樹さん、にぎわいマルシェでも恒例の巨大アートの製作中。
今回はサツマイモをテーマにしています。
【HP】http://www.azumayuuki.com/
ときも
子ども達がワーっと歓声をあげて駆け寄って行きました。
川越のマスコットキャラクター「ときも」です。
身体は「紅赤」、頭には川越のシンボル「時の鐘」を載せています。
【HP】ときもについて
http://www.city.kawagoe.saitama.jp/welcome/kanko_ta/tokimo/kawagoe_tokimo.html
奥さん手作りのサツマイモニット帽で登場はウニクス川越支配人の中尾さん。
一日中元気な声を張り上げて会場を盛り上げていました。
外側は赤紫、中身は黄色、葉っぱは緑。
色んな作品を見るとサツマイモの配色が意外とキャッチーなんですね。
新たな発見です。
やっぱり焼き芋!
すくすく農園
こちらは会場中央に陣取っていた「すくすく農園」
お芋掘り体験。土の中から引き出すと沢山のサツマイモにビックリ。
ドラム缶を使った焼き芋。色鮮やかで見るからに美味しそう。
タローマルシェ
さいたま市を中心にキッチンカーで焼き芋を販売の「タローマルシェ」
出来上がるとお客さんがワーッと並んで長蛇の列。
にぎわいマルシェでも出店しているので見かけたら要チェック!
【FB】https://www.facebook.com/タローマルシェ
幸芋(さちいも)
幸芋という店名は知らずとも見たことはあるはず、菓子屋横丁の焼き芋さん。
そう聞けばピンとくる「焼き芋おじさん」こと井上さん。
焼き芋と一緒に、いも茶や生のサツマイモを販売していました。
【HP】http://satiimo.net/
Cafe…

100円玉で引き出せ商店街のポテンシャル!〜かすみがせき100円商店街〜
人, 子, 活, 街, 買, 遊, 食取材・記事 白井紀行
東武東上線霞ヶ関南口から徒歩5分ほどにある「かすみ北通り」。
この生活道路沿いには「かすみ商店街」と「角栄商店街」が軒を連ねる目抜き通り。
昔懐かしい昭和レトロな光景が今も残ります。
ノスタルージーな雰囲気に浸れる街。
といえば聞こえは良いですが、現実的にはシャッターを下ろした店も目につく。
観光地でなく街全体も高齢化が進むのは否めない。
だけど、この街にはまだまだポテンシャルを秘めているはず。
商店街の賑わいある姿を見せれば、人は集まりこの街も変わっていくのでは。
その思いから約1年がかりで企画・構想をまとめた「100円商店街」
目玉となる100円の商品を置くことで、足を止めてお店の中に入ってもらう。
通り過ぎるだけだったお店に興味を持ってもらい、店主と会話を交わす。
「街バル」「街ゼミ」とともに商店街活性化の3種の神器として注目されています。
3人の呼びかけに集まった地域住民、商店街の店主、霞ヶ関を愛する人たち。
街ゼミやFacebook(かすみがせきを元気にする会)…

梅雨明けの青空の下で川越の農産物パワーが集結!〜川越Farmer's Market2018夏〜
活, 買, 食取材・記事 白井紀行
関東甲信地方が観測史上最も早く梅雨明けした2018年。
今年も折り返しに入った7月1日(日)に、蓮馨寺で川越Farmer'sが開催されました。
出店者は朝8時からテントを立て野菜を運び込んで準備に取り掛かる。
蔵の会やボランティアは机や椅子を運び込んで並べていきます。
参道には受付が設けられました。
記者は来場者を楽しませるライブステージで音響のお手伝いをしました。
今年は本堂側の木陰のある飲食スペースにステージが設けられました。
川越Farmer's…

「うんとん処 春・夏・秋・冬」で醤油の旨さを堪能したら直売店へGO!〜笛木醤油・川越店〜
活, 買, 食取材・記事 白井紀行
前号では、笛木醤油株式会社の12代目当主である笛木吉五郎様に、醤油作りについてのこだわりと現状、そして、木桶仕込みの醤油作りを未来に繋げる取り組み「未来へ繋ぐ100年プロジェクト」についてお伺いしました。
http://koedo.info/180629kinbue/
続いて、笛木醤油川越店店長…

未来へ繋ぐ100年プロジェクト「新桶初しぼり」完成〜 笛木醤油株式会社 12代目当主 笛木吉五郎様〜
人, 子, 活, 買, 食取材・記事 白井紀行
笛木醤油株式会社(川島町上伊草)は寛政元(1789)年に創業して以来、木桶で発酵・熟成させる伝統的な醤油作りを守り続けています。
2016年に50年ぶりに木桶を新調し、初めて仕込んだ醤油『新桶初しぼり…

お客さんとお店とスタッフの3つの笑顔が重なって〜第7回川越パンマルシェ〜
活, 買, 食取材・記事 白井紀行
今年で第7回となる川越の5月を代表するイベント「川越パンマルシェ」
回を重ねるごとに出展者、来場者が増え、様々な企画も充実してきました。
このイベントを支えるのに欠かせないのがボランティアスタッフ。
記者も毎年、スタッフとして参加しています。
何ヶ月も前から打ち合わせを重ね、準備し、会場を設営して、当日を迎えるまで。
いわば、裏側から見たもうひとつの「川越パンマルシェ」をご紹介します。
4月15日…