「心からもてなして喜んでいただく」人と人の付き合いの原点を知る〜小中学生向け茶道体験教室〜

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取材・記事 白井紀行   日本の文化を紹介するときに「お茶」と「お花」という言葉が浮かんできます。 華道では作品を鑑賞することができますが、茶道となると具体的なものはありません。 なんとなくイメージできるのは抹茶を点てて飲むといった断片的なシーンだけ。 そんな茶道の「さ」の字も知らないような記者が、この度、茶道体験教室の機会を得ました。 ウェスタ川越で開催された「川越市内小中学生に向けた茶道体験教室」。 講師は、裏千家茶道無相庵 寺嶋宗知氏です。 教室ということで講義してからと思っていたら、すぐにお点前が始まりました。 大人でもいきなりそんなことを言われると戸惑ってしまいそうな場面。 どこにどんな風に座ればいいのでしょうか? 一人半畳のスペースで、縁から16目、扇子を2目に置くのだそうです。 そうすると、挨拶をしたりお茶をいただくのに適切な間合いとなります。   挨拶を終えたら扇子は背後の2目に。右の正客、左の次客とで扇子の向きも異なります。 盆略点前 亭主はいったん退出して、お点前が始まりました。 今回はお盆の上に手前に必要な道具を揃える「盆略点前」という方式です。   まず、お菓子を正客の前に置き、   両手を揃えて一礼   居住まいを正す。   袱紗(ふくさ)捌(さば)き 棗(なつめ:抹茶を入れる容器)や茶杓(ちゃしゃく)を、袱紗(ふくさ)で清めていく。 お点前が終わった後、子ども達は何度もこの袱紗捌きを練習します。 記者もこの時点では何も分からずに写真をひたすら撮っていました。 しかし、教室が終わってから改めて見ると実に美しい所作であることに気づかされました。       棗(なつめ)の清め   茶杓の清め 茶巾で茶碗を拭く     茶筅の穂を湯に通し、穂先を清めるとともにその具合を確かめる「茶筅通し」 建水にお湯を捨て、茶碗を拭きます。 お菓子をいただく お茶を点てる前に「お菓子をどうぞ」と正客に進めます。 正客は「お先に」と次客に挨拶をし、お菓子をいただきます。   お茶を点てる 抹茶を茶碗へ、 茶筅を素早く前後に動かす、シャカシャカという音が静かに響きます。 十分に泡立ったら茶筅を「の」の字を描いて引き上げます。 お茶が点ち、お客様に出されます。 少し足が痺れた様子に「立ち上がって取りに来てもいいよ」と声をかけます。 本来は、躙(にじ)るといって、正座のまま手はグー。親指で体を押しながら前に進みます。 席に戻る時も右手で茶碗の自分の方に引き寄せ躙(り)下がるを繰り返します。 このような動作はあまり馴染みがないだけに、知らなければ途方に暮れそうです。 薄茶をいただく 正客は「お先に」と次客に挨拶をしてお茶をいただきます。 このとき、お茶碗を3時から5時に2度回します。 記者も休憩の際にお茶を頂いたのですが、見ていたにも関わらずこれができない。 お茶を飲んだ後も果たしてどうやって茶碗を戻せばいいのか? そんなことを知っているだけでも、何か心が豊かになる気がします。 次客は「ご相伴させていただきます」と挨拶をしてお茶をいただきます。 正客が茶碗を亭主に戻します。   正客が「どうぞおしまいください」と挨拶。 亭主が「しまわせていただきます」と挨拶し一礼、それを受けて総礼して終わりとなります。 ここまでで随分と色々な動作がありますが、これでもほんの一部にしか過ぎません。 亭主、主客、次客、それぞれの立場に応じた細かな作法や取り決めが沢山あります。 それらを円滑に進めていき、お互いに呼応しながら場の雰囲気を構築していく。 それが素敵な世界であるということは、何となく想像できそうです。   割稽古 「割稽古」は動作の一部を繰り返すいわばパート練習。 棗や茶匙を清めるときに行った袱紗(ふくさ)捌(さば)きを学びます。 袱紗の広げ方や折り方をステップバイステップで、 一の字を書くようにしてから四つ折りに畳む。 こういった動作が含まれることで全体の流れがより美しく感じられる気がします。 棗(なつめ)を清める。「こ」の字を書くように拭いた後、向こうへ突きます。 再び、袱紗捌き。下の2枚の写真のように袱紗を折ることを突くというのだそうです。 茶匙を清める。茶杓の上下を拭いたら...と幾つかの動作を経て最後に櫂先から抜きます。 抜くときはUの字、弧を描くようにと優雅さがあります。 清め終わった茶杓は5時の位置に。 続いて茶碗を茶巾で清めます。 抹茶を棗から掬う。蓋を開ける際も茶杓を右手に握り込んで行います。 実際には行いませんが、抹茶を分かりやすいように十文字に切ってあります。 4つのうちの一角から抹茶を一匙半すくい取ります。 袱紗はお盆の7時の位置へ。つい、左手を使いたくなりますが、右手で置くのが作法。 お茶を点てますが、以外と難しそうでであのシャカシャカという音になりません。 再び、袱紗捌きの練習。僅かな時間で習得するのは難しい動作です。 何度も何度も繰り返すことで、それが身に付き自然にできるようになる。 動作が一つ一つこなせるようになる達成感もお茶の楽しみなのかもしれません。     拝見 床の間には掛けられているのは「非風非幡」の掛け軸。 その横の籠入れには花が生けられています。 花は季節を感じさせるレンゲショウマ、ヤバネススキ、ソウタンムクゲ   お花は躍動感、生命力を感じますね。と置く意味を子供たちに伝える。 阿古陀(あこだ)釜や中に入っている陶器製の五徳を取り出して見てもらう。 注ぎ口がある側を顔とみなし、そちらがお客様の正面になるように置く。 反対側(つまりお尻)を向けるのは失礼にあたるから。 そういった心遣いが隅々まで行き渡っているのが、お茶の世界なんだなと感じます。 今日、迎えるお客様のために掛け軸を選び、花を飾り、道具を揃える。 亭主の心を体現したこれらものを一つ一つ見せていただくのが拝見。 実は部屋に入った時に、先生から掛け軸の文字や意味の説明がされたのですが、無知な記者。 記事を書くにあたって調べると、とても大切な行為と知り、今更ながら冷や汗ものです。   割稽古 再び、袱紗捌きの練習。   そして、茶碗を拭く茶巾のたたみ方。 縫い目を自分の方に向けて3つに折る。 こうすることで縫い目が裏に来て茶碗を拭く時にひっかりません。 最後に畳んで間から指を抜く。 ここに至るまでにも幾つもの手順があって、布巾をたたむだけでも大変。 だけど、それができるようになれば喜びも一入。 そういったことを知るにつれ、記者もお茶の世界に引き込まれて来ました。   盆略点前をやってみます 最後に、先生が横について一つ一つ指導を受けながら盆略点前をやってみます。 お菓子を置いたら「ご機嫌よろしゅうございます」と挨拶。 部屋を出る時も畳のどこを通るかや、最後に敷居を左足で跨ぐといった決まりがあります。 建水を置く姿勢。始めと比べると背筋が伸びて良くなっているように感じます。 繰り返し繰り返し袱紗捌きをする中で体が覚えていくのでしょうか? お菓子は最中。箸で取るのですが、その箸づかいもなかなか難しい。 最中を取った後は懐紙の端で先を拭ってから次客に回します。 袱紗捌きをこなし、お茶を点てる。 お茶をいただき、道具を仕舞ったら、一礼をしてお点前が終わりました。 茶道の心得はないまま、記者なりに感じたことを記事にしましたがいかがでしたでしょうか? 勉強してから行けばよかったと思う反面、知らないからこそ感じられたものもありました。 一つ一つの手順には、さらに細かな手順から構成されており、その数は厖大です。 けれど、そこにはスポーツや音楽で必要とされるような特殊な技能や才能は見当たりません。 どれも日常に含まれる動作で、そのまま、普段の生活に活かせそうなものばかり。   茶道でなくても、人を招く時には誰でも、部屋を掃除し、花を飾り、お菓子を用意する。 「今日はお客さんを美味しい紅茶とケーキでもてなしたい」 そんなことを考えながらお客さんを迎える準備をするのはとても幸せな気分になります。 そして、お客さんに喜んでいただき感謝の言葉をもらう幸福にまさるものはありません。   「心からもてなすことで喜んでいただく」のは人と人との付き合いの原点。 そのためにはどのようにすればよいかを究極的に突き詰めたのが「お茶」の世界なのだと。 取材を通して、そう記者は受け止めました。 INFORMATION 川越市内小中学生に向けた茶道体験教室 【開催】平成29年8月20日(日)13:30〜16:00 【場所】ウェスタ川越 2F和室(川越市新宿町1-17-17) 【問合】全5回で学ぶものですが、まだ、空きがあるそうです。     是非、この機会にご参加してみてください。 日程(全5回):8/20(日)、9/30(土)、10/7(土)、11/19(日)、12/17(日) 午前の部:10:00-12:30 午後の部:13:30-16:00 場所:ウェスタ川越公共施設棟2階和室 定員と対象:午前の部、午後の部それぞれ5名(小学4年生から中学生が対象) 受講料:2,500円(全5回分) 申し込み先:川越市役所 文化芸術振興課 電話:049-224-6157 ファクス:049-224-8717 …

環境に配慮した商品や取り組みを知ってエコを学ぼう〜エコプロダクツ川越〜

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広大な田園風景が続く鯨井でどこからも見える高い塔は川越市資源化センターの熱回収施設の煙突。 その施設内にある環境プラザ「つばさ館」では、今年も「エコプロダクツ川越」が開催されました。 開場直後、けっこう人が並んでいます。夏休みの始まりとあって小学生が多いですね。 入り口では公園で剪定した木の枝などのゴミ類をリサイクルした土壌改良材を頒布。 会場内には様々な環境配慮型製品が展示され、ワークショップも多く用意されています。 夏休みの自由研究の課題を探すにもぴったりな催しです。 それでは1Fから順に回ってみましょう♪ 注)本記事に掲載しているのが出展の全てではありません。 ‖…

女性も男性も、きっと気に入るものが見つかる粋な和風雑貨店~にび堂~

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連繋寺を背にして東に延びる立門前通り。旧鶴川座の向かいに佇むのは、古民家を改装したお店の「にび堂」さん。 和風の雑貨がたくさんおいてあります。 実はこのお店、記者の職場の近くにあり、前々からとても気になってはいたのですが、ずっと行きそびれていました。今回取材をする機会が廻ってきて・・・。  やっっっとお邪魔することができました!!   がまぐちの財布やかばんのほかにも、メガネケースや手ぬぐい、ポーチなどいろいろな小物入れなどがあります。 手作りしているものも多く、私個人としてはとても好きなお店です。 店主の前川浩則(まえかわひろのり)さんに少しお話を聞くことができたので、ご紹介いたします。 -お店をはじめてどのくらいですか? 7年目になります。   -営業時間は何時からですか? だいたい9時から17時半位までの営業です。   -大分古い建物ですが元々はどういう建物だったのですか? 昭和3年頃はパン屋さんでした。その後、普通の住居としておばあさんが一人暮らしをしていたものを、テナントとして借りうけて始めました。   -お店の名前である“にび堂”はどういう由来があるのですか? “にび堂”の“にび”とは、濃い灰色を意味する「鈍(にび)色」のことです。昭和3年に建てられた本建物は、漆喰に炭を混ぜて内壁が塗られていますが、それが長い年月を経て鈍色になっていました。 一見暗めの鈍色壁のこの店舗を明るい彩色の和雑貨で埋めて彩り鮮やかにしたかったのです。   -お店に置いているものは手作りなのですか? がまぐちの財布など小物入れや、バッグの一部は自分で作っています。お付き合いのある作家さんの作品やセレクトした和物雑貨も仕入れています。   -手芸はもともと趣味だったのですか? 全然やっていませんでしたが、お店を始めて、まずはがまぐちに興味を持ちだして自分で作ってみたくなり、ネットでいろいろ調べて作るようになりました。   -どのように作っているのですか? 基本的には店の奥にある作業場で自分の気に入って仕入れた生地でミシンを使って縫っています。それに市販されているがまぐちなどの金具や紐やストラップなどを加工してつけています。   -手ぬぐいなどの柄はどのような基準で選んでいるのですか? 季節を意識して、その季節にあった色あいや柄を自分のセンスで選んでいます。 実はお話を伺っていてビックリすることがありました。 前川さんは、カワゴエ・マス・メディアの一員である藤崎みか(ミカジョー)さんと友人であり、藤崎さんはこのお店の協賛作家さんとしてパワーストーンを出品しているとのこと!!! 世間は狭いですね。今回取材という機会を頂き、お邪魔することができ、よかったなとおもいます。 お店近くには蓮馨寺や熊野神社があり、観光でいらっしゃる方も多い場所です。知っているけど入ったことはないという方もいるのではないでしょうか。お近くにお立ち寄りの際は、是非にび堂さんをのぞいてみてはいかがでしょうか? 女性はもちろん、和柄のかっこいいTシャツや帽子もあり、男性も気に入ったものが見つかるかもしれません。 取材・写真 忽滑谷香梨 編集 カワゴエ・マス・メディア INFORMATION にび堂 【住所】埼玉県川越市連雀町10-1 【電話】049-298-8466 【営業】9:00〜17:30 【HP】http://nibidou.com/ 【ブログ】http://blog.goo.ne.jp/kawagoenibi44    

地元の記憶を面影にとどめ新たな物語を紡いでいくお店〜glin coffee大工町店〜

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連雀町交差点から西方向。県道15号線を日高方面へ向かってすぐの交差点の一角。 ここにglin coffeeの2号店「大工町店」が6月30日にオープンしました。 1号店は川越市役所前の交差点にあって、最近始めたコッペパンが人気商品。 もちろん、大工町店でもコッペパンは一押しのメニュー。 店員さんオススメの2品のコッペパンとホットコーヒーをチョイス。 コーヒーはハンドドリップ。豆は一杯ごとに挽いてくれます。 イートインができる2階席に上がれば、建物に刻み込まれた「時」が姿を表す コーヒーを片手に気兼ねなく時間を過ごせる、そう、どこか懐かしい空間。 窓からの景色。川越まつりやマラソン大会では特等席ですね。 さて、それではランチにしましょう。 頼んだコッペパンは、「スパイシーカレー」と「十勝あんバター」。 「スパイシーカレー」のルーはjam3281…

自分のお店を持ちたいという夢を叶える小さな街角〜ウォームスプロダクション〜

取材・記事 白井紀行 「レンタルオフィスの店舗版なんですけど...」 そういいながらシステムの説明をされたのは、田代拓己さん。 田代さんは、以前、立門前通りで「Warmth」という輸入雑貨のお店を営んでいました。 その後、不動産業の知識を学ぶために、お店は通信販売の形態へ業態を変更。 友人の会社で不動産の知識を習得し、川越でウォームスプロダクションを立ち上げました。 レンタルオフィス(貸事務所)は、業務に必要な机や椅子などは備え付けられたもの。 自分で賃貸契約を結んでオフィスを立ち上げるよりも初期投資が抑えられるメリットがあります。   店舗の場合は、内装から自分で始めなければならず、更に初期投資がかかります。 これに月々の家賃となると「お店を開きたい」と思ってもコスト面で二の足を踏んでしまう。 そこで、 …

大地の恵みに感謝!農産物から広がる川越の輪〜川越Farmer's Market〜

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前日の雨も止み薄曇、今日も暑くなりそうな川越。 蓮馨寺では恒例となった農産物の祭典、川越Farmer's Marketが行われました。 8時から出展者、ボランティアスタッフが総出で会場設営に取り掛かります。 特設ステージの前は観客席&イートインスペース。 ステージの背後にテントを設置。 川越のいろんなイベントに参加しているスタッフもいるので手慣れたものです。 ‖…

大正浪漫夢通りにスケボーショップ出店!~UNI skateboard shop〜

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休日のみならず、平日も多くの観光客が行きかう大正浪漫夢通り。洋風看板建築が軒を連ねるレトロな街並みは古き良き時代を思わせます。 ここに6/25(日)にスケートボードや関連グッズを扱う「UNI…

生きもの調査(動物編)で生物多様性を肌で学ぼう〜かわごえ里山イニシアチブ〜

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取材・記事 白井紀行 6月24日(土)天気は曇り、気温26.3℃。 この日、かわごえ里山イニシアチブの主催で「生きもの調査(動物編)」が行われました。 川越広報で募集した30名の枠は1時間で満員となった人気のイベントです。 これに会員、FAAVOの支援者、リブランなど、合わせて75名が参加しました。 まずは田んぼを一回り 今回の調査場所は、かわごえ里山イニシアチブの活動拠点「CO江戸かわごえ『初雁の里』」 生きものの賑わいを取り戻す米作りの場、福田地区にある「プロジェクト田んぼ」です。 講師は食楽風土(くらふーど)の林鷹央(はやしたかお)先生。   (先生が手にしているのが、オリジナルの生きもの調査用紙。)   背面はメモ用紙になっていて、見つけた生きものの名前を書き込めるようになっています。   それでは、「プロジェクト田んぼ」の周りを一回りして生きものを探してみましょう。   最初は、ビオトープ(生きものの棲息空間)の探索。 (写真に撮れていませんが)アオモンイトトンボなどの姿が見れました。   トウキョウダルマガエル(絶滅危惧種)を見つけて手を伸ばす子どもたち。 ここ「プロジェクト田んぼ」では数多く、その姿を見られます。   パッと泥煙が上がったのを見つけました。ドジョウのようです。   林先生のお話を聞いている内にコツを掴み、生きもののちょっとした動きに敏感になります。   マコモ田へとやってきました。   ウシガエルの鳴き声が聞こえたので、その声を真似て呼び寄せてみる林先生。   マコモ田で見つけたのは、イチョウウキゴケ。 かつては日本全国で見られたのが、今では希少種となってしまいました。 (今なら未だ環境が良くなると戻ってくるそうです)   畦に生えているシロツメクサ(クローバー)。 何気ない植物ですが、豆科の植物が生えているのは除草剤を撒いていない田んぼの証。   用水路は子どもたちの好奇心を掻きたてるようです。   稲の穂先に見つけたのは「コモリグモ」 雌親は腹部で卵と幼虫を保護する習性があることからこの名がつきました。   上が「プロジェクト田んぼ」の土水路。下がコンクリートの用水路。 除草剤を使っているかどうかで植物の多様性が全く違ってくることが一目瞭然です。   土水路ではアメンボの姿を見かけました。 それでは生きもの調査を始めましょう 今回は人数が多いので、田んぼ班とマコモ田班の二手に分かれての調査。 飼育ケースとフィッシュネットが配られます。   採取にあたっての説明。 飼育ケースには3分の1ほどの水と、生きものが休めるように葉っぱを入れます。   フィッシュネットの使い方。手前に生きものを追い詰めるように掬います。   田んぼ班は、畦に一列に並んで生きもの探しを始めました。   泥の中から何か見つかったかな?   こちらはマコモ田班。   こちらではタモロコやドジョウといった魚の姿が目立ちます。   網でマコモ田の泥を掬い、そこ中にいる生きもの達を探します。 マコモ田の方がアマガエルが多く、田んぼではトウキョウダルマガエルが多い。 これはトウキョウダルマガエルがアマガエルを食べてしまうからだそうです。 隣接した田んぼであってもそこに暮らす生きものが異なる。 いかに自然が微妙なバランスで成り立っているかが実感できます。   田んぼ班は、ビオトープへと場所を移しました。   いつの間にか大人の方が夢中になってしまうのも、この生きもの調査の特徴(笑)   捕らえた生きものを興味深く見つめています。 魚の罠を仕掛けておきました 20分ほどで生きもの探しは終了。 次に、事前に用水路に仕掛けておいた魚の罠を調べてみます。   そっーと罠を引き上げる。銀色にピチピチ跳ねる小魚の姿に一同から歓声が上がりました。   獲れた魚をみんなが覗き込みます。   次の罠でも何か掛かっていたようです。   ハグロトンボのヤゴも中に入っていました。   ドジョウ、フナ、タモロコなど多くの魚が用水路に棲んでいるようです。 「田んぼに入ってくるようにすれば、水面が波立つくらいに繁殖するはず」と林先生。 前回の植物編でも話していた田んぼから得られるタンパク源となりそうです。 捕らえた生きもの達の観察と集計 捕らえた生きもの達をトレーにあけて、観察ができるようにします。   これは何?トレーの中で動き回るのがどんな名前の生きものなのか気になります。   アカネ類のヤゴ、ヒメタニシ(左上)、ハイイロゲンゴロウの幼虫、コガムシ(右上)、ゴマフガムシ類(左下)、アマガエルのオタマジャクシ(右下)。   スポイトで1種類ずつ吸い取り、どれくらいの種類の生きものがいたかを集計。   こちらのボードでは種類ごとに生きもの達を分類。   土水路にもうひとつ罠を仕掛けていたのを忘れていました(^^;)   こちらにも魚やヌマエビが掛かっていました。   集計が終わったら、捕らえた生きものは全てリリース。 外来種であるザリガニを除いては持ち帰ることはできません。 田んぼを住処にしている生きもの達ですので、ここでしか繁殖できないのです。 それでは、結果発表! 捕らえた生きものをAからDの4つのグループに分けて点数付けを行います。 Aグループはホタル、タガメ、モリアオガエルなど希少度の高い生きもの。 B、Cとなるに従って、多少の環境が悪くても生きていける生きものです。 Aは1種類が見つかれば5点、Bは3点、Cは1点と生きものの種類が多いほど高得点となります。 Dグループは外来種なので、こちらは見つかると2点の減点です。   さあ、結果はどうでしょうか?   Aはいなくて、Bは8種類で24点、Cは10種類で10点。 ですが、Dの外来種が4種類いたので、合計で26点となりました。 「都市型の田んぼなので、外来種が見つかるのは避けられないが良い状態の田んぼです」 そんな総評を林先生からいただきました。 (今なら未だ環境が良くなると戻ってくるそうです)   無農薬・無化学肥料の有機稲作を続ければ、生きもの達は着実に戻ってくる。 けれども、環境が悪くなれば生きもの達は、あっという間に姿を消してしまう。 生きもの調査に参加するのも3回目ですが、今回の調査は生物多様性をより強く実感しました。   お知らせ カワゴエ・マス・メディアが運営する「くらびとファンディング」ポータルサイト。 http://kurabito.fund では、クラウドファンディンFAAVOのプロジェクトを応援してきました。 http://kurabito.fund/newproject/project1/ 皆様のお陰をもちまして、先日の6月22日に無事に目標額を達成しました。 INFORMATION かわごえ里山イニシアチブ 【開催】平成29年6月24日(土)10:00〜12:00 【場所】かわごえ里山イニシアチブ「プロジェクト田んぼ」(川越市福田) 【HP】http://kawagoesatoyama.ciao.jp/ 【FB】https://www.facebook.com/kawagoesatoyama/ 【TW】https://twitter.com/kawagoesatoyama

かわじま和船体験会〜一艘の舟から始まる川物語 第3章の1〜

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川越市と川島町の境にある落合橋。 その橋の下を流れる越辺川で、6月11日(日)「かわじま和船体験会」が行なわれました。 臨時の船着き場には、和舟が2艘寄り添うように浮かんでいました。 手前は那珂川の船大工、峯岸さんと一緒に製作したもの。 奥はその際に学んだ技術を使って、川島キャスティングネットで製作したものです。 まだ、スタートまで時間があるので試運転。 こちらでは受付の準備が始まっていました。 ライフジャケットを並べるスタッフの皆さん。 川島町と和船 「川島町と和船」について説明されたチラシがありましたので引用します。 川島町は四方を川に囲まれた地形のため、古くから洪水などの水害に悩まされてきました。堤防の決壊や浸水の記録がたくさん残っており、そのたびに、人はもちろん、牛などの家畜や土地、家屋に大きな被害をもたらしました。 明治40(1970)年の大洪水をきっかけとして、避難用の舟を持つ家が増えたと伝えられており、川島町の中でも、特に、出丸地区は他の地区に比べて土地が低いため、避難用の舟を持つ家が多くありました。洪水の際は、この舟を使って人を助けたり、食べ物を配るのに使ったと言われています。町内の和船の数を確認したところ、町内には47艘あることがわかりました。大きさは5m前後が多く、大きなものだと6mを超えるものもあり、普段は物置に吊るした状態で保管している家が多いこともわかりました。 本日の遊舟コースを一足先に巡らさせてもらいました。 水面を滑るように進む舟。静けさの中、聞こえるのは水の音と鳥の鳴き声。 ゆったりとした時間が流れます。 越辺川も雨が降らないため水面が随分下がっていました。 竿を差して調べると水深は50cmくらいでした。浅い川でも浮かべられるのが和舟の利点です。 流木に草が生えてまるで前衛芸術のよう。舟からしか見れない光景です。 堰で折り返して落合橋へと戻ります。 落合橋をくぐると木の杭が顔を出していました。かつての橋の跡でしょうか? 大谷川が越辺川へと合流する付近で折り返す。 ゆったりとした遊舟を楽しませていただきました。 スタッフの手にとまった「コシアキトンボ」。 メスは黄色で、オスは白いビニルテープを巻いたような腹部。 空を飛ぶと白い部分が透けているように見えるのが名前の由来。 次のお客さんがやってきましたので、今度は河岸で待ち構えてパチリ。 舟に乗ると普段とは違う目線で景色が流れ、時間感覚も変わってきます。 海はなくとも川には恵まれている埼玉県。 和舟を使ってもっとこの資源を活かす方法がないか考えていきたいですね。 カワゴエ・マス・メディアでは、昨年、舟作りや舟体験を取材しました。 今年も「一艘の舟から始まる川物語」と題して追いかけていきます。 取材・記事 白井紀行 INFORMATION かわじま和船体験会 【開催】平成29年6月11日(日)10:00〜14:00 【場所】越辺川…