日本酒がユネスコの無形文化遺産に登録!川越のお酒といえば「小江戸鏡山酒造」

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日本酒の「伝統的酒造り」は、2024年12月5日にユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録されました。

「伝統的酒造り」は、杜氏や蔵人らが長年の経験に基づいて築き上げてきた酒造り技術で、こうじ菌を用いて米や麦などの原料を発酵させるのが特徴です。500年以上前に原型が確立したとされ、日本各地の気候や風土に応じて発展し、受け継がれてきました。

「伝統的酒造り」の登録は、日本の無形文化遺産としては23件目となります。

小江戸鏡山酒造の応接スペースにはたくさんの種類の瓶が!どの鏡山にしようかな?

 

小江戸鏡山酒造は実は平成生まれ!杜氏も平成生まれ!

川越では、日本酒といえば「鏡山」を思い浮かべる人も多いのではと思いますが、小江戸鏡山酒造は全国でも珍しい平成生まれの新しい酒蔵です。小江戸鏡山酒造は、川越で作った米と水だけを使る川越唯一の酒蔵。少量生産・品質第一で伝統ある地酒「鏡山」を生産・販売しています。

川越は秩父山系の伏流水で柔らかい軟水の為口当たりの良いまろやかな酒ができるため、古くから酒造りが盛んでした。

川越のシンボルともいえる「時の鐘」。すぐそばには鏡山のお酒が買えるアンテナショップがある

 

戦後川越市には3件の酒蔵がありました。かつて川越には、1875(明治8)年に創業した鏡山酒造が存在し、川越の地酒として地元で愛されていましたが、2000(平成12)年をもって長い歴史の幕を閉じました。川越は別名「蔵の街」と言われていますが、その「蔵の街」に「酒蔵」という重要な施設が無くなってしまったのです。
それから6年後の2007(平成19)年2月に、新たに川越市仲町に小江戸鏡山酒造株式会社を設立しました。

酒造りには水が重要。小江戸鏡山酒造では川越市に残る醤油蔵(松本醤油)の水が良いとの評判を知り、その醤油蔵の一角に土地を借り、醸造設備を持ち込んで酒造りを行なう環境を整えました。

聞いて驚くなかれ、小江戸鏡山酒造の酒蔵は最小サイズのテニスコートくらいの面積であり、仕込みタンクはわずか6本。高品質のお酒を造るために、手づくりであることを大切にしています。また、蔵人の平均年齢は28歳、杜氏は30歳というからびっくりです。

 

酒造りはおいしいコメ作りから!

小江戸鏡山酒造の酒造りは、「さけ武蔵」という品種から作っています。埼玉県で開発された唯一の酒米「さけ武蔵」を使用した鏡山斗瓶取り雫酒が全国新酒鑑評会にて前例無き金賞を受賞しました。7年前から出品していますが、「さけ武蔵」を使ったお酒を出品しているのは小江戸鏡山酒造だけなのです。

「武蔵野」と呼ばれる関東の田園地帯、川越では酒造りに欠かせないおいしいお米が作られている

「さけ武蔵」は酒米は2004年に県が開発し、同社や県内の生産者らが品質改良を重ねてきた品種です。代表的なコメの銘柄であるコシヒカリよりも4mmほど粒が大きく、コメの中心部にはでんぷんの密度が高いという特徴があります。アルコール発酵についてよくご存じのかたはここでピンとくるかと思います。米粒の中心に円形の白い不透明部分があるのが特徴で、良質の麹を造ることができます。

小江戸鏡山酒造は、地域資源を使い地産地消のこだわりをさらに強くしていきます。そして安心・安全・新鮮な米で酒造りを行っています。

狭隘(きょうあい)な蔵の為に9月末から翌年の7月まで長期にわたり、ほぼ1年じゅうといっていいほど仕込みを続けています。

 

小江戸鏡山酒造はおいしいお酒でさまざまな賞を受賞!!

小江戸鏡山酒造の受賞歴には、次のようなものがあります。
  • KURA MASTER 2023でプラチナ賞を受賞
  • 全国新酒鑑評会で入賞
  • 平成30酒造年度全国新酒鑑評会で金賞を受賞
  • 第100回 南部杜氏自醸清酒鑑評会で優等賞を受賞
  • 雑誌『サライ』2016年2月号「今年呑むべき日本酒30本」で鏡山 純米生もと 無垢が選ばれる

Made in SAITAMA優良加工食品大賞2023の賞状

 

高品質でおいしい酒造りへのこだわり

小江戸鏡山酒造は5つの約束事を掲げ、それを守った酒造りを行っています。

一、品質第一の少量仕込に限る。
二、麹は丁寧に箱麹、蓋麹に限る。
三、醪(もろみ)は袋による上槽に限る。
四、火入れの際は瓶火入れに限る。
五、純米酒以上の特定名称酒に限る。

味や香りの質を高めるため、純米酒も高級大吟醸と同等の仕込み量で醸しています。小さな仕込み故に搾り出された酒は製造コストがかかりますが、鏡山では品質を優先しています。

麹づくりは洗米からが重要。一秒単位の違いで水を吸って米が重くなるからだ

麹づくりも職人さんたちがハンドメイドで行っています。麹づくりは温度や湿度調整の作業が昼夜を問わず常時管理を行わなければなりません。手頃な酒から高級大吟醸まで全ての麹を「箱麹法」「蓋麹法」といわれる完全手作業の麹造りを行っています。

鏡山では機械を使わず、酒袋といわれる布製の袋に醪(もろみ)を入れて槽(ふね)といわれる容器に積み重ねて搾る「槽搾り」、若しくは酒袋を吊り上げてポタポタと雫になった酒を集める「袋吊り搾り」により上槽をしております。過剰な圧力が加わらない為、酒も美味しくなります。

袋吊りで自然な重力で絞るのがおいしいお酒をつくるコツのひとつ

 

鏡山のお酒が買えるスポット♡

鏡山のお酒が12種類、きき酒でいただけて購入もできる「河越酒店」は鏡山のアンテナショップ。

1895年建造の有形文化財「滝島家住宅」にて営業しています。川越のメインストリート中心部のその場所の真裏には時の鐘がそびえています。鏡山とCOEDOビールは全種類を常時取り揃え、川越生まれのクラフトジン「棘玉」やソムリエ協会も注目する秩父の兎田ワインなどのお取り扱いもございます。

鐘つき通りの入口の信号が目印「河越酒店」は鏡山アンテナショップです!

  • 住  所 : 埼玉県川越市幸町8-1
  • 電話番号 : 049-236-3109
  • 営業時間 : 11時〜17時まで
  • 定休日  : 年中無休

 

いろいろなことに挑戦!コラボ商品続々と登場!

世界的には日本酒の消費量は伸びていますが、若者がお酒を飲まなくなってきており、日本国内での消費量は1973(昭和48)年をピークに50年以上減り続けています。そんな中、若者にもより日本酒を楽しんでほしいという蔵元の五十嵐さんの思いから、ももクロさんにご協力いただき、コラボが実現しました。

「ももクロ」玉井詩織さんのアイデアと小江戸鏡山酒造の蔵人たちの想いを掛け合わせた自信作コラボ商品

 

ももいろクローバーZがニッポン中を元気にする「NO RULE PARTNERSHIP」と、「TIMELINE」のコラボ企画で誕生した日本酒は、甘みとフルーティな香り、低アルコール(日本酒の中では)を特徴としており、普段日本酒を飲まない方にも飲みやすく仕上げました。

また、今年は障がい者アートを通じて就労待遇改善に取組む「川越リアート・プロジェクト」さんともコラボし、理化学研究所で開発された酵母を使って作ったお酒、季節限定酒「純米大吟醸生酒 灼熱のパイナップル」を限定販売しました。障害者アート作家の古川舜一さんがデザインしたパイナップルをラベルに用いた商品です。

筆者も飲んでみましたが、パイナップルのような良い香りに包まれてすっきりと飲みやすいお酒でした。

商品のイメージとパイナップルのアートがぴったりで古川さんのデザインがそのままラベルに採用された

 

ラジオぽてと12月号に蔵元の五十嵐昭洋さんがご出演!!

告知の来い人12月号にご出演いただいた五十嵐さん(左)と、MCのすぎもとはるか

 

番組では、鏡山の歴史や美味しさの秘密、日本酒がユネスコ無形文化財に認定されたことの意義、そして近年の取り組みや今後の展望について小江戸鏡山酒造専務取締役の五十嵐昭洋さんにお話を伺います。川越唯一の酒蔵として、地域に根ざした酒造りへの情熱や、日本酒文化の発展に対する思いをたっぷりとお聞きしています。日本酒ファンはもちろん、川越の文化や歴史に興味がある方も必聴の内容です。
日本酒はなんと海外のマーケットも増えてきており、遠くはブラジルまで輸出しているのだとか。これからどんなお酒が発売されるのかもとても楽しみですね。

※本文中の写真は、小江戸鏡山酒造X(旧Twitter)およびホームページより一部お借りしております。

 

Information

小江戸鏡山酒造株式会社

【住所】埼玉県川越市仲町10-13
【TEL】049-224-7780
【FAX】049-265-6480
【HP】http://www.kagamiyama.jp/
【営業】9:00~17:00
【定休日】不定休
【Instagram】https://www.instagram.com/koedokagamiyama/
【X(旧Twitter)】https://x.com/kagamiyamasyuzo