風魔小太郎の真実!?川越に眠る戦国の秘密を探る
こんにちは!のりさんです。先日、ウェスタ川越で開催された「風魔と戦国の忍び伝説」セミナーに参加してきました。
今回は、その興味深い内容をみなさんにお届けします!
講師紹介
講師は岩田明広(埼玉県教育委員会所属学芸員)さんです。埼玉県・神奈川県・兵庫県等で発掘調査に従事し、埼玉県立各館に学芸員として奉職されています。元々は考古学の発掘調査がご専門で、近年は東日本を中心に忍びの調査研究を進められています。
特に、風魔(ふうま)と忍びについて研究している数少ない研究者の一人です。
風魔小太郎のイメージ
風魔一族は、戦国時代に相模国(さがみのくに:現在の神奈川県大半)を治めていた北条家の配下として活動していました。
その頭領である風魔小太郎は誰もが知る忍者で、大男で牙が出ていて、怖そうな印象を持っているのではないでしょうか。これは、「北条五代記」で描かれた肖像画や江戸時代の文学作品のイメージが影響しているようです。
現代の漫画、藤堂裕「Xinobi」の風間小太郎や原哲夫「花の慶次」の風魔のキャラクターなどにも、その特徴が現れています。
忍びの本来の役割
忍者は元々「忍び」といわれ、情報収集、内通、潜入、放火、乗っ取りなど、さまざまな役割をこなすといわれています。しかし、忍者の研究の中心は江戸時代に行われており、最も活躍した戦国時代の状況についてはよくわかっていません。このセミナーでは、戦国忍者の代表と思われてきた「フウマ(風魔)」の謎を解きつつ、その正体も探っていきます。
風魔の伝承を読む
風魔小太郎が描かれた最も古い伝説は、江戸時代前期の慶長19年(1614)に出版された仮名草子「慶長見聞集」です。
「慶長見聞集」は、三浦茂正が江戸時代初期の風俗や出来事を記した随筆的な書物で、その中に「風广」と書かれているのがわかります。
また、ここから抜書きされた「北条五代記」では、恐ろしげな挿絵が描かれました。
カザマは乱波(乱暴者)の頭領ですが忍びではありませんでした。しかし、配下に忍びの上手がいたことから、風魔小太郎が恐ろしげな忍者というイメージにつながったようです。
ちなみに、風間氏の由来は長野県長野市東部地区にある「風間」が由来で、現地には風間神社もあります。
風間から風魔へと変わっていった要因
いくつか文献が紹介され、風間小太郎が忍者であるということが定着する過程が話された後、いよいよ、核心に迫ります。
いくら風貌が恐ろしげで、怪しげな忍術を使ったとしても風間(かざま)だと、それほど悪くも怖くもない感じがしますが、風魔(ふうま)となると、完璧なキャラクターが出来上がってしまいます。では、だれが極悪非道の忍者「フウマ」を作ったのでしょうか?
- 最初のきっかけは「風广」を登場させた三浦茂正で、「北条五代記」に恐ろしい容姿とその挿絵を掲載しました。
- 明治29年(1896)に有名な国学者たちが著作編集した「古事類苑」。この中に「北条五代記」を引用した部分があり、ここで、7箇所全てに「風广」でなく、「風魔」が使われています。
- 昭和3年(1928)に文化評論家の三田村鳶魚の著書「江戸の白波」で多くのページを割いて忍びのことが書かれています。この本によって、はじめて「ふうま」という読み方が示され、現代の我々のイメージする忍者と「風摩(ふうま)」というキャラクターが完成したのです。
風間(風魔)の本当の姿
実は、風間(風魔)は忍びの専門集団ではなかった可能性が高いそうです。
元亀3年(1572)の「北条家朱印状写」によると、風間軍は関宿城・羽生城の戦いに備え、岩槻城近くの6つの村に駐留していたことがわかっています。彼らは独立して働く一つの軍として北条氏の軍事の一端を担っていたようです。
興味深いのは、風間軍が農繁期にも駐留していたという点です。
これは、彼らが忍びではなく、争いの絶えない大名勢力の「境目」に発生した専業的な武装集団だった可能性を示唆しています。
また、岩槻周辺に風間堀(用水)という名前が残っていることから、彼らがこの地域に定住していた可能性も高いようです。
結論として、風魔伝説の元になった風間は、忍びを専業とした集団ではなく、戦国時代の特殊な社会環境の中で生まれた多機能な専業的な軍事集団だったと考えられます。
このセミナーを通じて、風魔小太郎や風魔一族の実像に迫りつつ、彼らがどのようにして歴史の中で伝説化されていったのかを探ることができました。戦国時代の忍者の役割や活動についても詳しく学ぶことができ、また、川越にもかかわっていたとのことで、非常に興味深い内容でした。
次回ご案内
このセミナーは3回にわたり「戦国時代の忍び」を深く掘り下げていくもので、この第一弾は、川越と深いつながりのある戦国時代の北条家に仕えた忍者の一族と伝わる「風魔」をフィーチャーしました。11月の第二弾では『葛西城の戦い』 、 3月の第三弾では『羽生城と夜わざ鍛錬之者 』と題して、あまり知られていない戦国時代の忍者の活動の真相を追いかけていきます。
次回は、9月27日(金)に予約開始ですが、今回もすぐに満席となった人気のセミナーです。
詳しくは、ウェスタ川越にお問い合わせください。
Information
【名称】講演会 川越の歴史 第一弾 『風魔と戦国の忍び伝説』
【日時】2024年7月28日(日)14:00〜16:00
【会場】ウェスタ川越2階 市民活動・生涯学習施設 会議室1・2
【企画・運営】ウェスタ川越 川越市提案事業
【電話】049-249-1186
※電話、メールでは第二弾、三弾の受付は行なっていません。