仏教寺院がLGBT結婚式をはじめるまで～最明寺副住職千田明寛さん～

人, 活

取材・記事　みつきゆきこ

「お寺はお葬式というイメージで知られていませんが、ここで結婚式をあげるかたもいらっしゃるんですよ」

と語るのは、鎌倉時代の弘長2（1262）年に創建された川越市の天台宗寺院最明寺で副住職をつとめる千田明寛さん。

コロナ禍だけでなく普段からもフードパントリーやおてらおやつクラブといった支援活動をされたり、啓発期間中のライトアップや、アート展覧会開催などメディアでも注目されている方です。

多様性を認めるきっかけはインド留学

LGBTに興味を持ったのは、2015年から16年に、インドに留学していた経験が多様性を認める気持ちにつながったとのこと。日本に戻ってきて、少しずつLGBTという言葉が広まり始めている時期でした。

©最明寺（千田明寛さんよりお借りしました）

自分も何かできないかと考える大きなきっかけは、今年1月25日に開催された「虹色の式典in彩の国さいたま～第4回LGBT成人式～」のパレードへの参加です。

©最明寺（千田明寛さんのFacebookよりお借りしました）

LGBTに関しても、想像していた風景ではなく普通の人たちが参加されていたことや10人に一人がLGBTである（※1）ということも知りました。

最明寺千田住職

5月1日には、川越市でもLGBT（性的少数者）カップルの証明制度「川越市パートナーシップ宣誓制度」（※2）が始まったことも追い風となり、最明寺でも『お寺で挙げる同性結婚式（LGBT WEDDING）』を企画しスタートしました。

仏教寺院でLGBT結婚式の理由「一切衆生」

川越喜多院の末寺である最明寺は、天台宗の寺院。ご本尊は、阿弥陀如来です。その阿弥陀様の教えの中にも、千田さんの想いを感じます。

LGBTのカップルは、ホテルで挙式される方が多いと聞いています。宗教によっては同性婚に制約がある場合もあるため、結婚式ができる宗教施設を探している方もいるのではないかと思いました。最明寺では檀家ではない方でも結婚式を挙げていましたので、式の進め方としては大きく変わりません。

仏教では、阿弥陀様が如来になる際に誓った４８の誓願（四十八誓願）の教えで「一切衆生」(いっさいしゅじょう)という言葉があります。善人も悪人も、身分の高い人も低い人も、男も女も、念仏を唱えれば自分が一切衆生を救ってみせる（往生させる）という内容のものです。ここの「一切」という所に、男女の性差も超えた仏教の教えがあると思います。

仏前挙式の流れについて

LGBT結婚式は、仏前挙式と流れは変わりません。（最明寺のホームページより※3）

①鳴鐘　この合図が式典の開始になります。
②入堂　結婚者。参列者が道内へと入堂します。
③三禮　戒師（僧侶）の登壇。
④啓白　二人の門出を御本尊・阿弥陀様へ願います。
⑤法水頂戴　法水を加持し、結婚者へ授けます。
⑥念珠授与　念珠を執り、二人に授けます。
⑦宣誓　二人が誓いの言葉を仏前で申し上げます。
⑧献香　仏前に一拝、お香をお供えします。
⑨退堂　挨拶謝辞を終えた後に、退堂。

LGBT結婚式の特徴は、僧侶が身に着ける輪袈裟はレインボーカラーで、指輪の代わりに交換するのは、特注のレインボーカラーの念珠というこだわり。