51年間たくさんの思い出をくれた観覧車にお別れを〜屋上遊園地「わんぱくランド」閉園〜

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取材・記事 白井紀行

 

川越駅東口から北に向かう約1Kmのショッピングストリート「クレアモール 」。

その中程にある「丸広百貨店川越店」は地元密着の百貨店です。

 

丸広百貨店には、今では珍しくなった屋上遊園地「わんぱくランド」があります。

エアプレーン、てんとう虫型のモノレールなどの大型遊具とゲームコーナーを設置。

中でも観覧車は昭和43(1968)年に開園してから、川越のシンボル的な存在でした。

 

親子3代で遊びに来たという人もいるほど、長年親しまれて来た「わんぱくランド」。

誰もがこのまま川越の風景としてあり続けるものだと思っていました。

 

しかし、今年4月に51年間の歴史に幕を下ろし閉園することが発表されました。

運営自体は順調でしたが、耐震工事で資材搬入のスペースを確保することが理由。

既に遊具の製造業者もなく、解体しても組立てができないことから苦渋の決断でした。

 

7月21日の風景

夏休みに入ったばかりの7月21日(日)、久々に訪れた丸広百貨店屋上。

 

 

まだ、それほど混雑はなく、のんびりした風景が見られます。

 

けれども、閉園を知らせる看板、

 

お知らせの案内板から、閉園が事実であることを実感させられます。

 

休憩コーナーの壁には、観覧車を模した台紙に思い出を書き込んだ付箋紙がびっしり。

 

メッセージは、6Fから7Fへと上がる階段まで続いています。

 

こちらは思い出の写真コーナ。

 

たくさんの思い出が笑顔とともに貼り付けられていました。

8月25日(日)の風景

閉園が近くにつれ、SNSでも惜しむ声や思い出が飛び交う日々を過ごした8月。

記者が次に訪れたのは閉園の1週間前。メッセージの受付は終了していました。

 

メモリアルとしてチケットやグッズも販売されたようです。

 

あと1週間とあって、大型遊具はどれも長い列。

 

すべての飛行機に人を乗せて空を飛ぶ「エアープレーン」

 

「わんぱくランド」のシンボルである観覧車にも大勢のお客さん。

 

小さな乗り物では子ども達が楽しく遊んでいます。

 

エアープレーンの下にある遊具コーナー。

 

小さな子ども連れでのんびりと楽しめる屋上遊園地でした。

 

ゲームコーナーでは、「誰でも獲れる!」とポップが踊るUFOキャッチャーが人気。

記者が伺った時には、かなりの台で景品が取り尽くされていました。

 

ゲームコーナーの壁際にもメッセージがびっしり。

 

屋上には祀られているのは、足腰健康のご利益がある「民部稲荷神社」。

この神社には「相撲をとった狐」の伝説が残されています。

川越八幡神社の境内にも「民部稲荷神社」が祀られています。

伝説について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

▶︎ http://kawagoe-hachimangu.net/kitsune.shtml

 

9月1日(日)閉園日当日

「わんぱく広場」最終日は、夏休み最終日とも重なった9月1日(日)。

 

記者が訪れたのは15時ごろ。

13時ごろには遊具チケットの販売は終了していたようです。

 

この日は、閉園イベントとして17時から「らくがき大会」を開催。

このため16時30分には観覧車などの大型遊具が止められます。

 

いよいよ最終日とあって、「わんぱくランド」は溢れんばかりの人。

 

 

どの遊具にも長蛇の列ができていました。

 

電車で遊ぶ子ども達の姿を思い出にパチリ。

おそらく、親子三代でこの遊園地に来ていたのではないでしょうか?

 

テレビ局も様々な番組が最後の様子を取材。

 

16時になり、責任者の案内でチケットを持たない人はエアープレーン付近で待機。

らくがき大会の準備に取り掛かります。

 

観覧車最後のお客さん

16時25分、黄緑色のゴンドラに乗り込む最後のお客さん。

 

親子を乗せたゴンドラはゆっくりと高さを上げ、

 

最頂部へ、

 

てんとう虫型のモノレールとも最後の交差。

 

ゴンドラは徐々に下へ。

 

間も無く搭乗口。

 

お客さんがゴンドラを降り、観覧車は最後の仕事を終えました。

 

テレビ局に取り囲まれるお客さん。

 

51年間回り続けた観覧車が止まった

16時30分、ついにその瞬間がやって来ました。

観覧車が止まると、辺りから「あ〜、止まっちゃった」と溜息が漏れました。

 

らくがき大会がスタート

17時00分、らくがき大会が始まりました。

用意された400枚の整理券はすぐに無くなり、安全を考えて200組ずつ入場です。

 

 

やはり、観覧車に人気が集中し、たちまち列ができました。

時間も30分と限られているため、それ以外の遊具に描き始める親子も。

 

整理券を持たない人はコーンとトラバーで仕切られた背後から見学。

そのそばの遊具に描き始めると格好の被写体に。

 

壁に続々と描き込まれるイラストやメッセージ。

 

エアプレーンの機体や羽根もメッセージで埋め尽くされて行きます。

 

ゴンドラはメッセージで一杯になると、少しだけ動かして次のを降ろします。

 

いよいよお別れの時

18時15分、らくがき大会が終了し、まだ、園内に残っていた人が観覧車の前に。

 

蛍の光が流れる中、お別れの時が近づいて来ました。

 

18時40分、運営スタッフが観覧車の前に整列。

 

責任者が感謝の言葉とともにお別れの挨拶。

園内からはお客さんの「ありがとう」の声と温かい拍手が鳴り止みません。

 

閉園まで残り10分、記者も限られた時間の中で園内を写真に納めました。

 

お客さんも名残惜しいのか立ち去り難く、写真やビデオにその姿を記録。

 

そして、19時の閉園時間。

 

観覧車が消灯。「わんぱくランド」は51年間の歴史に幕を降ろしました。

川越のシンボルだった観覧車、沢山の思い出をくれた「わんぱくランド」

昭和・平成・令和と3つの時代に笑顔にさせてくれた場所。

その姿はいつまでも川越の街の人の心に残り続けるでしょう。

51年間、お疲れ様でした!


INFORMATION

丸広百貨店川越店「屋上遊園地わんぱくランド」閉園

【日時】2019年9月1日19:00

【場所】丸広百貨店川越店

【挨拶】