新河岸から始まる新たな地域交流と伝統のかたち〜新河岸太鼓会〜

, ,

取材・記事 白井紀行

 

新河岸太鼓会の練習風景

東武東上線「新河岸駅」から歩いて10分ほどのところにある旭橋。

近くには船問屋「伊勢安」跡があり、かつて舟運で栄えた面影が今も残ります。

 

旭橋の傍(そば)にある日枝神社。

境内の新河岸自治会館を拠点に活動する和太鼓団体「新河岸太鼓会」。

熊野神社(連雀町)での演奏に向け、練習に励む様子を取材してきました。

16時頃、倉庫から次々と大小の和太鼓が運び込まれてきます。

代表の松本さんに練習前に新河岸太鼓会についてお話しいただきました。

 

新河岸太鼓会の歴史

「新河岸太鼓会」の歴史は20年で元々はお囃子をやっていました。

4年前に境内で眠っている一台の大太鼓を見つけて「勿体無いね」と話すと、

「じゃあお前やってみないか?」と言われ、和太鼓の演奏が始まりました。

顔出しはNGということで、後ろ姿やカッパでのご紹介です。

 

和太鼓の参加メンバーは20名

新河岸太鼓会で「和太鼓」をやっているのは子どもと大人が10人ずつの20人ほど。

最年少は6歳で、演奏ができるのは小学生から。大人は30〜40代です。

「お囃子」は和太鼓のメンバーに中高生やご年配も加わります。

「盆太鼓」には70代の方を含めて5名いらっしゃるそうです。

練習に入る前に、その辺を元気よく走り回っていた子ども達に手ほどき。

 

稽古はサークルのような感じでやっています

太鼓は叩けば音は鳴りますが、やはりきちんとフォームがあるそうです。

手を真上に上げて耳の横に付け、肩、肘、手首と真っ直ぐに振り下ろす。

松本さん曰く鞭(ムチ)のように振るのがコツだとか。

見ていた記者も釣られて同じ手の振りをしてしまいました(笑)。

 

 

「新河岸太鼓会」には教える人、教えられる人という構図はありません。

皆んな模索しながら作り上げていくスタイルです。

サークル感覚で盛り上げていければと言う通り、練習風景は和気藹々♪

 

演奏する曲はオリジナル

新河岸太鼓会で今、演奏しているのは4曲で、地元や川越にちなんだオリジナル。

みんなで色々とアレンジを重ねながら完成したものだそうです。

 

2週間後に本番を迎えるということで練習は通しで行なっています。

 

相手の太鼓に呼応するように演奏する見せ所。

タイミングがなかなか難しく苦戦しています(頑張って!)。

 

新河岸太鼓の演奏の一つが「カッパ太鼓」

地域の厄除け太鼓の意味合いで大人4人がカッパの面を被って打ち鳴らします。

 

1時間半あまり全員が息を合わせて練習に励む様子が印象的でした。

 

カッパのお面は「にび堂」さんで販売中

カッパ太鼓のお面は松本さんが、おがくずに糊を混ぜて制作したもの。

おがくずは西川材(飯能市・日高市・毛呂山町・越生町が産地)が原料です。

 

蓮馨寺(連雀町)の参道、立門前通りにある「にび堂」さんで販売しています。

ご興味のある方は覗いてみてください。

和雑貨のお店「にび堂」▶︎ http://www.nibidou.com/

 

いよいよ熊野神社での本番です

取材から2週間後の6月30日(日)。

本番の会場となる熊野神社(連雀町)にやってきました。

 

午前中に降っていた雨も上がり、無事に開催されることが決まりました。

今回演奏するのは、「新河岸太鼓会」と「双鼓〜niko〜」の2組。

 

お昼過ぎに熊野神社に伺うと神楽殿に太鼓を運び込み準備の真っ最中でした。

 

 

双鼓〜niko〜

女性5人で構成される太鼓グループ「双鼓(にこ)」。

主にさいたま市や西多摩地区で活動しています。

ソーレの掛け声とともに4人による太鼓の連打でスタート!

 

境内に響く太鼓の音に誘われて沢山の観客が演奏に見入ります。

 

神楽殿を降りて披露するのは、「双鼓」が得意とする「担ぎ桶太鼓」

 

演奏が終わると観客から大きな拍手が送られました。

 

新河岸太鼓会の演奏です

続いては、新河岸太鼓会。青紫色の幟に白で名前が染め抜かれた幟を持って登場。

 

演奏曲は、こども達の演奏が主役の「昇竜」。

旭橋から登る朝日をイメージした「旭」、川越の街の喧騒をイメージした「川越唄」。

 

 

 

「川越唄」という曲は、まるで太鼓同士が会話をしているような印象を受けます。

 

カッパ太鼓

最後は新河岸川から出てきたカッパたちの演奏で、観客の厄除けを祈願。

 

どこかおどろおどろしさも感じさせる太鼓の演奏。

 

時折、ウォーウォーと雄叫びをあげ辺りを見回すカッパたち。

夜なら本当にカッパたちが太鼓を叩いて宴を開いているように見えそうです。

 

このカッパ太鼓は、石川県輪島市名舟町の「御尋乗太鼓」の影響を受けているそう。

昔、上杉軍が攻めてきた時、武器を持たない貧しい村民が木の皮でお面、海藻の頭髪で太鼓を打ち鳴らし夜襲をかけた退散させたと伝えられている。そんなイメージで演奏されています。

 

「セイヤァー」とポーズを決めカッパ太鼓の演奏が終わりました。

熊野神社の動画▶︎ https://www.facebook.com/watch/?v=452149385584383

 

1回目の演奏終わりの記念写真。

所用のため2回目は取材できませんでしたが、成功に終わったと聞いています。

新河岸太鼓会では、2ヶ月に一度くらいのペースで披露しています。

小江戸川越春まつりのイベントとして行われている「ひらた舟乗船体験」。

川越まつりと同時期に新河岸界隈で行われれる「新河岸まつり」

直近では、8月17日の盆踊りで披露されるとのこと。

ぜひ、機会があれば新河岸太鼓の演奏を見にきてください。


INFORMATION

熊野神社境内「新河岸太鼓会」演奏会

【開催】令和元(2019)年6月30日(日)13:00〜、15:00〜

【会場】熊野神社(川越市連雀町17-1)

【問合】090-1557-3850(新河岸太鼓会 代表 松本)

川越市連雀町17-1