日光東照宮の流れを汲む精緻な彫刻屋台とぶっつけパワーに酔いしれる〜鹿沼市彫刻祭り〜

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JR川越線的場駅を利用した時にふと手にしたこちらのチラシ。

豪華絢爛な屋台が目を引く、栃木県鹿沼今宮神社祭の屋台行事「鹿沼の秋祭り」。

川越まつりと同時期にユネスコの「山・鉾・屋台行事」の33件の1つに登録されました。

まつりは10月ですが、市政70周年記念で4月29日に特別公開されると知り出かけました。

 

川越から大宮→宇都宮と乗り継いで2時間半ほどでJR鹿沼駅に到着。

駅舎は鹿沼市の名産である木工と彫刻屋台の意匠を取り入れているそうです。

 

バスも出ていますが、会場の「まちの駅  新鹿沼宿」まで歩いて20分ほど。

 

天気も良いし、街の雰囲気を感じたいので歩くことにします。

 

天文元(1532)年に壬生氏によって鹿沼城が築かれ城下町として発展。

天正18(1590)年の廃城後は、日光街道の整備とともに宿場町として栄えました。

各所に蔵が残っているのも蔵好きの記者は嬉しい限り。

 

沿道には昭和のままの趣(おもむき)ある中華屋さんも健在。

 

周りの景色も楽しみながら会場に向かっていると遠くから聞こえるお囃子。

「鹿沼秋まつり」の彫刻屋台がやってきました。

まわりはびっしりと精細な彫刻で彩られています。

 

川越まつりと同じく元は江戸の踊り屋台の系統を引く移動屋台。

大きさは幅10尺(3m)奥行きと高さは12尺(3.6m)の4つ車。

囃子方は屋台の中(内室)で演奏します。

 

屋台の町 中央公園に到着

ここに説明パネルがあったので、これで屋台行事を説明します。

 

あらまし

まつりが数多く残るまち鹿沼。中でも10月第2土・日曜日には国の重要無形民俗文化財に指定される今宮神社のまつりが行われます。見どころは、彫刻屋台の「織り込み」と「繰り出し」「ぶっつけ」と呼ばれる囃子の共演。400年の伝統を守り受け継いでいます。まつりの主役である彫刻屋台は全部で27台。江戸時代から残るものも14台あります。豪華絢爛な彫刻と囃子の技、氏子たちの心意気をお楽しみください。

 

織り込み・繰り出し

中心となる舞台は今宮神社。氏子たちが今宮の神に1年間の無事を感謝し畏敬の念を表します。「織り込み」は、彫刻屋台が神社の鳥居をくぐって境内に入り、本殿に正対して、囃子を奉納します。最大で27台の屋台が参道から1台ずつ厳(おごそ)かに入っていきます。「繰り出し」は神社に集まった屋台が1台ずつ鳥居からでていくシーンです。

 

ぶっつけ

土日の両日とも、主要な交差点で行われます。2台以上の彫刻屋台が道路上で向かい合って囃子を共演するもので、囃子方の腕のみせどころ。合図とともに音量を上げ、他の囃子につられないように演奏合奏を行います。実際には勝敗をつけず、3〜5分間合戦をしながら町内が一致団結して盛り上がります。

川越市民にとっても興味津々の解説が書かれています。

 

13時からまちの駅・鹿沼宿に24台の屋台が集合して式典と囃子披露。

14時揃い曳き、16時には「ぶっつけ」と行事が盛りだくさん控えてます。

公園内にカフェレストランがあったので、こちらで早めのランチ。

鹿沼産のこんにゃくを使ったこんにゃくづくしのメニューを楽しみました。

 

腹ごなしに町をちょっとぶらつく。鹿沼版「昭和の町」という感じの通り。

 

横道に入ると現れたのは「森薬師堂」。文政3(1829)年の建立です。

 

薬師如来を祀り、ご利益は「眼病平癒」なので「めめ絵馬」が奉納されていました。

時の鐘をくぐった先にある薬師神社にも同様の絵馬があり親しみを感じます。

 

まちの駅・新鹿沼宿に彫刻屋台が集結

中央公園から5分ほどのところにある「まちの駅・新鹿沼宿」に到着。

 

鹿沼市特産のさつきとイチゴがモチーフのベリーちゃんが出迎えてくれました。

 

駐車場の端から端まで24台の彫刻屋台がずらりと並ぶ様は圧巻。

 

屋台ひとつひとつに精緻な彫刻が施され、そのすごさに圧倒されます。

 

極彩色に彩られた豪華絢爛な彫刻屋台もあれば、

 

白木彫りに朱を種を指した今にも動きそうな躍動感ある彫刻。

 

屋台の隅々まで彫り物が嵌め込まれ、まさに芸術品。

 

鹿沼市は古くからの木工の町。江戸時代には多くの彫刻屋台が作られました。

日光から電車の30分ほどの距離にあり、日光街道の宿場町としても栄えました。

日光東照宮の彫刻を彫った職人が携わっている屋台もあるそうです。

 

鹿沼市はイチゴの町としてPRしていて屋台やお神輿にもイチゴが飾れています。

 

屋台彫刻ではお囃子が中心で舞の披露はありません。

唯一、上野町の屋台で天狐やひょっとこを見かけました。

 

式典が始まり佐藤鹿沼市長や来賓の方々が挨拶。

その後、全ての屋台でお囃子を一斉に始めて開催を祝いました。

 

鹿沼今宮神社へ

彫刻屋台まつりは、川越まつりと同様に神社の祭礼。

鹿沼今宮神社は延暦元(782)年に創立。日光二荒山神社の分社的性格を持ちます。

明治初頭の神仏分離前は「日光山鹿沼今宮権現」と称されていました。

鹿沼の秋まつりでは、屋台が一台ずつ鳥居をくぐって境内に入る「織り込み」。

囃子を奉納して、屋台が鳥居から出て行く「繰り出し」が見所となっています。

 

威風堂々とした唐門にも見事な彫刻が施されています。

 

 

天文3(1535)年に日光の統治者だった壬生綱房がここに遷(うつ)しました。

現在見られる権現造りの社殿は慶長13(1608)年に整備されました。

 

鹿沼の秋まつりの際には、境内にある神楽殿で上殿太々神楽が奉納されます。

 

揃い曳きと一斉きりん

14時過ぎに「まちの駅・新鹿沼宿」に戻ると屋台は駐車場を出発するところ。

揃い曳きが始まっていました。

 

24台の彫刻屋台が一直線に整列する姿。その美しさは感動ものです。

 

整列した屋台が一斉に同じ方向に回転する「一斉きりん」の披露。

 

中心部をジャッキで持ち上げ、男たちが力一杯回します。

 

いよいよまつりはクライマックスへ

彫刻屋台はゆっくりと曳行され、

 

四方から交差点へと集結。パワーがみなぎってくるのを感じます。

 

太鼓や笛の音が一段と激しさを増して音量が上がります。

 

町と町のぶつかり合い、向かい合って囃子を共演する「ぶっつけ」。

川越まつりの「曳っかわせ」と同じくもっとも盛り上がる瞬間です。

 

囃子方は屋台から勢い良く飛び出し、

 

次の囃子方へと素早く入れ替わる。

 

別の交差点に場所を移動して、四方から屋台がやってくるのを待つ。

 

町内の方に促され見物客が交差点真ん中へ。

周りをぐるりと屋台に囲まれ、自分もまつりに加わった気分になります。

 

そして、「ぶっつけ」が始まりました。

一段と高くなる囃子に扇子をひらひらと振り、ハイハイハイ!と掛け声。

 

弥(いや)が上にもまつりはヒートアップしていきます。

最後の「手打ち」まで見たいところですが、丸一日、街中を歩き回って疲れました。

名残惜しいですが寄りたいところもあるので、帰路につきましょう。

 

ちょっと一休み

道すがら目をつけていたのが古民家カフェ「ひなたぼっこ」

築70年以上の建物を改装しており店内には古いタンスなども展示

 

自家製のくるみケーキ。アイスクリームや生クリームが盛られてお得な気分♪

 

お茶碗のような素敵な陶器でコーヒーを頂き、まつりの余韻に浸りました。

鹿沼の秋まつりは、10月の第2土日曜日。今年は10月6日と7日になります。

川越まつりは2週間後の20日、21日です。

世界文化遺産に登録された2つの行事を、是非、訪れて見てください。


INFORMATION

鹿沼 春の彫刻屋台まつり

【開催】平成30年4月29日10:00〜17:00

【場所】まちの駅 新鹿沼宿(鹿沼市仲町1604-01)

【問合】鹿沼市観光交流課

【電話】0289-63-2188

【HP】http://buttsuke.com/

鹿沼市仲町1604-01