年長者から若手そして子供たちへと伝承していく町の記憶〜石原のささら獅子舞〜

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取材・記事 白井紀行

 

川越の春を代表する祭礼「石原のささら獅子舞」。

川越市石原町で江戸時代から300年以上続き、埼玉県無形民俗文化財に指定。

4月の第3土日(隔年の陰祭りは日のみ)に行われ、今年は4/14〜15となっています。

 

昨年の陰祭りの記事が縁で、今年は準備段階から取材させていただきました。

勉強会

演舞の練習は本祭りの3週間前の3/25(日)から、石原公民館で行われます。

 

笛の音とともに踊りの確認が始まりました。

 

演舞の練習は初めから最後まで通して行われます。

 

一挙一動を教えられるのではなく、一連の流れを見ながら体で覚えていく。

 

特にくるりくるりと舞いながらの独特の足の運び。これがなかなか難しい。

足を動かすのが背一杯で、太鼓を叩くところまで手が回りません。

 

これから2週間、本祭りに向けてベテランから若手への指導が続きます。

 

揃い

本祭りを6日後に控えた4/8(日)は、本番直前の最後の練習日。

9時からは獅子頭や衣装・備品・道具類のチェックに当てられます。

 

簓と呼ばれる竹製の楽器を奏でる簓っ子(天女)の頭上に冠る花絹蓋。

 

花絹蓋には吉野桜と日輪、月輪が飾られています。

 

金色の中獅子(雌)を物珍しげに触る子供たち。

 

獅子の胴体にあたる水引の取り付け。

 

獅子頭の下顎の部分に穴があり、そこに針を通して縫い付けていきます。

 

背中にあたる布の縫い付け

 

雄の獅子である先獅子と後獅子には角を取り付ける。

 

獅子はヘルメットのように冠るのでなく稲わらを叩いたものを詰め込んでおく。

獅子を演じる人は頭に座布団(クッション)を付けてから冠ります。

 

こちらは獅子が踊りながら打つ太鼓の調整。

 

ポンと甲高い音を出すのではなく、石原のささら獅子舞では低めにするそう。

縄の締め具合を変えながら3つの太鼓の音も微妙に変えておきます。

 

道具に残された昔の記録

太鼓を分解しているとバチで叩く面の裏側に何やら文字があるのに気づきました。

昭和3年の昭和御大禮(即位の礼・大嘗祭を合わせたもの)の記念のようです。

 

「うちのお祖父さんの名前がある」と指差していました。

 

ささら獅子舞について記述された資料を役員の方に見せていただきました。

 

大正14年に日本青年会館の落成記念にささら獅子舞を明治神宮に奉納したもの。

 

木箱の側面にそのことが記されていました。

 

さらに猿田彦(天狗の面)を収めている木箱の裏。

ちょっと長いですが、石原のささら獅子舞の歴史を振り返りましょう。

 石原町のささら獅子舞は、慶長12年(1607)年に石原町にある観音寺の観音祭において悪魔降伏、災難消除のために行われたのが始まり。以来、これを例祭と定めて毎年3月18日(暦の改正により明治初年後は4月18日に変更)に演舞することになり川越城でも演じられていました。
 ところが、川越城主であった酒井忠勝公が、獅子舞の演技を愛好されるあまり、寛永11年7月に若狭国(福井県)小浜城主へと鞍替えとなったときに三頭のうち雌雄二頭を携えて行ってしまったために中断していました。
 75年後の宝永6(1709)年に高沢町の材木商井上家(こちらでは、水村甚右エ門)から獅子頭が寄進されて再び復活し現在なお継承されています。
小浜市では雲浜獅子舞として伝承されており、川越ささら獅子舞がその故郷である縁で姉妹都市となっており、その後も文化交流が続けられています。

 

獅子3 面1 花笠4 立付4 小手袖4 法被1 前垂4 鳥兜1 太鼓3と刻まれた裏面。

300年以上の時を経て、現代に、その歴史を伝えます。

 

演者が着る水玉着などの確認。

 

こちらは草鞋が揃っているかを調べています。

 

協力して祭りの準備を進める光景に日本の原風景を思わせます。

 

揃いが始まりました

午後、石原のささら獅子舞保存会会長の挨拶で「揃い」が始まりました。

 

最初は次世代の伝承するため「親(しん)」と呼ばれる新人の演舞。

三頭の獅子、山の神、簓っ子が親戚のような仲間となり後継者となって欲しい。

そんな気持ちを込めて「新」ではなく、「親」と呼ぶのだそうです。

 

ブォー、ブォーと法螺貝の合図で今年の「親」が入場。

 

町の人たちも見守る中、演舞が始まります。

 

この2週間の練習の成果。

 

篠笛や唄を歌いながら、若手や子供たちの演舞をじっと見つめる年長者ら。

次世代へと伝承されていく光景を目の当たりにし感慨深いものがあります。

 

噛み合いをしながら雌獅子を争う激しい舞。ベテランからの指導も加わる。

 

一通り終えると汗ぐっしょり。

 

続いては年長者による演舞の披露。

 

お手本となる演舞をスマホで記録する若手の踊り手たち。

時代とともに伝承の形態も変わっていく。

 

子供たちも一生懸命最後の練習に励む。

 

バサバサバサバサと水引が音を立てて風を切る。

ベテランならではのダイナミックな演技は、本番でもぜひご覧ください。

 

傍らでは踊る場所に合わせての立ち位置の確認。

 

町内を巡るにあたってのしきたりも伝えられます。

かつては獅子が一軒一軒周り、新しい畳の上を草鞋のままで踊ったのだそうです。

畳の泥はその後、3日間は拭かず、そのままにしておくことでご利益があるという。

希望すれば部屋の中で舞うそうですが、今は、玄関先で踊るのがほとんどです。

 

最後は中堅メンバーによる演舞。獅子を被るのは年長者が手伝う。

激しい動きを伴うのでサラシでがっちりと固定します。

 

演者の目の前は水引で覆われてしまうので足元しか見えない。

だから踊りは体に染み込ませるしかありません。

 

町内の人も見守る中、舞は進行していく。

 

なかなか思い通りに動けない山の神に手取り足取り指導。

 

彼も当日は無事に山の神をやり遂げることでしょう。

 

これで3組の総仕上げの練習「揃い」が終わりました。あとは本番を待つばかり。

 

最後は高沢橋を渡るときの踊りも行われました。

 

会長の締めの挨拶。ささら獅子舞は世代間交流の役目を果たしていること。

当日は皆んなで楽しみましょうと伝えで、皆んなで川越締めでの手締め。

シャンシャンシャン、シャンシャンシャン、シャン!

 

頑張った子供たちにはお菓子が配られました。

町内が一体となり300年以上の長きに渡って継承してきた「石原のささら獅子舞」

今週の土日がいよいよ本番です。ぜひ、ご覧ください。

 


INFORMATION

埼玉県指定民俗文化財「石原のささら獅子舞」

【日時】平成30年4月14日(土)9:00〜15:00

【場所】観音寺→八坂神社→石原町公民館→ヘアーサロン成田駐車場

【日時】平成30年4月15日(土)9:30〜16:30

【場所】石原町公民館→MS観光駐車場→本應寺→井上家→観音寺

    注)いずれも雨天時は石原町公民館での舞となります。

【主催】石原のささら獅子舞保存会

【HP】川越市HP(石原の獅子舞)

【FB】https://www.facebook.com/石原のささら獅子舞

【TW】https://twitter.com/3ino7

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