川越の食文化の歴史を知ろう!〜幻のサツマイモ「紅赤いも」食育セミナー〜

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来年で発見から120年を迎える幻のサツマイモ「紅赤いも」。

 

その歴史と味を楽しむ食育セミナーが12月16日(土)に川越市場で開催されました。

 

この日は毎月土曜日恒例の「鮮度いちばん!!お客様感謝市」

朝から大勢のお客さんでごった返していました。

 

師走ということでお正月に向けての食材も目立ちます。

 

ちなみに、12月28〜30日の朝8時から正午までは「川越市場年末大開放市」。

野菜や果物、マグロやカニ、ホタテ、いくら、かまぼこ、昆布、牛肉・豚肉・鶏肉など。

お正月用品が豊富に並びますので、是非、お越しください。

http://kawashijyo.xsrv.jp/ichiba/archives/824/

 と、川越市場のイメージキャラクター「魚水果菜(かなちゃん)」に託けられました。

会場は3階会議室。ここに上がるのは初めてです。

 

こちらが会場。セミナーは2回行われ、1回目は24組、2回目は19組が参加。

 

参加者には120年記念冊子「イラスト紅赤いも歴史物語」と、

 

本日のセミナーの主役「紅赤いも」がお土産として配られました。

 

セミナーの開会にあたり主催の「川越サツマイモ商品振興会」の戸田周一会長が挨拶。

 

同振興会は、サツマイモの生産が減る中、加工品の生産業者が集まり川越いもを守る団体です。

(同振興会が作成した川越いもの加工品販売店や飲食店が記されたマップも配布されました)

 戸田氏が代表をつとめる戸田製麺(西小仙波町)は芋うどんの元祖

(セミナー1)幻のサツマイモ紅赤とは?

サツマイモ伝来のミニ歴史

「イラスト紅赤いも歴史物語」をテキストに同振興会の山田英次さんのセミナーがスタート。

注)以下は、セミナー内容を要約・編集したもので、文責は記者にあります。

サツマイモの原産地はメキシコ南部、南米北部で紀元前数千年前から食べられていました。

日本への伝来は「クラマ」「カモテ」「バタタス」の3ルートが考えられています。

中国福建省から1605年に琉球に伝わり、100年以上経って青木昆陽が江戸で栽培に成功。

1751年に吉田伊右衛門が志井津(市原市)から南永井(所沢)へ種芋を持ち帰り栽培を開始。

そこから近隣の村々へと広がり、川越に伝わったとされています。

 詳しくはこちらもご参照ください → http://www.jrt.gr.jp/diary/nikki_35.html

川越今福に生まれた赤沢仁兵衛先生は、1910年に甘藷増収法を確立。

 この技術は今も使われているそうです

関越自動車道そば、川越市今福808-12

 

川越いもとは?

「川越いも」の生産地は川越市だけでなく江戸から見た川越地方(武蔵野台地)を指します。

川越市南部、三芳町、狭山市、所沢市、ふじみ野市、富士見市、新座市の広い範囲に渡ります。

 

川越いもは焼き芋で有名になった

江戸時代後期から明治の初め頃、焼き芋が庶民のおやつとして人気でした。

その中でも特に川越いもが美味しいということで「川越=いも」が定着しました。

当時は平釜で焼いていましたが、昭和初期にはつぼ焼き、戦後は石焼芋と変わりました。

 

紅赤発見120年のミニ歴史

「川越いも」といえば「紅赤」が代名詞。

120年前にさいたま市浦和区(北浦和)の山田いちさんが発見したものです。

 紅赤は八つ房から突然変異した品種

その芋が非常に美味しく東京でもたちまち評判になりました。

それを普及したのが甥にあたる吉岡三喜蔵さん。

昭和元年に県農業試験場で系統選抜された「紅赤埼1号」が「紅赤」の原型とされています。

北浦和には二人の実家や墓、発祥地とする案内板があります

戦前は東の「紅赤」、西の「源氏」がサツマイモの二大品種として栄えました。

戦争に入ると味よりも収量が取れるサツマイモが増産され廃れてしまいます。

平成に入り幻のいもにしてはいけないと伝統作物として復活しつつある「紅赤」。

規格外のいもも買い取って加工品とし、生産意欲を高めるのが同振興会の役割です。

 120年も品種が続いているサツマイモは稀有なのだそうです

紅赤保存事業

「紅赤」をもっと知ってもらうために20年前にも冊子を発行。

「紅赤ものがたり」という本やDVDなども販売。

来年は「紅赤120年」。10月頃に資料の展示会や加工品のセールなど記念イベントを計画中。

さいたま市では紅赤研究会ができ、加工品の開発、埼玉大学で紅赤の栽培も始まりました。

 

是非、川越でももっと知ってもらい、食べてもらって、紅赤を守っていただければと結びました。

 

(セミナー2)紅赤の美味しい食べ方

漁師の方は天然の魚を獲り、農家の方はいい作物を作っている。

何処で取れてこの時期に何が美味しいかを知るためには、毎朝9時に来てチェックしている。

そうすることで、お客様に食材を自信を持って話せる・勧めることができる。

そう語るのは、川越いも膳(川越小室)の店主、神山正久さん。

 

なぜ紅赤にこだわるのか?

中学3年の時に板前になろうと決めた神山さん。

40年前、まだ修行していた頃、タクシーの運転手に川越の名物は何かと度々尋ねたそうです。

すると出て来る答えは芋。先人が川越=芋という代名詞を築いていたことに気づきました。

京都には京料理、石川には加賀料理というように観光地には食文化が根付いている。

川越を観光地にするという話も持ち上がった時期で、おもてなしをするには食文化が必要。

そこで、独立するにあたり、サツマイモ料理がメインのいも膳を始めました。

紅赤にこだわるのは、芋に限らず日本全国の一番の食材を取り扱っての結論なのだそうです。

 例えば、丹波の松茸は香りが違う、こんな高級な香水があるのかという位

紅赤の天ぷら(輪切りと丸揚げ)について

神山さんが口にするサツマイモは口の中でほわっとほぐれる「紅赤」の天ぷらだけ。

紅赤は10月に採れ始める。これを1〜2週間寝かすと本領発揮。従業員みんなで楽しむそうです。

SSという商品の価値のないものがあるが、これを丸揚げするとまた風味が違う。

紅赤は他のいもと比べて火の通りが良いからこそ、丸揚げにもできるのだそうです。

 

神山さんの紅赤や食材に対する思いが、滔々(とうとう)と熱く語られます。

それらを全て書きたいところですが些か長くなりすぎますので、印象に残った一文を。

「最近、子供の好き嫌いが激しいのには、学校で給食を作らなくなったことにも一因がある。

僕らの子供の頃には3、4時間目となると給食の良い香りがしてきて食欲を刺激してきた。

だから好き嫌いなんて言わず残さず一生懸命食べて、食べる楽しみを知ってきた」。

まさにその通りなのだと思いました。

 

紅赤の加工品「いも茶」、「いも納豆」など

サツマイモの女王と呼ばれる「紅赤」は天ぷらでは5点満点ですが、加工品では今ひとつ。

作るのにも技術が入り、収量が他のイモと比べて少ないので農家では作りたがらない。

 

そこで、B級品を含めて「紅赤」を買い取ることで生産能力を高めることにしました。

何か出来ないかと考えてお茶にして見たところ、これに勝るものはない甘みと香りが出た。

紅赤だったら真似できない川越の独特となる「紅赤茶」を生み出しました。

 

続いて「紅赤」の甘みを生かして砂糖を最低限しか入れない「いも納豆」を開発。

 

こういった加工品を増やすことで、紅赤の生産量を徐々に増やしていきたい。

それを支えていくには消費者の皆さんが応援していただける。

「紅赤、紅赤」と騒いでくれることで生産者も増えていくのではないか。

 

命をかけて紅赤を作った松崎さんや高橋さんのような先人に続く人が出てきてほしい。

そう神山さんが話を結びました。

 

お待ちかね「紅赤」の試食です

会場にはぷ〜んと甘くて良い香りが。神山さんの言葉通り匂いは食欲を刺激します。

 

「焼き芋おじさん」こと井上さんが焼いた熱々の「紅赤」の焼き芋が配られました。

 

二つに割れば、湯気とともに良い香りがさらに広がります。

 

記者もご相伴に預かりました♪

紅赤はほっくりとほぐれ適度な甘みで、いくらでも食べられそうな味です。

 

「川越といえばサツマイモ」。記者もそれを漠然としたイメージで捉えていました。

今回のセミナーを通して見えてきたのは江戸時代から続く川越の食文化の歴史。

来年で発見されてから120年を迎える紅赤。

記念事業に備えて、川越いもについてももっと知り、伝えていければと思います。

 

お知らせ

この日は、J:COMの「ちょっ蔵お出かけまちかど情報局」も取材に来ていました。

 到着したばかりの八っちゃん、みかねぇをパシャり

当日の模様は平成30年1月13日(土)〜19日(金)に放送されます。

川越市場やセミナーの様子を楽しい二人のトークとともに、是非、お楽しみ下さい!

取材・記事 白井紀行


 INFORMATION

幻のサツマイモ「紅赤いも」食育セミナー

【開催】平成29年12月16日(土)09:30-10:30/11:00-12:00

【場所】埼玉川越総合地方卸売市場3階会議室(川越市大袋650)

【主催】川越サツマイモ商品振興会/川越総合卸売市場株式会社

【HP】幻のサツマイモ「紅赤いも」食育セミナーのご案内

川越市大袋650