芋づくしで川越のサツマイモ文化を学ぶ〜妙善寺のいも供養〜

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川越の観光名所といえば「蔵造りの町並みと時の鐘」です。

では、川越のお土産といえば?。答えは、なんといってもサツマイモでしょう。

街を歩くと、焼き芋、芋せんべい、いも恋、芋太郎、大学芋など芋を使ったお菓子が目につく。

芋懐石、芋を練り込んだうどん、餃子、デザートなどグルメもたくさん。

これだけ、芋を使った商品やメニューが並ぶのは、全国的にも珍しいそうです。

そんな、川越の代名詞のサツマイモを食べて健康を祈願する催し「いもの日まつり」

毎年10月13日に川越市東口から5分ほどの妙善寺で開催され、今年で23回目を数えます。

川越は江戸時代から焼き芋用のいもの産地として有名。

江戸から13里の距離にあることから、九里四里(栗より)うまい十三里と称されてました。

サツマイモの収穫期である10月とこの十三里をかけて、10月13日は「いもの日」

1987年に「川越いも友の会」が全国に向け宣言し制定されました。

この年は川越街並み委員会が発足し、菓子屋横丁会などが興された時期とも重なります。

川越の街づくりが始まった時期と相まって、川越=サツマイモというのが浸透してきました。

川越市のマスコットキャラクタ「ときも」の誕生日も10月13日

境内では食べごろの焼き芋がいい匂いを辺りに漂わせていました。

焼いているのは土日に菓子屋横丁でも販売している焼き芋おじさんこと井上さん。

甘い香りにたまらず「一本ちょうだい」と声をかけ、熱々を頰張る参列者。

 

焼かれているのは「富の川越いも」というブランドの中の「紅赤」という品種。

今から119年前にさいたま市で「山田いち」さんが発見した突然変異種。

来年は大きな節目の120周年ということで、記念事業も計画されているそうです。

 

芋商品として川越市サツマイモ商品振興会を代表しておいもの茶紺の芋菓子。

そして、生産者を代表して焼き芋おじさん(井上さん)から紅赤の奉納が行われた後は芋供養。

 

妙善寺住職による読経が行われた後、来賓および参列によるご焼香が行われました。

 

その後、来賓一人一人の挨拶。

川合市長からは、サツマイモで知られる川越で最近、脚光を浴びるできごとがあったと紹介。

一つは川越を含む三富地域で江戸時代から行われてきた落ち葉堆肥を使った伝統農法。

これが、昨年に日本農業遺産に登録されたこと。

もう一つは、サツマイモチップスや川越アンパンなど新たな商品ができたこと。

サツマイモを通して川越がさらに有名になることを願いますと結びました。

 

妙善寺ご住職による列席の御礼の挨拶

 

元川越さつまいも資料館長の井上浩さんの法話。

話に先立ち、群馬からこのいも供養に来られた石島さんを紹介。

お父さんの便秘がサツマイモを食べることで解消したエピソードを思い出として語られました。

石島さんはこんにゃく農家で、井上さんにお芋のことを教えてくれた恩師。

便秘の話から、サツマイモを1日100g食べれば健康になるという栄養大学教授の研究も紹介。

また、東京からはいも類振興会の理事長さんも来ていただくなど、全国規模になっていること。

これは川越の芋の文化度が上がってきた、川越芋の力が付いてきたことである。

と多くの話を盛り込んだ興味ふかい法話でした。

 

井上さんから促されて登壇したのは山田えいじさん。

来年は紅赤が発見されて120周年となります。

それを記念した12月16日に開催される川越市場の食育セミナーの案内など

今年はその準備段階で、来年大きな企画があることが紹介されました。

 

最後に奉納芸能として、いも供養の初回からお招きしている野津鷹王さんの大道芸能。

こちらは、銭太鼓という手振り楽器で、お芋の形を模したもの。

 

あるいは房のついたものを音楽に合わせて放り投げたり回したり巧みに操ります。

 

弓でのこぎりを擦る「のこぎり音楽」

 

弓で擦るたびに、ぽよ〜ん、ぽよ〜んと何とも奇妙で哀愁ただよう音を奏でます。

 

二枚の板を重ねただけの楽器に合わせての「全国物産飴売り」口上。

 

野津さんのポリシーとして演目ごとに衣装を変えていきます。

漁師に扮してのさかなつりでは、魚が釣れる様子を巧みに演じます。

 

釣果を確かめると魚籠(びく)に無かったはずの鯉のぼりや芋が!

 

最後はアンコールでしゃもじや鍋ぶたを持って踊りを披露。

動きは珍妙ながらもその面白さに引き込まれて笑ってしまう。

大道芸のその凄みに驚かされました。

 

妙善寺の境内には1995年に建立されたさつまいも地蔵があります。

 

これはサツマイモの歴史とサツマイモが体に良いことから川越さつまいも商品振興会が考案。

お芋を抱いてなんとも優しい表情のお地蔵様です。

 

小江戸七福神巡りの最初のお寺でもある妙善寺。

毎年、お正月に初詣を兼ねて巡るときには、こちらで焼き芋を食べてパワーチャージ。

10月13日にいも供養が行なわれているも知っていましたが、参列したのは今回が初めて。

平日と重なりがちですが、機会があればまた参加してサツマイモのお話を聞きたいものです。

 

取材・記事 白井紀行


INFORMATION

いも供養

【開催】平成29年10月13日13:30〜15:30 (毎年10月13日に開催)

【住所】妙善寺(川越市菅原町9-6)

【HP】http://myouzenji.kikakushin.com/

川越市菅原町9-6