「心からもてなして喜んでいただく」人と人の付き合いの原点を知る〜小中学生向け茶道体験教室〜

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日本の文化を紹介するときに「お茶」と「お花」という言葉が浮かんできます。

華道では作品を鑑賞することができますが、茶道となると具体的なものはありません。

なんとなくイメージできるのは抹茶を点てて飲むといった断片的なシーンだけ。

そんな茶道の「さ」の字も知らないような記者が、この度、茶道体験教室の機会を得ました。

ウェスタ川越で開催された「川越市内小中学生に向けた茶道体験教室」。

講師は、裏千家茶道無相庵 寺嶋宗知氏です。

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教室ということで講義してからと思っていたら、すぐにお点前が始まりました。

大人でもいきなりそんなことを言われると戸惑ってしまいそうな場面。

どこにどんな風に座ればいいのでしょうか?

一人半畳のスペースで、縁から16目、扇子を2目に置くのだそうです。

そうすると、挨拶をしたりお茶をいただくのに適切な間合いとなります。

茶道での挨拶はただひとつ「ご機嫌よろしゅうございます」

挨拶を終えたら扇子は背後の2目に。右の正客、左の次客とで扇子の向きも異なります。

この扇子は結界の役割を果たすそうです

‖ 盆略点前

亭主はいったん退出して、お点前が始まりました。

今回はお盆の上に手前に必要な道具を揃える「盆略点前」という方式です。

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まず、お菓子を正客の前に置き、

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両手を揃えて一礼

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居住まいを正す。

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袱紗(ふくさ)捌(さば)き

棗(なつめ:抹茶を入れる容器)や茶杓(ちゃしゃく)を、袱紗(ふくさ)で清めていく。

お点前が終わった後、子ども達は何度もこの袱紗捌きを練習します。

記者もこの時点では何も分からずに写真をひたすら撮っていました。

しかし、教室が終わってから改めて見ると実に美しい所作であることに気づかされました。

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棗(なつめ)の清め

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茶杓の清め

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茶巾で茶碗を拭く

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茶筅の穂を湯に通し、穂先を清めるとともにその具合を確かめる「茶筅通し」

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建水にお湯を捨て、茶碗を拭きます。

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お菓子をいただく

お茶を点てる前に「お菓子をどうぞ」と正客に進めます。

正客は「お先に」と次客に挨拶をし、お菓子をいただきます。

本日は色合いの美しい「琥珀菓子」

お茶を点てる

抹茶を茶碗へ、

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茶筅を素早く前後に動かす、シャカシャカという音が静かに響きます。

十分に泡立ったら茶筅を「の」の字を描いて引き上げます。

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お茶が点ち、お客様に出されます。

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少し足が痺れた様子に「立ち上がって取りに来てもいいよ」と声をかけます。

本来は、躙(にじ)るといって、正座のまま手はグー。親指で体を押しながら前に進みます。

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席に戻る時も右手で茶碗の自分の方に引き寄せ躙(り)下がるを繰り返します。

このような動作はあまり馴染みがないだけに、知らなければ途方に暮れそうです。

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薄茶をいただく

正客は「お先に」と次客に挨拶をしてお茶をいただきます。

このとき、お茶碗を3時から5時に2度回します。

記者も休憩の際にお茶を頂いたのですが、見ていたにも関わらずこれができない。

お茶を飲んだ後も果たしてどうやって茶碗を戻せばいいのか?

そんなことを知っているだけでも、何か心が豊かになる気がします。

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次客は「ご相伴させていただきます」と挨拶をしてお茶をいただきます。

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正客が茶碗を亭主に戻します。

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正客が「どうぞおしまいください」と挨拶。

亭主が「しまわせていただきます」と挨拶し一礼、それを受けて総礼して終わりとなります。

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ここまでで随分と色々な動作がありますが、これでもほんの一部にしか過ぎません。

亭主、主客、次客、それぞれの立場に応じた細かな作法や取り決めが沢山あります。

それらを円滑に進めていき、お互いに呼応しながら場の雰囲気を構築していく。

それが素敵な世界であるということは、何となく想像できそうです。

 

‖ 割稽古

「割稽古」は動作の一部を繰り返すいわばパート練習。

棗や茶匙を清めるときに行った袱紗(ふくさ)捌(さば)きを学びます。

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袱紗の広げ方や折り方をステップバイステップで、

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一の字を書くようにしてから四つ折りに畳む。

こういった動作が含まれることで全体の流れがより美しく感じられる気がします。

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棗(なつめ)を清める。「こ」の字を書くように拭いた後、向こうへ突きます。

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再び、袱紗捌き。下の2枚の写真のように袱紗を折ることを突くというのだそうです。

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茶匙を清める。茶杓の上下を拭いたら…と幾つかの動作を経て最後に櫂先から抜きます。

抜くときはUの字、弧を描くようにと優雅さがあります。

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清め終わった茶杓は5時の位置に。

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続いて茶碗を茶巾で清めます。

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抹茶を棗から掬う。蓋を開ける際も茶杓を右手に握り込んで行います。

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実際には行いませんが、抹茶を分かりやすいように十文字に切ってあります。

4つのうちの一角から抹茶を一匙半すくい取ります。

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袱紗はお盆の7時の位置へ。つい、左手を使いたくなりますが、右手で置くのが作法。

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お茶を点てますが、以外と難しそうでであのシャカシャカという音になりません。

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再び、袱紗捌きの練習。僅かな時間で習得するのは難しい動作です。

何度も何度も繰り返すことで、それが身に付き自然にできるようになる。

動作が一つ一つこなせるようになる達成感もお茶の楽しみなのかもしれません。

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‖ 拝見

床の間には掛けられているのは「非風非幡」の掛け軸。

その横の籠入れには花が生けられています。

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花は季節を感じさせるレンゲショウマ、ヤバネススキ、ソウタンムクゲ

今朝、お庭に一輪だけ咲いていたものだそうです

お花は躍動感、生命力を感じますね。と置く意味を子供たちに伝える。

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阿古陀(あこだ)釜や中に入っている陶器製の五徳を取り出して見てもらう。

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注ぎ口がある側を顔とみなし、そちらがお客様の正面になるように置く。

反対側(つまりお尻)を向けるのは失礼にあたるから。

そういった心遣いが隅々まで行き渡っているのが、お茶の世界なんだなと感じます。

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今日、迎えるお客様のために掛け軸を選び、花を飾り、道具を揃える。

亭主の心を体現したこれらものを一つ一つ見せていただくのが拝見。

実は部屋に入った時に、先生から掛け軸の文字や意味の説明がされたのですが、無知な記者。

記事を書くにあたって調べると、とても大切な行為と知り、今更ながら冷や汗ものです。

 

‖ 割稽古

再び、袱紗捌きの練習。

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そして、茶碗を拭く茶巾のたたみ方。

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縫い目を自分の方に向けて3つに折る。

こうすることで縫い目が裏に来て茶碗を拭く時にひっかりません。

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最後に畳んで間から指を抜く。

ここに至るまでにも幾つもの手順があって、布巾をたたむだけでも大変。

だけど、それができるようになれば喜びも一入。

そういったことを知るにつれ、記者もお茶の世界に引き込まれて来ました。

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盆略点前をやってみます

最後に、先生が横について一つ一つ指導を受けながら盆略点前をやってみます。

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お菓子を置いたら「ご機嫌よろしゅうございます」と挨拶。

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部屋を出る時も畳のどこを通るかや、最後に敷居を左足で跨ぐといった決まりがあります。

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建水を置く姿勢。始めと比べると背筋が伸びて良くなっているように感じます。

繰り返し繰り返し袱紗捌きをする中で体が覚えていくのでしょうか?

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お菓子は最中。箸で取るのですが、その箸づかいもなかなか難しい。

最中を取った後は懐紙の端で先を拭ってから次客に回します。

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袱紗捌きをこなし、お茶を点てる。

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お茶をいただき、道具を仕舞ったら、一礼をしてお点前が終わりました。

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茶道の心得はないまま、記者なりに感じたことを記事にしましたがいかがでしたでしょうか?

勉強してから行けばよかったと思う反面、知らないからこそ感じられたものもありました。

一つ一つの手順には、さらに細かな手順から構成されており、その数は厖大です。

けれど、そこにはスポーツや音楽で必要とされるような特殊な技能や才能は見当たりません。

どれも日常に含まれる動作で、そのまま、普段の生活に活かせそうなものばかり。

 

茶道でなくても、人を招く時には誰でも、部屋を掃除し、花を飾り、お菓子を用意する。

「今日はお客さんを美味しい紅茶とケーキでもてなしたい」

そんなことを考えながらお客さんを迎える準備をするのはとても幸せな気分になります。

そして、お客さんに喜んでいただき感謝の言葉をもらう幸福にまさるものはありません。

 

「心からもてなすことで喜んでいただく」のは人と人との付き合いの原点。

そのためにはどのようにすればよいかを究極的に突き詰めたのが「お茶」の世界なのだと。

取材を通して、そう記者は受け止めました。

取材・記事 白井紀行


INFORMATION

川越市内小中学生に向けた茶道体験教室

【開催】平成29年8月20日(日)13:30〜16:00

【場所】ウェスタ川越 2F和室(川越市新宿町1-17-17)

【問合】全5回で学ぶものですが、まだ、空きがあるそうです。

    是非、この機会にご参加してみてください。


日程(全5回):
8/20(日)、9/30(土)、10/7(土)、11/19(日)、12/17(日)
午前の部:10:00-12:30 午後の部:13:30-16:00
場所:ウェスタ川越公共施設棟2階和室
定員と対象:午前の部、午後の部それぞれ5名(小学4年生から中学生が対象)
受講料:2,500円(全5回分)
申し込み先:川越市役所 文化芸術振興課 電話:049-224-6157 ファクス:049-224-8717

  • 受講料には抹茶・菓子代が含まれます。
  • 親子で参加する場合は小学1年生から参加が可能です。
  • 教室に関するお問い合わせは以下の講師にお願いします。

講師:裏千家茶道無相庵 寺嶋宗知 電話:049-245-6097

※画像のチラシをクリックするとPDF(申し込み用紙付き)がダウンロードできます。

 

 

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