家守会社 株式会社80%-まちの人達による、まちの人達のためのリノベーションプロジェクト

長い間借り手がつかず空き家だった古い建物に、今まさにスポットライトがあたろうとしています。

場所は連雀町。ひかり飯店さんのならび、といえばピンとくる方も多いはずです。

この建物は、昨年2月に行われた川越市が主催したまち歩きワークショップ(参考:レポート:まち歩き物件探索ワークショップ~川越路地裏ツアー)で立ち入らせてもらった物件の中の一つでした。建物があるエリアは観光地である蔵の街や、駅からそこに向かう導線からも少し外れており、地元の人達が行き交う場所です。

6月中旬には2つの飲食店舗がオープン予定です。一つはテイクアウト専門のコーヒーショップ、一つは野菜を中心としたお料理と日本酒を楽しめるお店「すずのや」さんです。

©カワゴエ・マス・メディア

仕掛け人は、建築士の荒木牧人さん。仲間と共に家守会社の「株式会社80%」(エイティパーセント)を立ち上げ、現場で日々工事作業に携わっています。

家守会社: 江戸時代、地主・家主に代わってその土地・家屋を管理し、地代・店賃(たなちん)を取り立て、また、自身番所に詰めて公用・町用を勤めた者。差配人。(コトバンクより) 現在でいうなら、エリアマネジメントの担い手。その現代版が、リノベーションまちづくりに取り組む家守会社として各地に誕生している。(未来コトハジメ「まちづくりインフラ「家守」とは?より一部抜粋)

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11月に開催された3日間の「まちづくりキャンプ」では、本気でエリアリノベーションをにたずさわりたい、事業を立ち上げたい、という志をもった方が集まりました。これがきっかけとなり、動き出したリノベーションプロジェクトなのです。

実は記者もそのキャンプに参加しており、荒木さんグループは隣でした。
参加者同士白熱する議論、ダメだし、叱咤激励する講師の鋭い声・・・・震えるほどの緊張感の中、その場が熱くヒリヒリとしていたのを今でもよく覚えています。(市役所の方には、夜中までお付き合いいただきありがとうございました。)

その時の様子が川越エリアリノベーションのFacebookページに投稿されていましたので、担当の方の了承を得て掲載しています。

©川越エリアリノベーション

今回は荒木さんに工事の様子や80%の活動などを伺ってきました。

工事は今年2月にはじまり、現在は後半にさしかかっているとのこと。

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前半はかわら屋根の葺き替えと建物の補強を主に行ってきました。
昭和20年代にできたこの建物は、改修に改修をかさねた後がそここに残っており、また老朽化により危険な個所もあったそう。

なんとか昔の状態を最大限残しつつ、安全はしっかり確保するという難しい工事を乗り越えてきました。

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この看板の丁度上にある部屋はこじんまりしてしているけれど、日差しがたっぷり入り、通りを眺めながらのんびりできそうな特別空間に変貌しそうです。

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後半は、県道側の大きなガラスをすべて引き戸に交換するという大きな工事も入ります。
そして外装と内装が丁寧に整えられていきます。店のオープンに向けてワクワク気分がさらに盛り上がります。

内装デザインは同じく「まちキャン仲間」の田中明裕さん。この日は現場でずっと打ち合わせをしていました。

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この建物がたつエリアは、通勤の方、子供たちやお母さんたちが頻繁に行き来する、いわば地元の軸線です。

一階の角にできるコーヒーショップは、テイクアウト専門にするとのこと。ここで買い物帰りに、あるいは、ばったり出会った人達がちょっとしたおしゃべりするスペースになったらいいと考えているそうです。

ときどきお年寄りの方が、一休みするのに擁壁(ようへき)に腰かけているときがあるので、お店の周りにぐるっとベンチも置くとのこと。

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前述したとおり道路側は引き戸するとのことなので、開放感があって人を招きいれやすい雰囲気になりそうです。
天気の良い日や暖かい日などは引き戸が開けられるのだろうな・・と想像するだけで頬がゆるみます。

グループでも、女性一人でもふらっと入れる雰囲気のよい飲み屋さんが近所にあったら、いえちょっと離れた場所にあっても通ってしまいそうです。

この取り組みでユニークな点は、できる限り「見せている」ことと、ワークショップで「参加できる」こと。

店舗ということもあり、仮囲いしてベールに包むのではなく、作っている様子を見てもらい、自分たちの活動をどんどん知ってもらいたいという思いがあります。

「ここを通る小学生は、アリの観察するがごとく中を見ていきますよ(笑)」とニヤリ。

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今まで数回行ってきたワークショップでは、作る楽しさはもちろんのこと、普段なかなか見られない現場の職人さんの動きがわかって貴重な体験も得られたのでは?とのこと。

オープンしてお店に来ていただいたときに、自分がちょっとでもここに携わっていたという良い思い出になってくれればと荒木さんは語ります。
次回は塗装ワークショップ。もしかしたら今回が最後のワークショップになりそうです。

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「今までいくつかの建物に携わってきましたが、特にここの地域の人たちはこの建物に強い思いれがあると感じます。交差点の角で、ずっと空き家だったからでしょうか?道行く人からは『何ができるの?』と話しかけられたり、昔の思い出を語って下さる方が多いんです」

このオープンな活動によって、現在荒木さんのところには「古い建物の活用ついて」の相談がいくつか舞い込んでいるとのことです。

今回再生するであろう建物一つに灯りがともることにより、人が集い、語らう場所になるのは想像に難くありません。

更にエリア周辺に新しい人の流れと交流ができ、次の新しい動きにもつながりそうな予感がします。

次回はワークショップの模様とあわせて株式会社80%の社長である荒木牧人さんのインタビューをお届けする予定です♪

取材・記事・写真 本間寿子


INFORMATION

塗装ワークショップ

木柱・ベンチを塗るワークショップです。(予定)
使う工具類は現場で用意しています。一緒にDIYしましょう!

【日 時】平成29年5月13日(土)9:00-12:00

【対 象】小学生以上

【定 員】10名

【持ち物】軍手・汚れても良い服装・運動靴

【参加費】無料

【問合先】株式会社80%

【メール】80p.2016@gmail.com

【TEL】080-5543-2491(荒木さんの携帯)

【F B】株式会社80%(エイティパーセント)
     https://www.facebook.com/80per/

川越市連雀町27-1