後世に伝えたい地域の伝統行事〜上寺山のまんぐり〜
上寺山の八咫神社は、毎年、反乱する入間川を沈めるために立てられた神社。
毎年、7月の第二日曜日には伝統行事「まんぐり」が行われます。
7月第2日曜日(昔は7月14日)に行われる。青竹に麦わらを束ねて巻き、それに大天狗・小天狗と呼ばれる幣束と五色の小さな幣束を飾ったボンテンを作る。そして、ふせぎの青竹2本・法螺貝・ボンテンの順で行列を組み村回りをした後、入間川に飛び込んで水を掛けて祈祷する。ボンテンは八咫神社境内になる石尊さまに納められる。大山信仰を基にした夏祈祷の行事である。
参考)大山信仰 http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f100108/p10531.html
こちらが「ボンテン」。白いのが大天狗・小天狗といわれる幣束。
そして、5色の小さな幣束が無数に飾られています。
「ボンテン」は御神輿の原型とも云われています。
5色の幣束は村を回るときに配っていきます。
以前は一戸一戸配っていたそうですが、今は希望者に渡しています。
こちらが「ふせぎ」。
笠幡の尾崎神社では、春分の日に悪魔払いの行事「芳地戸のふせぎ」が行われます。
この「まんぐり」も悪魔払いの行事なので、結界に当たるのでしょう。
「ふせぎ」と「ボンテン」を起こします。
行事に先立ち神様へ二拝二拍手一拝。
無病息災、五穀豊穣、地域安全を願う祈祷の読み上げ。
さーっと風が吹き抜け、神様が来たのが感じられました。
法螺貝のボォオ〜という音とともに、神社を出て上寺山地域を回ります。
ちなみに上寺山というのはこの地区。 → クリック
入間川の右岸に辺り、パイオニアの一部や星野学園小学校を含んでいます。
ボンテン、肩にずっしりとかなり重そう。
ボンテンの芯となる青竹は地面に付けて進みます。
これは、青竹がすり減ればすり減るほど縁起が良いとされているのだそうです。
今は、アスファルトなのでかなり負荷を掛けないと削れません。
昨年立てた辻札を交換します。
幣束を求める子供たち。
「提灯」を先頭に「ふせぎ」「ボンテン」と続きます。
ボォオーと法螺貝があたりにこだまする。
なかなか削れない青竹に見かねて押し方を指導。担ぎ手の肩にはグッと重みがかかります。
教えられた通りに青竹をグッと押し付けています。
ボンテンは真っすぐに進むだけでなく時には左右に振ります。
道路には、削った跡がシュプールのように描かれます。
160号線に差し掛かりました。
ボンテンを担いで、道路を渡ります。
ゆっくりと歩いていると思ったら、
突如、ワーッと声を掛けて走り出す。子供たちも楽しそうに追いかけます。
折り返し地点。「さぁ観ていて下さいよ」と参列者に声がかけられます。
ワーッと声を上げながら勢いよく走り出します。
青竹を左右に振りながら
男達は失踪する
勢い良く、雄叫びを上げて。
はぁはぁと荒い息づかい。スピードを緩めて息を整える。
再び、160号に差し掛かり、今度は南下していきます。
ボンテンを担ぐ男達は、途中で担ぎ手や押し手を変えながら。
ずいぶんと距離を進みましたが、子供たちは元気に追いかけます。
近代の象徴と伝統行事という時代を超えた交錯。
行列は星野学園小学校の付近を通過。
そして、JAいるま野田面沢支店を横目に。
今成2丁目交差点を右折。
ボンテンを担ぐ姿も大変そう。
160号線を北へ。土地勘の有る方ならかなりの道程だと想像付くと思います。
このまま八咫神社に戻るのではなく、ここで左折。
青竹がずいぶんと削られてきました。
最後のひとふんばり。また、勢い良く左右に振りながら走り出します。
入間川の土手沿いを進み行列。
土手を上り
入間川を見下ろす。
土手を下って水辺へ
青空を水面に映して美しい入間川。
深さを確かめるために先発隊が川の中へ。
続いて「ふせぎ」。
「ボンテン」が続いて川の中へ入ってきます。
祝詞を読み上げ、神様に行事が無事に終わったことを報告します。
まつりのクライマックス。男達が水を掛け合います。
行列は八咫神社へと戻ります。
ボンテンは八咫神社の境内にある石尊様に祀られます。
灯籠にはロウソクに火がつけられ1週間灯されるそうです。
取材・記事 白井紀行
INFORMATION
上寺山のまんぐり
【日時】平成28年7月10日(日)15:00〜17:00(毎年7月の第2日曜日)
【場所】八咫神社(川越市上寺山498-3)
【HP】川越市HP 「市指定文化財 まんぐり」